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5時間視聴してレビュー!J1 第28節 サガン鳥栖-清水エスパルス

前節、攻守ともに完成度の高まりを感じたエスパルス。試合内容で完敗した前回対戦のリベンジをと鳥栖に乗り込んだ今節は、手ごたえを感じながらも1-2の敗戦となりました。この試合はマッチレビューらしく、試合の流れを追いつつ、後半に気になった個所をまとめる形で記事を書いていきます。

スターティングメンバ―

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鳥栖ベンチ:GK 守田 DF 内田、田代 MF 島川、梁 FW 山下、岩崎
清水ベンチ:GK 永井 DF 立田、奥井 MF 竹内、鈴木 唯人、滝 FW 指宿

清水はいつもの4-4-2。名古屋戦の時と比べて2人スタメンを変更。RSBに原が復帰し、LSBには前節ベンチ入りするも出場のなかった山原を抜擢。LSBだった片山がRSHに入り、RSBだった奥井、RSHだった唯人がベンチへ。前節ベンチだった西澤がベンチ外となる。

対する鳥栖は3-1-4-2。これがいつもの形なのか、鳥栖の試合を見ていないため、わからず。

前半

清水は序盤、RSHに入った片山へロングボールを多く供給していた。ヘディングで競り合える片山を前線に配置する強みを生かそうとする。鳥栖も同様にロングボールが多い入りだが、こちらは最終ラインからシンプルに裏を狙うボールだった。

06:48 ボールが行ったり来たりする展開から一転、鳥栖が最終ラインでボールを回し、清水の立ち位置、ディフェンスのルールを確認する作業に入る。08:24にエドゥアルドが前線の酒井にロングボールを蹴るまで、実に96秒もの間じっくりと観察してきた。

試合後のコメントで金明輝監督が、清水は5バックで来ると予想していたと話していた。想定と違ったため、時間をかけて立ち位置の確認作業をしていたのではないか。
以下、金明輝監督の試合後コメントより。

2週間の準備期間がありましたが、主に相手が5バックの想定で準備してきました。

ここで、鳥栖のビルドアップと清水のプレスのルールを確認する。

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鳥栖のビルドアップは、左エドゥアルド、真ん中に朴一圭、右にファンソッコ。一つ前に樋口。朴一圭が真ん中に入らず、エドゥアルドとファンソッコの2バックになることも。仙頭と白崎はやや低い位置、大畑と飯野が大外に開く。

対する清水は、藤本、サンタナ、コロリで鳥栖の最終ラインにプレッシャーをかける。その際、藤本は仙頭、サンタナは樋口を背中で消す。立ち位置が難しいのがコロリ。白崎と飯野を見ながらファンソッコと正対するのだが、コロリのパスコース限定の優先順位は、ファンソッコとの距離が遠ければ白崎へのコースを切り、プレスをかけてファンソッコに近づいた状態では飯野へのコースを切っていた。当然ファンソッコは白崎を使うが、そこにはホナウドがチェックに行く形。

08:10 先ほどの時間でコロリの守備の優先順位を確認した鳥栖。ファンソッコ→中の白崎→外の飯野であっさりコロリを無効化する。中野の前に鳥栖の選手がいなかったためボールは前進しなかったが、鳥栖としたら、自身右サイドから攻略の糸口を見つけた形。11:45のシーンに繋がる。

09:55 鳥栖の右サイドからのビルドアップ。白崎がファンソッコからボールを受けた際、ホナウドの寄せが遅くなり前を向かれ、飯野へパスを出される。飯野から小屋松へと繋がり、ボールの奪い合いの結果、最後はホナウドのファウルとなる。白崎としては、自身が下がってビルドアップを助け、ボールを前進させたいのだろう。

