7時間かけてレビュー!J1 第30節 清水エスパルス-ヴィッセル神戸
前節仙台に勝利し、今シーズン初の連勝を目指して臨んだ神戸戦。結果は非常に残念な0-2。戦前に、神戸の前節 札幌戦を前半だけ見たのですが、その限りでは「神戸には勝てる。勝たなきゃいけない」と思っていました。結果こそ神戸の勝ちだったものの、内容は札幌の組織だった攻撃に押し込まれ、圧倒されていたからです。だからこそ、この敗戦は辛い。
自身の気持ちを切り替えるためにも、振り返っていきます。
スターティングメンバー
清水ベンチ:GK 永井 DF 奥井、鈴木 義宜 MF 竹内、滝 FW カルリーニョス、ディサロ
神戸ベンチ:GK 廣永 DF 小林、山川 MF 佐々木、櫻井 FWボージャン、リンコン
清水はいつもの4-4-2。前節仙台戦から、LSHに唯人に代わりコロリが復帰、唯人はFW藤本の位置に入った。藤本は期限付き移籍元との対戦のため出場不可。
神戸は前節と同じ4-2-3-1。メンバーも全く同じ。ただ、サブにはDF櫻内、FW田中 順也に代わり、高卒1年目の櫻井とリンコンが入った。
前半
立ち上がりは神戸ペース。フリーのホナウドが松岡にヒールパスするも大迫に渡ったり、大迫へのスローインに対してホナウドが見るべきところに松岡も寄せてしまい、挙句大迫にヘッドで繋がれてボランチ2枚が一気に無力化されたりと、清水にとってはバタバタしてしまった。
清水のビルドアップは、ボランチがCBの位置に下りてSBを押し上げるいつもの形。最終ラインに右シャドーの武藤が食いつけばLSB片山を使い、片山にRSB酒井が食いつけばその裏にLSHコロリが走る(2:52)。ほかにも、コロリにロングボールを送ったり(4:48)、RSH西澤が低い位置まで下りることで初瀬を引き付け、人が少なくなった神戸最終ラインに対して、原からサンタナを狙った縦パスを入れたり(5:11)と、様々な攻め手を見せる。
神戸は2CB+2SBでサイドチェンジしながら、機を伺う形。中が空けばサンペールや大崎を使う。状況に応じて大崎がCBまで下がってボールを中継することも。これに対して清水は、特にボランチへのパスコースを切ることができず、神戸の前進を許してしまうことが多かった。
ロティーナ監督も、思うような形に持ち込めなかったと言っている。
以下、ロティーナ監督の試合後コメント。
前半、ハイプレスの部分で準備してきた形を出すことができずに押し込まれ、また奪ったあとも相手のプレスの前で、早くボールを失ってしまうというシーンが目立った。
お互い、最終ラインからのビルドアップは思うようにできていた。ただ、セカンドボールを神戸が拾うことが多く、神戸ペースで進んでいった。
7:26 1失点目のシーン。神戸最終ライン右外に開いた菊池から大迫めがけたロングボールが送られる。一度はホナウドがマイボールにするも、片山との連携でミスが出て再度神戸ボールに。神戸は右の酒井に2回ボールを送り、清水の陣形を右に引き付ける。サンペールから最終ラインのフェルマーレンへボールを下げる。フェルマーレンはワントラップして左前にいた大崎へ。この早い展開により、サンタナが置いて行かれる。原とヴァウドの間に、大迫が位置取り、原の裏を突くタイミングを見計らう。大崎は少しドリブルすることで西澤や原を中に絞らせ、左外のイニエスタへパス。西澤は大崎へのリターンのコースを消す。イニエスタは、逆にコースが空いた外の初瀬へパス。初瀬に原が付き、それによって松岡が大迫に付かなければならなくなる。結果、大崎がフリーになる。西澤も大崎へのコースを切れていない。
初瀬→大崎→初瀬で西澤、原を置き去りに。前へ向かってくる初瀬に対して松岡が付くことで、大迫がフリーになる。原はここでなぜかジョギング。なんで。。。時間を得た大迫は、中をしっかり確認して武藤へクロス。武藤のヘッドが井林に当たってコースが変わり、ゴールへ吸い込まれた。
