いつの間にか耳が平等主義になっていた話
私は人と会話をしている時にテレビがついていると、目の前の人の話も聞こえているし、同じくらいの音量でテレビの中の会話も聞こえている、テレビ以外の風の音や床が軋む音などの周りの環境音も全てちゃんと聞いている
どうやら通常、人というものは「今はこちらの会話を優先する」という判断が働き、目の前の会話を集中して聞いて、他の雑音は意図的にボリュームを下げて聞かないようにすることができる…らしいが、自分の場合はそんなことはなく、耳に入る音なら全て平等に聞いている、差別をしない耳である
たまに「人の話聞いてないよね」と言われたり、飲み会とか歓楽街とかで会話が聞き取れなくて、とりあえず「エエ..ソウデスネ...」などと言って誤魔化していたりする
普段からこんなもんだし、なんなら聞こえていても他のこと考えていて本当に聞いていないなんてこともざらにあるので特に気にしていなかった
が、ある時仕事中にこんな本を見つけた
聞こえているのに聞き取れないAPD【聴覚情報処理障害】がラクになる本 https://amzn.asia/d/b5aP9Jz
「聴力検査では問題が見つからない」
「雑音のある場所だと人の声が聴き取りにくくなる」
書かれているほとんどの項目が当てはまった
いつからこうなのか、思い出そうとしても全く思い出せない
20代前半の頃はよくライブハウスやフェスに行って爆音で音楽を聴く機会が多かった
その時に耳をおかしくしたというのもありそうだし、集中力の無さはかなり昔からなので、もっと幼い頃から実は症状が出ていた可能性もある
今も昔もずっと音楽を聴くことが好きである
おそらくそれは単純に心地が良いというのもあるし、音楽を聞いているだけであるなら音楽のことだけを考えていられるからだ
しかし、なにか作業をしながら音楽を聴くだとか、テレビのついた部屋で作業をしようとすると途端に集中できなくなる
他の人はどうかわからないが、自分が人と会話している時の感覚は、目の前の人と会話をしている時、相手が話した言葉が自分の脳内で自分の声として再生されている
周りが無音ならなにも問題はないが、例えば居酒屋で隣の席の人がなにか話をしていたとすると、その会話まで脳内で自分の声で再生される
つまり
友人「昨日買い物に行ったらちょうど欲しかった靴が売ってたんだよね」
隣の席の人「今日会社で上司に怒られてすげぇむかついたわ〜」
という二つの会話が私の脳内では同時に読み上げられるので
「昨日今日買い会社に行っ上司に欲しかっすげ靴がたわ〜んだよね」
というように混ざって聞こえる、両方同時に聞こえる
文章で表現するのが難しいので自分が聞こえてる感覚が正確に表せてはいないが、会話が途切れて聞こえるというよりも、二つの音楽を同時に聞いている状態に近い気がする
片方に集中しようとしても、勝手に脳内の自分が周りの集中すべきではない会話や音まで拾ってしまう
最近やっとこの症状を自覚したので仲の良い人には「人混みとか他の音のある場所だと会話聞こえないかもしれんわ、すまんな」と言うようにしている
今まで「そういうもの」だと思っていたものが、実はなにかしらの原因のある症状だということがわかって、もしかしたら他にも自分だけが違うものというのはいくつもあるのではないかと思うと少し怖くもあるしワクワクもする