11:45 鳥栖の最終ラインからのビルドアップ。朴一圭からファンソッコ。アプローチに行きつつ、優先順位通り飯野へのコースを切るコロリ。ファンソッコは内側のスペースでボールに寄ってきた樋口へ。樋口はワンタッチで右外の飯野へ。飯野は寄せてきた山原をかわし、トラップが大きくなりながらもなんとか白崎へ出す。白崎から仙頭を経由して、左外の大畑へ渡る。ゾーンで守る相手へのセオリー通り、逆サイドの広大なスペースへの展開となる。大畑は、原とヴァウドの間にポジションをとっていた中野へ。中野はワンタッチでボールを内方向へ送り、ペナルティアーク付近にいた酒井へ。酒井もワンタッチでエリア内に侵入した中野へ返し、中野の中へのグラウンダーの折り返しを、小屋松スルーの白崎がフィニッシュへという完璧な流れ。ただ、小屋松のシュートコースは山原と権田で塞ぎ、松岡が最後のところでスライディングしてボールをカットすることで、白崎にシュートを打たせなかった。結果的に中野のオフサイドになったが、オフサイドになっていなくても、失点はしていなかった。山原、当然とはいえ、前線からよく戻ってくれた。

19:29 鳥栖のビルドアップ。仙頭が下りてくることで、朴、仙頭、飯野で三角形を構成。朴から仙頭、仙頭から飯野へ渡し、コロリが遅れたためハーフウェーラインを超えた先まで運ばれた。山原は白崎にピンどめさせられ、前に出れなかった。前から行くなら、最終ラインからボールを受けようと下りてくる選手に対して強くいかなければならない。でないと今回のように、三角形を作られてSBに渡り、前進させられてしまう。

24:46 飲水後の最初の場面。ハーフウェーライン付近での鳥栖のビルドアップ。左のエドゥアルドから、ファンソッコ経由で右CBの位置に入った樋口へとボールが渡る。樋口は右外少し高い位置を取っていた飯野へ。コロリは飯野へのアプローチが遅れ、山原が釣りだされることになってしまった。
このシーン、24:47にサンタナがコロリに、樋口にプレッシャーをかけるように手でジェスチャーしている。サンタナはコロリが樋口にアプローチすることを前提に、ボランチの仙頭へのコースを切っている。ただ、判断が遅れたのか白崎へのパスコースが気になったのか、コロリは中途半端なポジションを取ることになり、パスを通されてしまった。
話を戻す。飯野は駆け上がって小屋松へパスを送るが、ホナウドが戻ってカット。カットしたボールを井林が受け、左外の山原へ。山原はドリブルで飯野をかわしてカウンター発動。ハーフウェーライン付近にいるサンタナへ縦パス。サンタナはこれをワンタッチでファンソッコとエドゥアルドの間のスペースへ転がす。そこにコロリが走り込んでサンタナへリターン。キーパーとの1対1を制してシュートするも、大畑の神クリアに阻まれゴールならず。この時の大畑の戻りの速さは凄まじく、コロリがサンタナでは無くエドゥアルドの裏の藤本へ出していたとしても、大畑にカットされていたと思われる。正直ファンソッコがコロリに食いついてくれた時点で「もらった」と思ったが、大畑の危機察知能力とサボらず最初から全速力で戻った頑張りの前に屈した。
鳥栖の狙い通りのビルドアップをひっくり返してのカウンターだったことや、飲水タイム明けということもあり、決まれば試合に大きな影響を与えていただけに、非情に悔しいシーン。
この流れのCKを片山がフリーで放ったヘディングシュートを枠に飛ばせなかったのも痛かった。

30:51 鳥栖のビルドアップ。最終ラインは左からエドゥアルド、ファンソッコ、飯野、2列目に仙頭、樋口。エドゥアルドからファンソッコへ。ルールに従いコロリは飯野へのコースを切りながらファンソッコへアプローチ。本来、サンタナが樋口を見ないといけないが、加速しながらボールをもらいに下りていく仙頭に釣られてしまう。仙頭は藤本がケアしているので、ここはサンタナの判断ミス。結局樋口にパスを通され、樋口から左大外の大畑にロングパスが通り、エリア内にボールが供給されてしまった。最後は白崎のハンドで事なきを得たが。

