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いまさらエスパルスの2023新体制発表記者会見をまとめる

数か月先、数年先に自分が思い出せるように、会見内容をメモしておきます。基本は会見時の報告資料の書きおこしで、それに対して個人的な見解や期待を挟んでいきます。(パワポのキャプチャを貼れば済むけど、貼っていいのかわからない)(書きおこしがセーフかは不明)


S-PULSE VISION 2027 指針

2027年までの5年間でJ1強豪クラブの仲間入り、そしてJ1チャンピオンへ
BUSINESS:強固で安定的な「経営基盤」の構築
FAN HOMETOWN PARTNER:地域・ファン・パートナーとの強固な関係構築
FOOTBALL:強い育成型クラブの再建

清水エスパルス 2023シーズン新体制発表記者会見

2027年にJ1チャンピオンになるよ。そのために必要な強固で安定的な経営基盤を構築するよ。調子が良い時も悪い時も応援してくれるように地域・ファン・パートナーとの関係も築くよ。選手を育て、また、他チームに移籍した選手が再び戻り、その経験をチームに還元するようなサイクルを作るよ。そんな感じでしょうか。(※移籍した選手が清水に戻るサイクルについては、会見の質疑応答で大熊GMが発言しています)
個人的には特に、"安定的"な経営基盤の構築に期待します。選手・監督・スタッフの年俸だけでなく補強費用までも自前で賄え、特定のスポンサーの補填に頼らずに年間収支を毎年黒字にする、そんなクラブになってほしいと思います。

S-PULSE VISION 2027 ビジネス目標

5年後(2027年)のJ1リーグ制覇に向け、「熱狂的かつ楽しいスタジアム観戦」体験価値を創出し、地域、ファン、パートナーとの密着をさらに強固なものにしながら、商圏の拡大を目指す!⇒J1上位の「安定的で強固な経営基盤」の構築
2023 売上高 46億円 平均観客数 13,500人/試合
2024 売上高 48億円 平均観客数 15,000人/試合
2025 売上高 50億円 平均観客数 16,000人/試合
2026 売上高 52億円 平均観客数 17,000人/試合
2027 売上高 55億円 平均観客数 18,000人/試合
FUTURE 新スタジアム実現へ

清水エスパルス 2023シーズン新体制発表記者会見

向こう5年の具体的な売上と観客動員数の目標ですね。ここでも「安定的で強固な経営基盤」という言葉が出ています。強く訴えたいことなのでしょうね。

さて、せっかくなので具体的な目標数字を、実績を踏まえて考えてみます。

まずは平均観客数。
過去のリーグ戦の平均入場者数は、コロナ前の2019年が15,043人で去年(2022年)は15,245人です。それを踏まえると、2024年の15,000人という目標は低いですね。J1昇格初年度の2017年も15,116人ですし。クラブがカップ戦を含めた数字を目標にしているなら話は別ですが、その数字は外に出ないのでわかりませんね。

J LEAGUE Data Site
J  LEAGUE Data Site

ちなみに前回J2を過ごした2016年は11,274人だったので、今年の目標である13,500人は志が高いですね。むしろ高すぎる気もします。

J LEAGUE Data Site

一方で売上高について。
これまでの売上高は下記表の通り。2022年は50億強という実績だったが、23年目標は46億。ディビジョンが落ちることで売上も下がるという予想ですかね。2016年はJ2なのに前年よりプラスになっているので、今回はどうなるかといった感じでしょうか。
個人的にはもう少し強気な予想でも良いのではと思いますね。2022年度が良すぎたという判断なのかもしれませんが、一度達成済みの数値を下回る目標を出すというのも、企業としてどうなんですかね。(普通なこと?)
事業報告は毎年4月下旬(20~28日)に出ているので、来年からはチェックします。

年度別売上高

S-PULSE VISION 2027 新スタジアム構想

サッカーのまち「清水・静岡」のシンボリックなスタジアムの実現
★アクセス至便「街なか」スタジアム
★新たなコミュニティの創出
★街の活性化

清水エスパルス 2023シーズン新体制発表記者会見

新スタの構想ですね。
「新たなコミュニティの創出」がこの中に書かれているのは、スタジアムでサッカー観戦以外に不特定の人々が集まる何かを作りたいという意図があるんですかね。例えば、日ハムのエスコンフィールドみたいに、サウナや居酒屋、グランピング施設やドッグランの併設とか。
近況を追えていないので、とんちんかんな意見かもしれませんが、そうなったらおもしろいだろうなと思います。