正直このシーンは初瀬から大崎へのパスコースを切れていなかった西澤、大迫が自身の前でフリーでいるのに全力で戻らなかった原の責任としか言いようがない。井林の対応は仕方がないと考える。大迫がフリーすぎたので、どんなクロスが来るか全くわからない状況。井林としては最優先で消すべき、キーパーとDFラインの間にクロスが飛ぶのを警戒している。そこに並行したクロスが武藤に飛んだため、寄せが甘くなるのはしょうがないというのが私見。もちろん、ゴールの外にはじいておくれよという気持ちはあるが。
清水としてはまたしても先制点を奪われる展開となる。
失点後、清水の左サイドでは、ボールを受けたら前を向いてドリブルしようとする武藤に対して手を焼き、ファウルで止めることが多くなる。右サイドは右サイドで、一度左に寄せられてから右に振られることでスライドが間に合わず、初瀬に高い位置まで運ばれ後手を踏むことに。ただ、ボールは前進されるものの、エリア内に侵入されることは少なく、シュートも酒井がエリア外右45度の位置から打った1回くらいだったはず(ヴァウドがヘッドでクリア)。
20:52 清水の最終ラインからのビルドアップ。神戸の前線の配置は、その前の攻撃の流れで、清水から見て、武藤が右、真ん中にイニエスタ、左に中坂という配置になっている。最終ライン真ん中に入った松岡から左の井林へ。片山へのコースは大迫に切られている(映像では映ってないが、おそらくコロリにも酒井がしっかりマークについているはず)。井林は権田へバックパス。この際、唯人がセンターサークル付近、中央やや左側に位置し、大崎を左に寄らせた。
これでコースができた権田はワントラップから右内にいた西澤へ素晴らしいパス。神戸のプレスをひっくり返すことができた。
23:50 清水のビルドアップ。このあたりから神戸の前からのプレスが弱くなる。左CBの位置に下りた松岡がボールを持ちながら、片山に対して「上がれ」と手でジェスチャー。いったん井林に戻し、再度左内のエリアでボールを受ける。左外の片山へのコースは武藤が切っている。松岡は少しドリブルし、ハーフウェーラインやや超えたあたりに下がってきたコロリへパス。コロリは左外の片山へフリック。マーカーである酒井を置き去りにし、一気にスピードを上げることができた。
ここで、片山にはCB菊池が対応し、さらに左内のスペースへ走ったサンタナにはCBフェルマーレンが付いた。つまり、CBを2枚とも真ん中から引きずり出すことができた。あとは中にボールを送れればといったところ。(結局サンタナから片山へのパスを、全力で戻ってきた酒井にカットされた。また、CBが空いたエリアには大崎がいち早く帰陣。2人の危険察知の判断はさすが。)
前半飲水タイム後
飲水タイム時のスタッツは、ボール支配率は36% : 64%。シュートは0 : 2。(DAZN中継より)
飲水タイム後、清水はより前線からのプレスの強度を上げる。具体的には、前からプレスをかけてキーパーまで下げさせた時、ほぼ必ず神戸GK飯倉まで寄せきるようになる(序盤は、飯倉まで行ったり行かなかったりという感じだった)。目的は、飯倉に長いボールを蹴らせ、最終ラインで競り勝って回収するため。飯倉へのプレスのかけ方も、左半身を切りながら寄せることで、切り返しをさせず、後ろがある程度ロングボールの落としどころを予測できるようにしている。
33:20 清水のチャンスシーン。ハーフウェーライン付近 右内でホナウドがボールを持つと、左内の井林へパス。井林は前にいる松岡へ。松岡はセンターサークル内の唯人へパス。飲水タイムの少し前から神戸のプレスは弱くなっているので、ここでフリーでボールを持つことができた。唯人は右外の西澤へ。西澤→ホナウド→唯人と中に返す。また、RSBの原が右内のスペースに陣取る。このパスと配置の目的は、相手のブロックを中に絞らせることと、西澤をより高い位置に移動させることの2つ。この後、唯人から早いパスが右外の西澤へ渡る。完全に、「中に引き付けて時間を用意したんだから、ちゃんとクロス上げてよ」というパス。西澤はカットインから左足のクロス。これをエリア内でサンタナがヘッド。シュートは枠に飛ぶが、飯倉がファインセーブ。