33:14 相手陣内1/2 左大外にいる山原にボールが渡ったシーン。ここではチーム全体でゴール前にスペースを作る動きができていた。

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まず、左内のエリアにいるコロリが左外に走ることでファンソッコを引き付け、ゴール前からどかす。続いてサンタナもペナルティアーク付近から左に加速してエドゥアルドを引きつける。藤本は逆に動かないことで大畑をピンどめ。こうしてゴール前にスペースを作り出すことができた。大畑は自身の前にスペースがあることを察知して藤本のマークを中野に受け渡すも、受け渡しの少しの時間の分だけ対応が遅れる。空いたスペースに片山が走り込み、そこに山原がクロスを供給。エドゥアルドが片山へのクロスを読み、サンタナのマークを捨てて対応したことでクリアされてしまったが、選手全員が同じ絵を描いてアクションを取っており、惜しいシーンだった。

37:51 清水のビルドアップ。左、右、左、右と回し、センターサークル内で松岡がボールを受ける。この時、コロリが左外の前目に張ることで飯野をピンどめ。ホナウドが松岡の正面、縦パスを受けられる位置にポジションを取ることで、小屋松と白崎を引きつける。小屋松がホナウドへのパスコースを切ろうと内側に動いたところを、松岡は左外にいる山原へパス。白崎は真ん中、飯野はコロリをマークしているため、山原はスペースと時間を得た。ドリブルしてエリア内にクロス。サンタナの手前でエドゥアルドにカットされたが、立ち位置で相手の位置をコントロールしてパスコースを作り、ボールを前進させることができた。

41:53 金明輝監督が白崎に、CBとSBの間に立つように指示が出る。下がってボールを受けるのでは無く、前に張ってほしいという内容。仙頭も同じタイミングで前目にポジションを取るようになり、ボールの受け手は小屋松が代わりに引き受けるようになる。金監督としては、ビルドアップはほかの選手に任せて、白崎にはもっと前で相手を引き付けたり、パスを引き出す・供給する役目を担ってほしかったのだろう。
以下、試合後の白崎のコメント。

最初は落ちてボールを受けていたのですが、監督からも「ちょっと張って、我慢してそこにいてくれ」という指示があって、(飯野)七聖にボールが入って、相手のサイドバックがそこに寄ったときにその裏を狙う動きや自分がそこを空けてFWのコース、くさびのコースを空けるというのは意識してやっていました。

44:31 鳥栖のビルドアップ。ハーフウェーライン付近にいるファンソッコからのパスを右内のスペースで小屋松が受ける。白崎はより清水ゴールに近い右内エリアで山原をピンどめし、右外に飯野の動くスペースを作る。飯野がそのスペースに入ると、小屋松が飯野にボールを供給。白崎は引き続き右内のエリアでボールをもらおうとするが、ホナウドが白崎のマークにつく。この後鳥栖は、清水2/3くらいのポジションを取る最終ラインへボールを下げつつ逆サイドへ展開。エリア内にボールが渡るが、最終的には酒井のファウルとなる。早速、白崎が前目に張ることでスペースを作ってきた。

前半終了。前半を通して、鳥栖は右サイドからビルドアップし、左へ展開、そこからエリア内に攻めたいという意図を感じた。一方の清水は、ロングボールを右へ送って片山を起点にする狙いを持ちつつ、終盤は左サイドから山原がクロスを上げるシーンを立て続けに作ることができた。守備も、攻め込まれてはいるもののやられた場面はほとんどなかった。怖かったのは、本記事では触れていないが序盤の酒井のヘッドと、11:45の中野がオフサイドだったシーンくらいか。
清水としては、鳥栖にボールを握られ、ビルドアップは成功されていたが、残りの中盤・最終ラインが破られなければよかろうという感じ。
個人的にも、前回あれだけ手も足も出なかった鳥栖相手にこの試合内容ができた(やりたいことをやれており、守備も最後のところは破綻していない)ということで、今日は勝ってほしい、勝たなければいけない試合だと感じていた。ハーフタイムでのロティーナ監督のコメントにも、それが出ている。
以下、ロティーナ監督のハーフタイムコメント。

・この試合勝ち点3を狙っていくぞ!

