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ゆるふわOLに思うこと Vol.1 ~ “勝ち犬”と”負け犬”~

~一般職は、日本の民間企業における正社員のコース区分で、定型的・補助的な業務を行う~ Wikipediaより

自分はいわゆる、"The 日本企業"に勤めている。

いつも偉そうにしていて実益につながる仕事は何もせず、ただプライドとそして年収が高い役員もいれば、バブル世代の使えない管理職もいれば、そんな使えない管理職にいつも馬車馬のようにこき使われている現場の若手社員もいる。

本当は夜な夜な働く現場の彼らのおかげで、会社が回っているにもかかわらず。

そして、「一般職」と呼ばれる事務職の女子社員もいる。

彼女達の仕事はたとえば、書類の発送、経費の処理、データの入力、定型的な書類作成などだ。

自分で考えることを必要とされず、指示を忠実に実行することが彼女達の役割だ。

一般職の仕事のすべてがルーチンワークのため、仕事はゆるい。基本的に仕事にプレッシャーというものがないため、いつもふわふわしている。

そう、彼女達がいわゆる"ゆるふわOL"だ。


ゆるふわOLの彼女達の多くがとりあえず大手企業に入社し、結婚して専業主婦になるか、または、結婚して出産後には"勝ち犬"(既婚・子持ち)となり、職場復帰することを目標としている。

いや、多くのゆるふわOLは大学受験が終わってからは「目標」という言葉に無縁の人種のため、そのふわふわした頭の中に漠然と、「結婚したい」という思いがある程度だと言った方が正確だろう。

ゆるふわOLの多くは、漠然と結婚したいと思っている。それにもかかわらず、いわゆる婚活をガンバらない女子が一定の割合で存在している。

彼女達の特徴は、基本的にすべてが受け身だ。自分から行動を起こすということをしない。

また、何事にも粗探しをするのがとても得意だ。

そして気が付けば、受け身のゆるふわOLはいつの間にか、アラサーと呼ばれ始める年齢になっているーー


今回のnoteではアラサーにもかかわらず婚活をガンバらない、とても受け身なゆるふわOLついて考察してみたい。

The 日本企業にはたくさんの女子たちが、一般職のゆるふわOLとして入社する(新入社員は23~24歳)。

言うまでもないが、数年後に多くの女子が退職することを前提に採用計画は作られている。

その暗黙の前提の基に作成された採用計画を裏付けるかのように、3年も経てばちらほら寿退社する女子が出てくる(26~27歳)。

そして、彼女たちが新入社員として入社してから7年も経つ頃には、同期は半分以上が寿退社するか、産休明けで"勝ち犬"(30歳以上、既婚・子持ち)として凱旋復帰している(30~31歳)。