この後も、引き続き飯倉へのプレスを続ける清水。飯倉からのロングボールを、大迫や武藤が競り勝って神戸がボールを収める場面もあったが、前半の終わりごろになってくると、清水DFがはじき返したり、キックがそのままタッチラインを割ることで清水ボールになる場面が増えてきた。
42:01 清水の決定機。ハーフウェーライン付近でビルドアップ。センターサークル内のヴァウドから井林へ。ホナウドが左CBの位置に下りる。井林→松岡→ホナウド。これによりイニエスタを松岡に引き寄せ、ホナウドから引き離す。時間を得たホナウドから神戸陣内2/3 右外にいる原へ素晴らしいボールが渡る。この時、唯人がボランチ(大崎)の脇へ降りることで中坂を中に絞らせ、西澤がFWの位置に入ることで初瀬とフェルマーレンをピン止めしている。
原はワンタッチで中の西澤へ。西澤がフェルマーレンのプレスに耐え(すごい!)、ヒールパスで原へ戻すと、原がワンタッチでエリア内にグラウンダーのクロスを供給。反応したサンタナがダイレクトでシュートを放つも、枠の上。完全にフリーになれたので、これは決めなければいけない。
前半はこのまま試合終了。
ハーフタイム時のスタッツは、ボール支配率は35% : 65%(DAZN中継より)飲水タイム時点で34% : 64%だったので、数字だけ見ると、ほとんど変化はない。清水としては、中央を固めることで深い位置に侵入されることも少ないが、ボールを持たれた際に、奪いきることもあまりできなかった。一方神戸もリードしているため無理をせず、少しでも詰まると最終ラインに下げてボールを繋ぐことを優先していたため、このような支配率になったと推測。
ただ、ロティーナ監督は、自分たちの時間を作ることができたと言っている。
以下、ロティーナ監督の試合後コメント。
20分、25分あたりからハイプレスの部分を修正して、自分たちが準備してきたことを強調して、効果的にプレスがかかるようになってから、相手がボールを持つ時間を削って、自分たちの時間を作ることができた。
この辺りは、シュートの本数を、飲水タイム時の0 : 2から4 : 2まで上げることができたので、「自分たちがやろうとしてきたことをやれている時間が増えた」という解釈をするべきだろうか。
後半
清水は選手の交代は無し。
神戸はイニエスタに代えて佐々木を投入。左シャドーの位置に入る。左シャドーの中坂は右へ。武藤が真ん中。ただシャドーの3人の配置は流動的。イニエスタのOUTは、守備で明らかに運動量が少なかったのもあり、それが理由か。ボールを持つとさすがのプレーで何度もエリア内に侵入されたが、今の神戸というチームでは、守備のタスクの重要度が高いのだろう。(山口蛍がいないのも影響していそう)
ビハインドの清水は序盤から攻勢を強める。球際の強さだったり出足で神戸を上回り、神戸陣内に押し込む時間が増える。一方神戸は、マイボールになったときにパスミスが多く、流れは清水に傾く。右サイドから早い段階でアーリークロスを入れたり、スローインの流れからサンタナが右外深い位置で起点になったり、唯人が中央でボールを受け、サンタナ、片山との浮き球のコンビネーションでこじ開けようとしたりと、あの手この手で打開を図る。50:48にはFKの流れから、西澤が左サイドでカットインからシュートを放つ。53:23には右から西澤がクロス。直後の53:35には右の深い位置で唯人が初瀬、佐々木、中坂を引き付けて松岡にパスし、松岡が浮き球をエリア内に供給した。ただ、後ろ二つは味方に繋がらず、シュートまで持っていけない。
そうこうしていると再び神戸がボールを持つ時間になる。53:59の飯倉のゴールキックから、57:33に唯人が大崎からファウルをもらうまで、3分半もの間、ずっと神戸の時間。ボールをカットしてもタッチラインを割ったり、クリアボールも味方に繋げられなかったりで、清水としては我慢の時間となった。
