[連載制作ノート] 祓ってませんよ?v.0 <企画立ち上げ編>
[カガミツキログ 第1回]
というわけで、定期購読マガジン『カガミツキログ』の第1回です。
初回の第1回は無料で見れるようにしました。以降、気になったり続きが読みたくなったり、気に入ったという方はぜひ購読していただけたら幸いです。今後の活動資金にさせていただきます。
副題に分かりやすく『僕が漫画家になるまで』と付けました。時系列から追ってやっていけばいいんですが、第1回から既に初連載作品を扱っているので、厳密に言うと既に読切デビューしちゃっているところから始めます。そこはご愛嬌ということで。
作品の説明をさせていただきますと、『祓ってませんよ?』(通称:祓ませ)は2013年7月~2014年5月に月刊コミックフラッパーにて連載していた僕の初連載作品です。全2巻出てます。良かったら読んでください。
このnoteは先に申し上げておきますと、ネタバレ全開です。もう一度書きます、ネタバレしかないです。既に読んでもらった方々向けではあるので、その辺りはご了承ください。
[読切デビュー~連載]
2012年10月にコミックフラッパーで読切デビューしてからが、僕の漫画家としての活動のはじまりになりました。
その号で妹読切『キックアシスタ』でデビューさせていただきました。こちらは去年のコミティアで同人誌にしてまとめて出しましたね。気になる方はBOOTHにてお買い求めください。
『キックアシスタ』編として、noteには後々今後更新しようかなと思ってます。なのでその時に詳しく書きますね。
この『キックアシスタ』、当時の掲載号では妹読切祭りと称して僕の読切を含め計4本掲載されていたんですが、ありがたいことに4本中でアンケート1位でした。すっごい嬉しかったのを覚えています。
それを受けて、担当さんから「じゃあ次は連載だね、何か連載用のネタ考えといて!」という話になり、結果的に連載になったのが『祓ってませんよ?』でした。
しかし、『祓ってませんよ?』のネタは早々ポンと出てきたものではありませんでした。何故なら連載用のストックが無かったので。当時は読切モノばっかり考えていましたから。
[連載用企画の取っかかり]
当時、打ち合わせでメモってたノートです。
「連載用の話ストック」に色々ズラズラ書いてはいるのですが、ほとんどコミティアで出していた同人誌の創作ネタだったりで長い構想のあるものではありません。描いたとしても多分1巻分とかでネタが尽きて終わってしまうタイプのものばかりでした。
[何も思いつかないというスランプ]
なので…この打ち合わせでは全くといって進歩のある話し合いにならず、自分が精一杯考えた結果「全くといって連載用ネタが思い浮かばなかった」という心苦しい内容になってしまいました。
恐らく、自分は「長い話を考えよう」という発想からではお話が作れないタイプなんだと思います。"どこから"発想を持ってくるか、そこがこの時は漠然としすぎていて全然ダメでした。今の自分はネタの引き出しがとにかくスッカスカだということをとても痛感していました。
[タイトルから考えてみる]
話の核になりそうな「キーワード」を考えたり、「タイトルから考える」という方法をとってみたり…もしていました。カタカナ7文字でタイトルを考えることが多いのでカタカナの羅列とキャッチコピーが書かれてます。
これはこれで発想の方法としては面白いなと思いますが、当時はこれで上手くいくなんて思っていません。とりあえず担当にやる気だけでも見せなくては、という気持ちだけでした。
「ひとまず描きたいキャラクターから膨らませていけば?」という担当からのアドバイスもあったので、この時はこの中にある『アドバイスター』・『エクスポーズド』というタイトルからの発想で上手くいくかわからないけどとりあえずキャラクターと設定を作ってみることにしました。
[ふたつのキャラクター設定]
①『アドバイスター』、②『エクスポーズド』のキャラクター設定です。これを実際に提出し、再度打ち合わせをしました。
①はほとんど『祓ってませんよ?』の原型となったものです。ただし、あらすじ・キャラ設定が全く違うモノで、お祓いなんて全く出てこない要素でした。キャラクターたちはまだ名前が若干違ったりします。
②、タイトルの元ネタは大好きなBOOM BOOM SATELLITESのアルバム『EXPOSED』から。キャラクターの名前もお二人から取ってます。アシメめがねっ子のデザインは今でもお気に入り。主人公の親友のキャラクターはのちに『祓ってませんよ?』の中野さんになります。