後半

後半キックオフ。両チームともに選手交代は無し。

47:35 相手のクロスを権田がキャッチしたところから清水の攻撃。権田→山原→井林→山原と繋ぐ。山原が持った際、山原、コロリ、ホナウドで三角形を構成。順にパスを送ることで山原をマークした白崎を置き去りに。ホナウドはターンで内側から寄せて来た酒井をかわし、中央で時間とスペースのある松岡にボールを送り、鳥栖の第一プレッシャーラインを攻略。松岡から右サイドの原へ。原は相手CB-ボランチ間にポジションを取った藤本へパス(仙頭がどうも守備時のポジションが怪しい。誰のパスコースも消せていない)。藤本から右外の片山へ。片山はワンタッチでサンタナへ送るが、サンタナから藤本へのボールがずれて鳥栖ボールになってしまった。サンタナは中の藤本を選択したが、原が最高のタイミングで外側を駆け上がっていた。ファンソッコは藤本に釣られて中をケアしており、原にパスを出せば、そこから中にクロス藤本という攻撃が完結したはず。もう少しだった。

56:02 この試合、裏へのボールが繋がらないことが多いと感じた。タイミングの問題なのか、出し手のキック精度なのか、朴一圭の守備範囲が広いのがそうさせるのかわからないが。うまくいかなかったシーンは次の4つ。
 04:05 権田→片山
 09:33 ヴァウド→片山
 17:59 ヴァウド→片山
 53:18 松岡→片山
それに対して56:02のシーンでは、ホナウドから右内の裏のスペースに走りこんだ片山へとボールが繋がり、ペナルティアークの位置で藤本がフリーでシュートを打つことができた。うまくいかなかったシーンも含め、やりたかったのはおそらくこの形。サンタナが鳥栖最終ラインを引きつけて、マイナスのクロスに藤本が走り込む。鳥栖のボランチは前目にポジションを取るため、マイナスのあの位置が空くというスカウティングがあったのかなと。チャンスメイクまでは完ぺきだった。ただ、だからこそ、藤本には枠内に飛ばしてほしかった。

56:50 1失点目。松岡からサンタナへのパスが長くなり、ファンソッコにカットされて鳥栖ボールに。樋口から右へ。右で詰まると再び樋口から今度は左へ。大畑は中野へボールを預け、オーバーラップして原を引きつける。中野は対面の片山をかわしてゴール方向にドリブル。ドリブルの間に仙頭が中野のいた位置に移動、下げたボールを受けられるように待機。

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酒井がファーに動くことで井林を引きつけ、ヴァウドと井林の距離を広げ、ゴール前にスペースを作る。中野は前にいる小屋松へ当て、小屋松は仙頭へボールを下げる。片山の切り替えが遅れ、寄せが甘くなったところを仙頭にクロスを上げられ、酒井が作ったスペースに入り込んだ白崎のヘディングシュートが決まる。ゴールを決められた直後、松岡が片山に「もっと寄せろよ!」とジェスチャーしていたのが全て。もう少しヴァウドの立ち位置が真ん中に寄っていればと思うが、ヴァウドの前には小屋松と中野がおり、どちらかに縦パスが入ればピンチになるのであの立ち位置になるのは仕方がない。やはりこの場面ではクロッサーへもっと寄せて、上げさせないようにするか、精度を下げるしかない。2分前にビッグチャンスを決められなかったツケを、こうも早くに払うことになるとは。

63:16 得点シーン。ファンソッコから白崎へのボールをホナウドがカットしてマイボールになってからの攻撃。最終ライン井林まで下げてビルドアップ開始。権田→井林→山原。山原は小屋松と白崎の間の狭いスペースを通してホナウドへパス。ややずれたがボールをコントロールし、ホナウドは右外の原へ高速で地を這う素晴らしいロングパス。そのあと原は右で詰まったのでヴァウドへ戻す。ヴァウドから井林。井林はダイレクトで左内のコロリへ浮き球のパス。ダイレクトでパスしたことでコロリへのファンソッコのスライドが間に合わなかった。コロリはノープレッシャーで胸トラップでき、良い距離にいたホナウドへパス。ホナウドはワンタッチでサンタナへ。ここで、エドゥアルドが寄せるのではなく引いてくれたことで、自由になったサンタナが思い切りの良いシュートを放つ。エドゥアルドに当たってコースが変わったボールは、ゴールマウスに吸い込まれた。エドゥアルドとしては、サンタナへはファンソッコにアタックさせ、自身はフォローする側になろうとしたのだろうか。ただ、ファンソッコとしては、コロリが自身の裏へ走ったため、そちらをケアするためにサンタナには寄せられなかった。点を取られてから10分経たずに追いつくことができた。
ちなみにこの得点以降、サンタナのプレススピードが大幅に上がる。わかりやすくて好き。