2023-27 ROADMAP

"強い"育成型クラブの再建
清水エスパルスが目指す育成型クラブとは、
「アカデミー出身・新卒選手を含め、清水エスパルスに来た選手が成長する」クラブである。その上で、近年弱まっていた勝者のメンタリティーを醸成・注入し、強いエスパルスの再建を目指す。
2023 J2リーグ戦:J1昇格 ルヴァン杯or天皇杯:ベスト8
2024 パリ五輪代表選出
2025 J1リーグ戦:トップ5 ルヴァン杯or天皇杯:優勝
2026 北中米W杯代表選出
2027 J1リーグ戦:優勝 ルヴァン杯or天皇杯:優勝

清水エスパルス 2023シーズン新体制発表記者会見

「アカデミー出身選手もしくは新卒選手が2024年のパリ五輪代表に選出される」というのがひとつの目標になるでしょうか。パリ五輪への出場条件は2001年1月1日以降に生まれた選手なので、現所属での候補は鈴木 唯人選手、松岡選手、川本選手あたりですかね(3人とも他クラブへ期限付き移籍中)。まぁ、松岡選手はサガン鳥栖時代からアンダー世代での代表歴があるので、「清水に来て成長した」と言っていいのかわかりませんが。

男子では、2001年1月1日以降に生まれた選手(パリ大会の時点で23歳以下)が、予選および競技会でプレーすることができる。

【パリ2024への道】サッカー、出場資格取得プロセスを解説

また、2026年のW杯代表選出を叶えるためには、2024、25年にJ1でブレイクする選手が出てくる必要がありますね。

続いて順位的な目標を見ると、今シーズンはJ1昇格とルヴァン杯or天皇杯ベスト8になっています。ということは、リーグ戦は自動昇格圏の2位以内に入るのを目指す形ですね。昇格できれば、今年の目標は達成できたわけで、優勝できなくても"ロードマップ的には"問題はないと。もちろん、優勝できたら最高ですが、あくまで目指すは2位以内。プレーオフからの昇格も可能性としてはあるけど、そこはひとまずは考えなくてよいかな。

清水エスパルス基本理念

「わかちあう夢と感動と誇り」
1.エスパルスは、スポーツを愛する人々に支えられる地域のシンボルとして、夢を創造しつづけます
2.エスパルスは、サッカーを通じて多くの人々と感動をわかちあい、地域スポーツ文化の発展に寄与します
3.エスパルスは、正々堂々と情熱を持って戦い、地域の誇りとなる最強のチームを目指します

清水エスパルス 2023シーズン新体制発表記者会見

試合を通じて私たちが感じ取れそうなのは「正々堂々と情熱を持って戦い」「サッカーを通じて多くの人々と感動をわかちあい」の部分ですかね。

清水エスパルスフットボールフィロソフィー

競争+協調=共創
自発+自律=自立
~すべては勝利の為に~

清水エスパルス 2023シーズン新体制発表記者会見

「~すべては勝利の為に~」とあるので、「一番の目標は試合に勝つことである」と受け取りました。そのためには共創や自立が必要だよと。共創には競争と協調が必要で、自立には自発と自律が要るよと。そういうことなのかなと。

清水エスパルスフットボールスタイル

「アクションフットボール」
~(常に相手より)先に考え、先にアクション~
◇高いインテンシティを保ち、攻守ともにトランジションで相手を凌駕する。
◇自分達の"意図"でボールを動かし続け、優位性を保ちながら常にゴールを狙う。
◇自分達の"意図"でプレスを掛け続ける攻撃的な守備でボールを奪い切る。

清水エスパルス 2023シーズン新体制発表記者会見

ここは、チームとしてどんなフットボールをやりますかという話ですかね。

清水エスパルスプレーイングフィロソフィー

・ユニットで闘う
・攻守のハードワーク
・100%、全ての瞬間をプレーする
・積極的かつ知性的にプレーする

清水エスパルス 2023シーズン新体制発表記者会見

一方こちらは、プレイヤー個人の一つ一つのプレーについてですかね。

理念と各フィロソフィーの建て付け

ここまで、4つの概念的な話が出てきました。
 ・基本理念
 ・フットボールフィロソフィー
 ・フットボールスタイル
 ・プレーイングフィロソフィー

建て付けはこんな感じになるでしょうか。

基本理念
  ┠フットボールフィロソフィー
          ┗フットボールスタイル
  ┗プレーイングフィロソフィー

もしくはこんな感じ?