結果的に言うと①『アドバイスター』から手を加えていきましょうという話になりました。理由はキャラの組み合わせの良さから。
また、②での設定『心が視える』という部分を少しいじって、『幽霊が視える』にしないか?という担当からのアイデアがあり、そのまま『祓ってませんよ?』の形になっていきます。
『幽霊を祓う話』の提案、僕は最初どちらかというと否定派でした。何故なら僕自身がホラーが大の苦手だからです。
ですが、担当氏はそういうのが大好物で、私物の『でろでろ』全巻を貸してくれたり、熱意がすごかったので「…乗っかってみよう」となりました。
結果、連載会議に通ったし、すごくありがたい提案でした。当時は藁にもすがる思いだったので否定するまでもなかったんですが…。おかげでコミックスも出せましたし、今でも担当氏には恩が絶えません。
あと、メモ帳にもある通り、"カタカナ7文字は✖"になっているので、打診したけれどダメと言われたみたいですね。
そういえば、①『アドバイスター』を描く前こんな落書きをしていました。これが思えば星野さん・明神くんの原型でした。「なんも浮かばねえ」と言いながら描いた落書きから、ここまで出世してくれるとは思わなかったですよホント。
[連載企画のスタート]
キャラ表のリテイクです。
メインキャラの星野玲ちゃん・明神戒くんのふたりに加え、明神くんのおじいちゃんの明神仁・飼い猫のクロを追加。
星野凛から星野玲に変えたのは霊が関わってきたので安直に変更。
タイトルが『説教ですから!』という仮題になっていますね。
◆月刊コミックフラッパー|連載向け用
「説教ですから!」(仮) 2013.1.1 - カガミツキ
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◆メインキャラクター
・星野凛(霊能力者)
・明神戒(神社の息子)
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◆1話~5話(1巻分)の流れ
・1話
星野さんと戒くんが初接触→星野さんの能力を知られる→2人の夫婦漫才→学校でもなんやかんや悪霊による悪事が起こる→戒くんが星野さんに頼む→イヤイヤながらも除霊→クラスメイトが星野さんを信用し、慕うようになる
→戒くんのおかげで友達が出来ました(完)
・2話
人生で初めて友達らと登下校(これがモテ期)→戒くんの神社に呼ばれる→なんやかんやで悪霊→退治→神社のじじいに戒と結婚してくれと頼まれる
・3話
部活の話
・4話
不良に絡まれる話
・5話
戒の部活の話(ドラムで除霊エピソード)
1巻分の雑なプロット。日付見たら正月にプロット考えてたんだな自分。
基本的に漫画連載への道は月に数回ある連載会議に作品を出し、通れば連載決定となるのですが、一般的に準備するものは、以下の通りだと思います。
[用意するもの]
①連載用ネーム3話分
②キャラ表
(③完成見本)
僕の『祓ってませんよ?』の場合、①と②はもちろん、1巻のラストにあたる5話目のクライマックスシーンの10ページも提出し、「ヒキはこうなりますよ」という提示もしましょうという話でした。③はある程度ネームを綺麗に描けばいいから、ということで不要でした。
連載会議が月始めにあり、2013年2月5日にある連載会議に提出しようというスケジュールだった為、1月からキャラ表、1話・2話・3話ネーム、5話一部ネームを仕上げるという結構なハードスケジュールでした。
ひと月でネーム100pぐらい描いたってことですね。ちょっと今ではありえないぐらいのハングリー精神です。すごい。
メモにある「会議までには必ず出せよ!!」が全てを物語ってると思います。担当氏、体育会系なトコ、ありました。
[連載会議の結果]
"仮決定"という運びになりました。
仮かよ!と思ったけれど、ダメという結果より良い結果だったのでとりあえず喜びました。ただし、修正次第では…とのことだったので、ネーム修正作業も結構大変だった覚えがあります。
[次回予告]
ということで次回は"ネーム編①"をお送りします。
解説も含めて丸々ネーム掲載します。初稿はこんな感じだったとか、どこをどうして"仮決定"だったのか。実際に掲載されたものと見比べると全然違うのでそのへんも面白く見れるかなと思います。
続きはこちらの定期購読マガジン『カガミツキログ』へ。何卒よろしくお願いします。