68:08 鳥栖の攻撃に対する清水の守備。コロリが前からハメにいかず、他のMFと同じラインに並ぶことで、横へのスライドが間に合うようになる。飯野にコロリが付くことで、白崎に山原が付いていける。右内にできたスペースはホナウドが埋め、厚みを持たそうとボールに寄って来た樋口にはサンタナが下がってケア。破綻なく守ることができた。

68:27 鳥栖の攻撃。最終ラインから小屋松がセンターサークル内でボールを受け、右外にいた樋口へ。樋口は足裏でボールを吸い寄せるようにコントロールし、寄せてくるコロリから距離を取って右にいる飯野へのパスコースを作り、そこへ供給。コロリが樋口に行ったことで、山原が飯野に出ていかなくてはならなくなる。その裏を白崎に使われてしまう。金明輝監督の狙いはこれか。最後はクロスに酒井が合わせるも枠の外だったので失点にはならず。一人がずれるとすべてが一つずつずれてしまう。

71:14 ゴールを決めたことで元気になったサンタナの猛プレス。樋口→エドゥアルド→大畑と、ボールを受けた3人全員にサンタナがプレスをかけ続けた。

71:31 2失点目に繋がるFKを与えたシーン。鳥栖の左からのスローイン。小屋松→樋口→飯野と素早く右に展開。ボールエリアに松岡だけでなくホナウドまで出て行ってしまったため、中のエリアにいる白崎にはコロリが付くことになる。コロリが白崎につくことで、飯野には山原が出ていく。そこにファンソッコがオーバーラップ。山原は、「俺はファンソッコに付いて行くから飯野のマークを頼んだ」とコロリに手で指示。しかし、マークの受け渡しで少し距離ができてしまったところを見逃さず飯野がカットイン。コロリはかわせたがボールが大きくなったため、樋口にバックパス。樋口のシュートをホナウドがブロック。ホナウドと樋口のフィフティーの競り合いに対して今村主審がホナウドのファウルを取り、鳥栖のFKとなった。清水サポーターとしてはどこがファウルなのかわからないが。。ホナウドだけでなく、松岡、山原、井林、ヴァウド、コロリと、清水の選手みんなが「そりゃないよ」ってジェスチャーを取っている。
その後のエドゥアルドのFKは見事としか言いようがない。松岡の右にもう一人壁を入れておけばとは思うが、結果論。先ほどは点を取られてから10分経たずに追いついたが、今度は10分経たずに取られてしまった。

失点したタイミングで、清水はコロリに代えて鈴木唯人を投入。片山をLSHへ動かし、唯人をRSHに配置。直後、山原からのボールをダイレクトでサンタナに浮き球で供給する、"らしい"プレーが出たのを見ると、片山本人としては左サイドの方が得意なのかなと思う。このシーンは結局、藤本が大畑に倒されるが、正当なフィジカルコンタクトとしてノーファウルの判定だった。この判定については納得。

76:44 鳥栖は酒井に代えて山下を投入。山下は酒井と同じトップに入り、ロングボールやスローインのターゲットとなる。酒井はこの試合、清水の最終ラインへのプレスを一切サボらずにずーっと続けていた。一度剥がされても絶対に歩いたりしない。敵ながらすごくまじめな選手だと感じた。

79:26 鳥栖が立て続けに選手交代。白崎→島川。島川は中盤の底に入り、樋口が仙頭と同じくらいの高さに上がる。

80:26 清水は、片山に代えて滝を入れる。滝は片山と同じ左サイドに。

途中交代で入ってきた島川が、人に強く当たる守備とパスカットで清水のチャンスの芽を積んでいく。前線からハメようとする清水に対して、最終ラインでパスを回しつつ、潮時と見るや前線にロングボールを送り、山下を走らせ時計の針を進ませる鳥栖。さすが上位チームという試合運び。山下も、中央のエリアで裏抜けを狙うのではなく、中からサイドのスペースに走ることで、清水のDFが簡単に味方に繋げづらい状況を作り出していた。