それをしのぐと再び清水の時間となる。LCBの位置に下りたホナウドに武藤が寄せるので、その後ろの片山にボールが出せれば酒井を引っ張り出せる。さらにその裏にコロリを走らせることで、CBの菊池を引き込む。酒井が出てこなかったら片山がドリブルで持ち上がる。解説の柱谷さんも言っていたが、左サイドから人をずらすことでチャンスが作れそうな気配があった。58:24には、神戸陣内2/3 左外からフリーの片山がエリア内にクロスを供給。
ただ、コロリ対菊池では菊池が勝つことが多く、そのあたりもあってか清水としては右からの攻撃が多くなる。右からは、スローインの流れで右外に開くサンタナを使うことでボールを前進させ、CKを取っていく。サンタナがサイドに出ると、神戸CBも引き付けられてサイドに寄っていくので、中は酒井とコロリの1対1になることも。何とかそのタイミングでクロスが上げられればよかった。
しかし、CKからクロスを上げられなかったり、イージーなパスミスをしてしまうことで再び神戸にペースが渡ると、64:26に右サイド酒井のクロスから佐々木が後ろにそらしたところを、大迫に今日一番の決定的なシュートを打たれてしまう。何とかヴァウドが足を出して枠外に反らしたが、ここで試合が決まってしまってもおかしくなかった。
ここで飲水タイムに入る。
ボール支配率は40% : 60%。シュートは5 : 3。(DAZN中継より)
傾向は変わらない。
後半飲水タイム後
68:31 清水のチャンス。ハーフウェーライン付近 左から片山のスローイン。唯人とのパス交換を経て、片山が中のスペースにいたヴァウドへ送る。ヴァウドから右外の原に渡して逆サイドへ展開。原は中のエリアまでドリブルして相手を引き付ける。原→ホナウド→片山と左へ展開。左右に振ることで神戸のMFラインを横に広げた。片山からセンターサークル内の井林へ、井林から広がったMFラインをすり抜け、最前線のサンタナへ縦パスを入れることができた。サンタナは片山へ落とし、左外のコロリへ。コロリのクロスはDFに当たるが、こぼれたところをホナウドが回収、再度クロスを送ったが、初瀬にクリアされた。片山がスペースを作るためにニアへ走っており、中の動きも悪くなかっただけに、しっかりと味方に繋げたかった。湘南や鳥栖はこのクロスを得点に繋げられるのに、清水がノーチャンスなのは個人のクロス精度の問題?
とはいえここからさらに攻勢を強める清水。相手のクリアボールをヴァウド、井林、ホナウド、松岡がしっかり回収し、二次攻撃に繋げる。70:26には神戸陣内1/2 左内の片山からサンタナへのクロスも合わず。サンタナは裏の西澤に走り込んでほしかった。西澤はサンタナが自身にボールを落とすことを期待し、オフサイドにならないようにスピードを緩めた。クロスボールは最高だっただけに、同じ絵を描けておらず、残念。
70:50 清水が選手交代。唯人に代えてカルリーニョスを投入。サンタナ、カルリの2トップに。神戸を押し込むことはできているので、下がって受けたがる唯人を下げ、前でより決定的な仕事ができるカルリーニョスを入れた。
71:59 清水のカウンター。清水エリア内へのグラウンダーのクロスを片山がワンタッチで右内の西澤へ。西澤→原→サンタナ→西澤で神戸の前からのプレスを攻略。右外に開いたサンタナから中のカルリーニョスへクロス。こぼれたところを西澤、片山が狙っていたが、そこにボールは落ちなかった。縦パスとそれを拾う人間を近くに配置することで相手のプレスをいなし、素早く展開することができた。クロスが単発で終わらないようにこぼれ球を狙うこともできており、良い攻撃だった。それだけに、西澤の足元にボールが落ちていれば。。。
72:58 ホナウド→コロリ→カルリーニョスで中央突破を試みるも、相手に先に触られる。
75:08 西澤がセンターサークル付近で半身でボールを受けると、中央でドリブル開始。コロリとのパス交換は防がれるがこぼれ球を拾って左外の片山へ。片山のワンタッチのクロスをサンタナがエリア内で足でコントロール。佐々木に体を入れられてしまったが、近くにいたカルリーニョスに渡すことができれば1点だった。この後、相手のクリアをホナウドが拾い、エリア外からミドルシュートを放つも、ボールは枠の左。