この時点で完全なアラサーだ。

ゆるふわOLは同期友達でランチを取ることが多い。"勝ち犬"と"負け犬"(30歳以上・未婚・子無し)が混ざりながら話す様子はとても興味深い。

"勝ち犬"は"勝ち犬"のオーラを出さないようにしながら、"負け犬"の話を聞いてあげている。

"負け犬"がランチに参加できないなどで、そこに"勝ち犬"しかいないときは、一気に子育ての話になったりする。

※「負け犬」・「勝ち犬」の言葉の定義は酒井順子氏の名著『負け犬の遠吠え』にもとづく。

そして、30を過ぎた独身女子はいつの間にか、若手女子社員から"お局"扱いされ始める(一部のキレイな女子はそう扱われないところは、とても興味深い)。


そんなゆるふわOLの彼女達の生態をより深く考察するために、収入面を考えてみよう。

一般職女子の給料は一般的にやはり低い。正社員でも平均年収は約300万円だ(出典:『日経ウーマンオンライン』)。

これは、月の手取りに換算すると約18万円だ。

だがそれでも、独身一般職の彼女たちの多くは実家に住んでいる。自宅に入れる金額を仮に3万円だと仮定すれば、実家住まいの彼女達は、月15万円の可処分所得がある。

ここで、30歳で年収600万円を稼ぐ男と比較してみよう(これは対象を20代・30代の独身男性に限定すれば上位3%に入る水準の年収だ)。

単純に換算すると彼の手取りは、前述の女子の倍の36万円。賞与と所得税の水準を考慮すると、実際には年収600万円の男の毎月の手取りは約30万円だ。

ここから、都内23区、いや、女子受けがいい場所、つまり、中目黒や代官山、恵比寿や麻布などに住んでいたら、ワンルームでも家賃は12~15万円ぐらいするだろう。

管理費込みの家賃を例えば13万円と仮定すると、可処分所得は30-13=17万円になる。

独身男性の上位3%に入るハイスペ男の可処分所得は、実に、ゆるふわOLと約2万円しか変わらない。

ゆるふわOLの食費に関しては、朝は実家、夜は友人と食事に行かなければ基本的に実家のため(デート費用は当然男持ち)、ランチ代が主だ。

仮にランチを1,000円、毎週金曜日は女子会をしたとしても、1,000×20日+4,000×4日+α≒40,000円。15-4=11万円。

つまり、毎月約10万円は自由に使えるのだ(無論、この中から化粧品代などの出費はある)。

これは、家族持ちで日々の昼飯代を気にする中年会社員がうらやむ可処分所得の水準だ。

従って、実家住まいのゆるふわ一般職OLは、アラサーぐらいになれば年収そのものは低くても、経済的にはそんなに不自由していない。

実家に住んでいるため家に帰れば家族がいるから、寂しくもない。

前置きが長くなったが、彼女達は毎日の生活に何ら不自由がないのだ。「素敵な彼氏がいない」というただ一点を除いては。

そんな多くの女子達は、毎日に"マンネリ感"を抱いている。

それは仕方がないだろう。一般職は事務職と言われるぐらい、事務的な仕事ばかりだ。

冒頭に記したように、仕事の全てがルーチンワークなのだから。

無論、彼女達がこういうルーチンワークをやってくれるから、自分のようないわゆる"総合職"と呼ばれる社員が、自分の業務に集中できる。

彼女達は縁の下の力持ちでもある。その点はきちんと記しておきたい。

ただ、残念ながら彼女達の仕事は代替可能だ。

たまに一般職の女子が産休などに入り、また、突発的な繁忙期などがあり、派遣社員(女子)が送り込まれることがある。

そんな派遣社員の女子達は一週間もすれば、すぐに業務を覚える。それぐらい、一般職の仕事は簡単なのだ。

2000年前後に就職氷河期があったためか、派遣社員の多くは30代だ。いわゆるロスジェネ世代(1990年代後半から2000年代前半の就職氷河期に就職活動をした世代)だ。

30歳を過ぎた派遣社員の女子はすごい。

何がすごいかといえば、正社員の女子達には嫌われないように、30才を過ぎた女子が20代半ばの女子達にとても気を遣いながら接し、そんな中で、総合職男子にはホスピタリティ満載の対応をする。

派遣女子は分かっているのだ。

ここで何か目立ったことをすれば、正社員の女子たちに陰口を叩かれることを。

目立たないようにしながらも正社員のゆるふわOL以上の仕事をして(ただし、彼女たちに嫌われないようにしながら)、男女みんなに、さらには部署の責任者に気に入られれば、正社員へ転向できる可能性があることを。

無論、いきなり正社員にするのは難しくても、派遣を更新、また更新と更新し続けていけば、その先にはやはり正社員の可能性がある。

1年以上も働けば、その部署の多くの人が彼女に愛着を持つ。色々なことがあるけど、みんな人間なのだから最後は感情が動く。

いずれ、部署の責任者や純粋にビジネス能力だけで物事を考える社員は気が付く。

「派遣社員はゆるふわOLの正社員以上の仕事をしている」、と。

そのため、その会社の方針やそのときの経済情勢にもよるが、1年以上勤務すると正社員になる派遣女子も一定程度いる。


そんな彼女たちは、部署の歓送迎会や忘年会などのお酒が入る機会を利用して、厳しい女子たちによって運営される某自警団の厳しいパトロールをかいくぐり、「この男!」と決めた男には自ら近づく。

「大企業正社員の妻」という地位を手に入れれば、立場が不安定な派遣社員から人生一発逆転だから。

だがその彼女の行動が某自警団に発覚すると、会社にとてもいづらくなり、派遣社員の女子は会社を去ってしまう。

だが、たとえ会社を離れても、モーションをかけたその正社員の男をうまくゲットし、仲がよかったゆるふわOLに結婚を報告する恋愛強者もいる。

そうすると、そのゆるふわOLから某自警団に広まり、彼女達の機嫌は一気に悪くなる。

このとき、某自警団の周囲にいる男性社員は、なぜゆるふわ一般職達の機嫌が急に悪くなったのかさっぱり分からず、混乱をきたす。

「きっと女の子の日なのかな、今日はあまり話しかけるのをやめよう」

など、何もわからない男なりに結論を出す(男は「結論」が大好きな生き物だから)。

そう、派遣女子は、彼女達は自分の置かれている立場をよく理解し、仕事も恋も努力している。

だから自分は、そんな派遣女子が好きだ。男女かかわらず、努力している人たちが好きなのだ。


話をアラサーゆるふわOLに戻す。

ゆるふわOLは就職活動のときに、「一般職」を選んで入ってくる。

ただただ、会社の規模、ネームバリュー、そして、"キラキラ感"だけを意識して。

そんな彼女達だから、仕事はそこそこにして、恋愛活動をガンバるのは当然だろう。

それは、極めて正しいことだと思う。

例えば恋愛活動をガンバりながらツイッターでキラキラアカウント(@港区)を運営して、セックスしたいだけの男達をディスりまくり、25才を過ぎて自分の恋愛市場での価値がピークのときに、ハイスペイケメンとサっと結婚する。こんな生き方はゆるふわOLとして、とても素晴らしいと思う。

港区キラキラアカウントを運営する彼女は、現実の世界では男が決して女性に伝えない、要するにすべては「貴女とセックスするため」という男のバカな本音をツイッターを通じて学習する。

そして、その大切なセックスを目の前の男にストップロスされる寸前まで最大限出し惜しみし、その結果、「結婚」という自分の人生の一大イベントに勝利しているのだから。

そんな彼女達は結婚後しばらくすると出産し、一気に"勝ち犬"となり、同期の"負け犬"の女子達と久しぶりにランチをする。

"負け犬"にいかに子供が素晴らしいかという話をしたい気持ちをグっと堪えながら、職場のあの人が今どうしている、とかそんな情報を収集しながら、内心こう思っている。

「〇〇ちゃんも早くいい人見つけて、結婚すればいいのに」

と。

景色がとてもきれいな高層ビルの30階から、地上を見下ろすような感覚でーー


ケーゴ

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