87:08 清水は、原に代えて立田、ホナウドに代えて竹内、藤本に代えて指宿を投入。唯人、滝を入れた後もなかなか鳥栖ゴール前でのシーンを増やすことができていなかったため、思い切って3枚替えを敢行。

88:31 鳥栖が2枚替え。飯野→田代。小屋松→岩崎。田代は3CBの真ん中に入る。左にエドゥアルド、右にファンソッコ。飯野がいた左WBには大畑を配置。岩崎は小屋松と同じトップに。

清水は3枚替えの後、ロングボールを指宿に当てるいつもの形で打開を試みる。しかし、競り勝てない、競り勝ってもファウルを取られマイボールにできないところもいつも通り。

しかし、94:44に松岡の縦パスを指宿がワンタッチで滝へ落とすことに成功するとこれがラストチャンスに。滝は対面の中野をかわして左サイドをドリブル。中野に当てながらも松岡にパスが通り、松岡から唯人へ。唯人からエリア内のサンタナへパスが入るも、トラップが浮いて時間がかかってしまい、シュートは仙頭にブロックされてしまった。

試合はこのまま1-2で終了。清水としては、悔しい悔しい敗戦となった。
同点の状態で点を取ることができていれば、結果は変わっていたと思うほど、どちらに転ぶかわからないゲームだったと思う。そんな時に相手に、ましてや上位チーム相手に先手を取られてしまうと、勝ち無しが続いている清水としては特に精神面で苦しくなってくる。やはり先制、先行するゲームをしたいところ。
以下、試合後のロティーナ監督のコメント。

リードされた状態は常に難しい。相手を打ち破るには、クオリティであったりパワーが必要になってくる。今日に関しては1点を取られた後に追いついて、そこから逆転できるという印象があったが、相手に2点目が決まり、我々にとって難しい状況になった。最近はアウェイの試合でリードされる状態が多いが、それは選手にとって簡単ではないと思う。

トピック

◆スローインの改善
この試合、これまでと大きく変わったのがスローインの時の受ける動きの多さ。
46:30 自陣1/2 右から原のスローイン。出す先がなくて困っていたところをホナウドが寄ってボールを引き出す。よく見ると、松岡が右手でホナウドに「もらい行け」とやっている。松岡は動かないことで仙頭を引きつけている。
65:06 上記と似た位置から原のスローイン。同じようにホナウドが寄っていき、原からのボールを受けた。小屋松が察知して寄せて来たが、原とのコンビネーションでうまくかわして前線のサンタナへと繋いだ。
67:31 自陣1/3 右からのスローイン。この時もホナウドがボールに寄って行き、原からのスローインを引き出していた。これ以降も原→ホナウドへのスローインは多かった。数えたわけじゃないが、この試合、原のスローインを一番受けたのはホナウドではないか。
確か湘南戦だったか、スローインを俺に出せと大きな声で叫ぶも原にガン無視されやれやれとなっていたホナウドだったが、それからの3週間できっちりと信頼・連係ができているのが見て取れた。嬉しい限り。

◆片山
お疲れなのか、パスのずれが目立った。
ゴールキックの多くは片山狙いだったが、競り合いには勝てるもののヘディングがことごとく藤本の動きと逆になってしまう。足元へのパスも何度もずれた。特に、体勢を崩しながらも相手よりもボールに体を入れ、後は味方にパスを繋げば完璧、という場面でそのパスがズレたり、相手に先にボールに触れられてロストする場面が目に付いた。もったいない。クロッサーへの対応も遅れ、失点にも絡んでしまう。
中断明けなのに体が重そうだったのも気になる。仙台戦では復調してくれると良いが。大畑や中野に対してはヘディングで勝てており、優位に立つことはできていただけに、その後が物足りなかった。
片山を下げると武器であるロングスローと前線でのターゲット(ロングボールにヘディングで競り合って勝つことができる人)が減るので辛い。終盤のスローインの際、片山がいればと何度思ったことか。