基本理念
  ┠フットボールフィロソフィー
          ┗プレーイングフィロソフィー
                    ┗フットボールスタイル

クラブの発表の順番を踏まえると前者な気もしますが、個人的には後者の方がしっくりきます。
なぜ建て付けを気にするかというと、クラブとして現在どこまでの浸透ができているかを見るときに、上位層から順に確認をしていきたいなと思うからです。例えば、フットボールスタイルが実現できていても、基本理念に沿っていないならそれはよろしくない、とかですね。
それもあって、階層が明確になる後者にて受け止めたいなと。
そして、フットボールスタイルよりフットボールフィロソフィーが上位にある以上、勝利を目指すことが最優先になるわけですね。
まぁ、私の認識がクラブと一致していればの話ですが。

各部門アクションプラン

トップチーム
 ・フットボールスタイルの確立
 ・U23選手育成の強化
 ・メンタルトレーニングの導入
 ・他種目選手、他業種との交流
 ・フロントとの定期面談

育成
 ・2023プレミアリーグ昇格
 ・選手個別育成の強化
  (Individual Development Planの強化)
 ・個人、グループ戦術向上への注力
 ・トップチームへの練習参加
 ・各年代の海外遠征の再開
 ・Jrユース三島の新設
 ・海外提携クラブへの練習参加

指導者
 ・指導者養成の強化
 ・海外提携クラブとの指導者交流
 ・指導者ライセンス取得の推奨
 ・指導実績の継続的な実施

フロント
 ・人材育成の強化
  (Career Development Programの強化)
 ・フットボールフィロソフィーの深化
 ・育成年代のスカウト強化
 ・高校、大学、J2、J3のスカウト強化
  (年齢・ポジションバランスを考慮)
 ・レンタル選手のフォロー強化

普及
 ・スクール会員の増員
 ・心身の健康の促進
 ・楽しさの提供
 ・施設の有効利用

清水エスパルス 2023シーズン新体制発表記者会見

ここについてはたくさんあるので、気になった部分だけ。

◇フットボールスタイルの確立
「清水エスパルスフットボールスタイル」に出てきた「アクションフットボール」を実現するということですね。

◇U-23選手育成の強化・2023プレミアリーグ昇格
「2023-27 ROADMAP」内で掲げた「"強い"育成型クラブの再建」と、直近の目標である「2024年パリ五輪代表選出」を叶えるためですね。

◇他種目選手、他業種との交流
例えば静岡市に本拠地を置くプロバスケットボールチーム:ベルテックス静岡の選手たちとの交流とかになるのでしょうか。このアクションプランが「普及」ではなく「トップチーム」のカテゴリ内に載っているのは、エスパルスの普及ではなく、トップチームの強化を目的とした活動という位置づけだからでしょうか。

◇フットボールフィロソフィーの深化
今回提示されたフットボールフィロソフィーに対して、フロント内で継続して検討を重ね、より本質的な言い回しへの変化があり得るということですかね。

◇海外提携クラブへの練習参加
「育成」カテゴリに載っているが、「トップチーム」は練習参加できないんですかね。

※余談:海外提携クラブについて
エスパルスの海外提携クラブは、サウサンプトンFC(イングランド プレミアリーグ)、ポリス・テロFC(タイ リーグ1)、レアル・クルブ・デポルティーボ・マヨルカS.A.D.(スペイン ラ・リーガ)の3チーム。
サウサンプトンは20チーム中20位で来季の2部降格が決定、ポリス・テロFCは1部で16チーム中7位、RCDマヨルカは1部で20チーム中12位(いずれも5/23確認時点)。
提携クラブとの活動やその効果が気になりますが、今から公式HPを調べるのも大変なので、気になったままにしておきます。

おわりに

クラブに求めるもの、成績は人によって千差万別です。(J2優勝が必達/昇格できればOK/今年昇格できなくても、J1で優勝争いできる下地を作りながら3年以内に昇格できれば良しなど)
なので、今回クラブが提示した目標に対して結果を見ていくことで、クラブと同じ目線で評価ができるのではと考えました。その意味で、クラブがここまで具体的な方針・目標・施策を出してくれたのはありがたいです。
向こう5年のロードマップが出されましたが、まずはトップチームの今年の目標である、J1昇格とルヴァンor天皇杯ベスト8が達成できるかですね。「~すべては勝利の為に~」このフィロソフィーを胸に戦ってほしいと思います。
※目標に入れている以上、「勝ち上がると日程的に厳しくなるからカップ戦は捨ててOK」などと思ってはいけないですね。反省します。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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