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保育園の基礎知識 その① ~保育園の分類と特徴~

時々ニュースに登場したり(あまり良くないニュースが多いのが業界人としては大変悲しいのですが)、お子さんが通っていたり、何かと身近な存在の保育園ですが、それはそれはとても複雑な制度のもとに成り立っています。

保育園の定義

いくつかの法律で保育園(法律的には保育所と呼びます)について定義されていますが、児童福祉法によれば、保育所は「児童福祉施設」に分類され「保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設」とされています。何らかの事情(例えば保護者が就労しているとか)で保育が必要な子どもを預かる施設、ということになります。

保育園の分類

次によく耳にする保育園の種類から見ていきましょう。まずは下記の画像をご覧ください。

保育所の分類

色々と書いていますが、それぞれ解説していきます。

認可保育所

認可保育所はその名の通り、行政から「認可」を受け、運営している保育所です。その中でも公立保育所と私立保育所があり、私立は民間の法人(社会福祉法人、学校法人、株式会社も最近は多いです)が運営しています。私立の認可保育所の中でも「施設型給付」と呼ばれるものと「地域型給付」と呼ばれるものがあり、施設型給付と呼ばれるタイプ(いわゆる典型的な認可保育園)は就学前の全年齢(0~5歳)の子どもを預かり、園庭のある保育所が多いです(都市部では園庭がなく近隣の公園等で代替しているところも多くあります)。

地域型給付は、待機児童解消を目的として作られた制度(内閣府資料)で、小規模認可保育所や家庭的保育室などがこれにあたります。小規模認可保育所は0~2歳までの子どもを預かり、19名以下の少人数の定員で運営されています(都市部で特によく見かけます)。

これらが一般的には「認可保育所」に括られるものです。この「認可保育所」では、保護者が保育園を利用したい場合、地方自治体に申し込みをし、自治体が利用調整をした結果、OKが出れば入園できることとなります。一時期話題になった「保育園落ちた日本うんぬん」はこちらの保育園の話になります。

認可外保育所

上記の「認可保育所」以外の保育園は「認可外保育所」に分類され、認可外保育所もいくつかのパターンに分類されます。

1つ目が「純粋な認可外」のパターン。これは、行政からの補助などを一切受けずに運営されるものです。代表的な例としては、いわゆるインターナショナル保育園(すべて英語で保育するなど)や、最近は少なくなりましたが、一時期待機児童の受け皿として急速に増えた認可や地方自治体の認定に係る施設要件等を満たさない保育施設などがあります。誤解のないように補足しておくと、こうした認可外保育所は「認定」や「補助」は受けていなくとも、認可外保育施設の設置基準に従って運営すべきとされており、行政に届け出てチェックも受けていることがほとんどですので、全くのノーチェックということは稀です。

2つ目は「行政の認定を得ている」パターン。これは、一定の基準を満たしている施設を行政が「認定」し、補助金を得て運営されるものです。代表的な例としては、東京都の認証保育所(特に都市部は、他の自治体でも名称は違えど似たような制度が多くあります)や内閣府が制度を整備をしている企業主導型保育所が挙げられます。こちらは認定の基準が高いものが多く、認可保育園と同等の基準を求められることも多いです。(適用される制度により基準に違いがあります)

利用者目線での違い

利用者目線での大きな違いは、次の3点です。

【①入園までのプロセス】認可保育所の利用を希望する場合、自治体に申し込みをし、自治体が入園にあたる調整をします。一方、認可外保育所は保育園に直接申し込むことになります。(見方を変えると、認可外保育所は自治体からの園児の斡旋がないため、自分たちで園児を集める努力が必要になります)

【②保育料】認可保育所では、保育料は保護者の所得に応じて決定されますので、同じ保育園に通っていても保育料0円の家庭から7万円/月近く負担する家庭まで様々です。認可外保育所では、保育料の設定は事業者の任意となり、教育に力を入れているインターナショナル保育園のようなところは月20万円近くの保育料設定をしている場合もあります。逆に高所得の世帯の場合、認可外の保育料の方が安くなるということもあり得ます。

保育料に関連して「幼児教育・保育の無償化」は3歳以上(住民税非課税世帯は3歳未満も)が対象となり、認可保育所の場合は保育料は無償となります。一方、認可外保育所は月額3万7千円まで保育料に対して補助が出る形になります。(大雑把な説明ですので、無償化について詳しく知りたい方はこちら

【③設備の充実度・保育内容】認可保育所、認可外保育所、認可外の中でもそれぞれの制度での基準が異なるため、利用者の視点では「設備の充実度」や「保育内容」に違いがあるように感じることもあります。

一般的には、認可保育所の方が、施設整備の基準が厳しいこと、その分施設整備に係る補助金が多く出ることなどから、設備が充実していることが多いです。ただし、認可保育所の方が制度として古く、昔からある施設も相対的に多いため「設備が古い」ことはあり得ます。一方で、認可外保育所でも、認証保育所や企業主導型保育所などは、認可保育所に近い内容の施設整備の基準で補助金も出るので、設備的に充実している施設も多くあります。

保育内容では、認可外保育施設の方が、①で記載したように直接園児を募集していたり、②で記載したように保育料を自由に設定できるため、英語やスポーツ教育などに力を入れる(つまりそこに予算をかける)などの特色を強く出しているところが多いです。もちろん、認可保育所でも独自の保育(教育)方針を持ち、特色ある保育をしている保育園もたくさんあります。

とても大雑把な解説ですが、保育園の分類と特徴についてご理解いただけましたでしょうか。「興味を持った!詳しく知りたい!」という方はこのあたり(内閣府説明会資料)に詳しい資料があがっていますので、ご覧になってみてください。

今回は説明しきれなかった認可保育所と認可外保育所の「基準」については次の記事で解説します。

ではまた!



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