◆サンタナ
後半の飲水タイム。サンタナが通訳経由で井林に何か話していた。その後、松岡、片山にも身振り手振りを交えて何かを伝えていた。話の内容はわからないが、これまであまりサンタナから試合中にこういうコミュニケーションを取っているところを見た覚えがないため、嬉しくなった。自身もゴールを決めて、調子もよさそう。鬼のプレスも見れたし。

◆山原
初スタメンでも全く物おじせず、堂々としたプレーを見せてくれた。技術も高く、井林からの強くて速いパスを問題なくトラップして、味方に繋げてくれるのは本当にありがたい。
特に、プレスをかいくぐるパスが目についた。
03:35 自陣1/2 左サイドでボールを受け、ハーフウェーライン付近のサンタナへ縦パス。
04:35 ハーフウェーライン左端でボールを受け、相手のプレスの裏をかいてセンターサークル付近の藤本へ繋げた。
17:46 相手の裏へのボールをコントロールすると、安易にGKまでボールを下げず、小屋松が追ってくるのも上等とばかりに前進。ホナウドに出したいが、ホナウドの左手前に白崎がおり、左足でホナウドに出したらカットされそうな場面。ここで、右足でパスを出すことで、白崎にカットされることなくホナウドへ繋いだ。右からは小屋松が寄せていることもわかっていただろうに、自信があるのだろう。22歳の大学生すごい。

◆原
良いプレーが随所に見られたが、原一人ではどうしようもないケースもあった。
35:54 対面の中野に対してボディフェイントをしつつ、片山を飛ばして前線の藤本へ右足で浮き球を供給。
36:12 先ほどと同じように右足で右奥の選手に浮き球を出すモーションをし、中野の体をタッチライン側に寄せた後、中にいる藤本へパスを出す。先程のシーンを見せた後にこのフェイントは上手い。外側に片山、内側に藤本がいることで中野に的を絞らせない配置もできていた。
75:39 似たようなシーンで、足裏でボールを引いて中野と少し距離を取り、中野の内側を通して一つ奥のサンタナへパスを送った。
79:49 ハーフウェーライン少し越えた辺り、右外でボールを持ったが、唯人へ出したボールを中野にカットされた。中野は原へプレスに行く際、首振りで唯人の位置を確認している。自身の左後ろに選手がいないこともわかっているため、グラウンダーのパスが出るならここ(唯人)しかないと踏んで守備をしている。これまでは中野が認知できていない相手にパスを出したり(35:54、75:39)、パスコースが複数あった(36:12)ため、うまく行っていたが、そのどちらも無いと網に引っかかる。原としても、普段ならボールを下げた場面だろうが、負けていることや残り時間を考えて、唯人へのパスを選択したのだと思う。

◆立田
久々にRSBで出場。ロティーナ監督は立田をSBの選手としては見ていないと思っていただけに、意外だった。攻撃時には高い位置を取り、何とか現状を打開しようという意気込みが感じられた。

おわりに

先ほども書きましたが、悔しすぎる敗戦となりました。チームがバラバラというわけでもなく、攻撃では練習してきていることや狙いが見てわかるほど形作られているし、守備も先期と比べ物にならないほど統率が取れている。なのに勝てない。なぜなのでしょうか。

今回、上位チームである鳥栖と対戦してみて、パスやクロス、シュートの精度にはそこまで違いはないと思いました。
対して、ボールへの寄せ、ネガトラの切り替えの早さ、自身の役割をサボらずに続けるひたむきさ、常に全員が味方をサポートする意識。これらは正直、かなり差をつけられていると感じました。(サポートの意識は以前に比べてかなり上がっていますが)

ただこの差は、一人一人が意識を変えることで埋めることが可能です。危機感が高まるこの状況が、意識を変える良いきっかけになることを期待します。

次節、残留争いの大一番仙台戦。必ず勝ちましょう!まずは先制点を!そろそろコロリの初ゴール見たい!カルリも復帰して!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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