76:02 神戸の選手交代。サンペールに代えて櫻井。中坂に代えてボージャンを投入。櫻井はリーグ戦初出場となる。櫻井は同じボランチの位置。ボージャンも中坂と同じシャドーに入る。サンペールは、先ほどの西澤のドリブルに対して付いていくことができていなかったため、疲労が見えたことによる交代か。
79:54 清水の選手交代。コロリに代えてディサロ。ホナウドに代えて竹内。ディサロがトップに入り、カルリーニョスがLSHに下がる。交代の意図は、ディサロを入れることで、前から行くぞというメッセージか。ホナウドは毎回この辺の時間に交代なので、予定通り。ただ、先ほどのミドルシュートは、ロティーナ監督の望むものではなかったのかな?とも少し思う。(その後井林もミドルシュートを打っているので、気にしすぎか。)
80:56にはカルリーニョスが左外のスペースでボールを受けると、タッチライン際で巧みなボールコントロールで対面する酒井にボールを奪われない。中に送ったボールが井林のミドルシュートに繋がった。カルリーニョスをサイドに配置するメリットが出た形。コンディションも上がってきているのを感じる。この後も、相手のロングボールをはじき返す際はカルリーニョスめがけて行っているので、ボールを収めることを期待されているのだと思う。
82:53 神戸の選手交代。武藤に代わってDF山川。初瀬に代わって小林。DFの選手2枚を投入し、5-4-1にシステムを変更。最終ラインを右から、山川、菊池、フェルマーレン、小林、酒井。中盤を右からボージャン、櫻井、大崎、佐々木。1トップに大迫とした。前に出るのではなく、ブロックを固めて守る方針。最終ラインの人数を増やし、カルリーニョスに山川を当てる。そこを突破されても菊池が中の人数を機にせずにカバーに行けるような意図か。さらに途中投入されたボージャンは清水最終ラインにアタックせず、常に片山を見ることで、この試合ずっと怪しかった清水左サイド(神戸右サイド)の守備を整理した。
逆に清水は、相手MF4枚の前までは自由にボールが運べるようになる。左CBの位置に下がった竹内が、サイドチェンジやドリブルで運んで松岡経由で右サイドへ展開するなど、ブロックを動かそうと試みる。84:45に大外から西澤がクロスを送り、ニアでサンタナが後ろのディサロ、カルリーニョスにフリックしようとするもうまくいかない。
86:10 清水の選手交代。西澤に代えて滝。滝は西澤と同じRSHに入る。
86:40 2失点目のシーン。清水ゴールライン付近。左タッチラインから片山のスローイン。ディサロを狙ったスローを山川にカットされる。これを拾った神戸が最終ラインにボールを下げたところで、滝が後ろの準備ができていない状態でどのパスコースも切れない角度からLCB小林にプレスに行ってしまう。小林は当然外の酒井を使う。酒井に原が出ていったところで、空いたスペースに佐々木が走り込む。ヴァウドが付いて行ってCB間の距離ができたところに酒井からエリア手前の大迫へ縦パスが入る。大迫は中で清水DF人を引き付けたうえで、左外の佐々木へパス。佐々木のマイナスのパスに大崎がシュート。松岡に当たってコースが変わったボールは権田の手をすり抜けてゴールイン。ビハインドの中、投入直後で前から行きたい滝の気持ちは十分わかるが、一人が勇んで出て行っても後ろが準備できていなければチームにとってマイナスになる。あそこは酒井へのコースを睨みつつ後ろの準備ができるのを待つべきだった。もっというと、大崎のシュートまで時間があったのだから、最終ラインまで戻ってきてほしかった。
滝を入れもう一段ギアを上げるぞと意気込んだ直後の失点。これは堪えた。
この後、右から原、左からカルリーニョスがクロスを上げるも、ニアではじかれてチャンスにならない。滝がスペースがない最終ラインに向けてスルーパスを出したり、エリア内で竹内がヘディングしたり、左外でカルリーニョスではなくサンタナがボールを受けたり、滝ではなく原がドリブルで仕掛けたりと、攻撃もちぐはぐになってしまい、そのまま試合終了。無類の強さを誇った鹿児島デーだったが、今年は0-2の敗戦となった。
試合終了後、最終的な支配率は45% : 55%。8 : 5。(DAZN中継より)
終盤は清水がセカンドボールを回収できており、支配率にもそれが表れている。ただ、ボールを保持する割にはシュートをする場面が少なく、「惜しい」と思う場面は少なかった。
追いつくことはできたかもしれないが、逆転する未来は残念ながら見えてこなかった。ロティーナ監督も同じ印象の様子。
以下、ロティーナ監督の試合後コメント。
プレーの内容を考えると、引き分けでも妥当だったのではないかと思う。
一方神戸は、札幌戦に続いての勝利。守備強度を上げるためにイニエスタを前半で下げる。先制してからはボール保持に重きを置いてじっくり時間を使う。終盤は手堅く後ろでブロックを固める。徹底したリアリストぶりで、前半戦よりよっぽど強かった。試合展開としても、三浦監督の狙い通りといった印象。さらに、中坂、佐々木、小林、山川と、アンダー世代から神戸に関わっている若い選手も積極的に起用し、組織としての底上げも図る。名将なのでは?
以下、神戸 三浦監督の試合後コメント。
特に前半に関しては、相手に圧力をかけながら我々がボールを持つ時間、ゲームを支配する時間が長くなりました。後半は相手が圧力をかけてくる中で、しっかりと守る事と、時間を使う事、さらにチャンスがあれば、相手の背後に出て行く事のバランスが非常に良かったと思います。
トピック
◆西澤
左足でサンタナの頭に合わせたクロスや、エリア内でフェルマーレンとの体のぶつけ合いにも負けなかった点など、今節はさらなる進化を見せてくれた。ただ、再三のセットプレーのチャンスで味方に合わせることができず、途中からCKを唯人が蹴るようになったところは反省点。次節は藤本が戻ってくるため、ベンチスタートになりそうだが、出場したら得点に絡む活躍を期待したい。
◆権田
2失点目は、サッカー未経験者からすると、あれくらいの変化なら止めてくれと言いたくなるが、実際は思ったより大変なのだろうか。失点直後、竹内が「そりゃないよ」としゃがみ込んでおり、私も同じ気持ちだった。
また、ビルドアップについても、相手の頭を越してSBに落とすボールの精度がなかなか上がってこない。相手を引き込むビルドアップをするならGKに絶対に必要なスキルだと思うので、何とか身に着けてほしいところ。
正直、この試合に限って言えば、GKが権田である必要はなかった。簡単にGKを代えろというつもりはないが、競争という意味では、一度永井を使うのも手だと思う。というか、リーグ戦で永井を使わないと、シーズンオフに権田を買い取るかどうかの判断ができないのでは?チームの考え方次第だが。
おわりに
冒頭でも書きましたが、前節の札幌戦を見た人間からすると、神戸には勝たないといけないと思っていました。それだけに、この敗戦は重くのしかかります。終盤のちぐはぐな攻撃を見ても、チームとしてのまとまりはまだ足りないのかなと感じます。
ただ、私がこのnoteを始めた1か月前に比べて、ビルドアップはしっかりと整備され、スムーズに攻撃を行えるようになってきました(当時は、サンタナに当ててはサポートがなく奪われて二次攻撃を受ける場面ばかりだった)。なので、チームは成長をしているが、上位チーム相手に勝ちを拾えるまでにはまだ至っていないということです。
とはいえこの先すべて清水より上の順位のチームとの対戦です。残留ラインが今の勝ち点のままとは到底思えず、あと何試合か勝たなければ降格するのは必至。この危機感がチームに良い影響を与えると信じ(特に球際、寄せの部分)、引き続き応援していきたいと思います。次節は現在8位の福岡が相手。前半戦では後半アディショナルタイムに追いつかれて引き分けた相手です。最近は川崎、徳島、鹿島、鳥栖を倒しており、状態は上向き(しかも川崎以外は3-0の勝利)。難しい相手には違いありませんが、何とか借りを返してほしいところです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。