ブックを作ること
多分、写真を撮ってる多くの人にとって、ブックを作ることはダルい。ダルいというか、なんでわざわざそんなことせなあかんねんって感じもあるかも。
写真って「カメラを買う→シャッターを押す」だけで十分楽しい趣味だし、ブックじゃなくてもSNSで見てもらえる環境もあるにはある。
わざわざ過去に撮った何千、何万枚の中からブックに掲載する写真を選んで、わざわざそれを並び替えて、わざわざそれをブックにするために入稿しなきゃいけない。
…だいぶハードル上げてるけど、それでもブックを作るのは楽しいと声を大にして言いたい。
テーマについて
まずブックを作るときの第一関門、写真選び。
俺の場合の話をすると、かなり撮り散らかしてて、どれをブックに載せるか迷うことも多い。(西成とかポートレートとか、分かりやすいテーマがあると写真のクオリティだけで選べるけども)
例えばこれが好きだな、面白いなという写真がある。で、それに似た雰囲気の写真を2枚、3枚…と選んでいってみると、あら不思議、そこにテーマがあるじゃないですか!…とまぁそううまくわけないんだけど、なんとなく方向性は見えてくる。
でもブックにするには量が足りない…と思ったそこのあなた!(やけにけテンション高いのはご勘弁)、初っぱなから分厚くてご立派な写真集を作らにゃならんって誰が決めたんですか。
10ページだろうが、1000ページだろうがブックはブック。
写真を趣味にして、おそらくそれは一生続くもの。1冊1冊のブックで全てを完結させる必要はない。
ブックにしてみる→人に見てもらう→良いところ・足りないところが客観的に分かる→それをモチベにまた撮影に行く→ブックにしてみる→…と繰り返していく方がクオリティはあがっていくはず。
ちなみに俺は「擬態」というテーマでこれをやってる。
テーマを見つけることは難しいけど、まずはブックを作ることをきっかけに自分のテーマが見つかると、さらに撮影も楽しくなっていくと思う。
作り方について
さてとりあえずブックに載せたい写真を選んだところで待ち構えるのは、ブックの形にすること。そもそも自分で作れるもんなのかもよくわからん。探してみるといろんな印刷会社があって、どれがいいのかよくわからん。選択肢が多すぎる。しかも自分で製本する、というのもアリらしい。
…というのは実はけっこう楽しいことで、今回はここで作ってみよう、んー、無線綴じじゃなくて中綴じでやってみたいから次はこっちで、いや、横長のフォーマットで作ってみたいから今度はこっちで、え、紙を選ぶこともできるらしいじゃん…とたくさん作っていく過程で、自分の写真をより良く見せられる本の形を探していくのは面白い。
俺の場合は「写真を撮る」ことと「本を作る」ことは違うモチベーションになってるらしく、手作業で本を作ることもある。クリエイティブな活動というより工作感覚。コンビニでプリントしてきた紙を切り貼りしてみたり、ページごと切ってみたり、表紙に違う紙を使ってみたり、変なギミックを入れてみたり。
やり始めるとけっこう楽しいし、ただのデータだった画像が、「質量のある写真」になって手元にあるのはシンプルにテンションがあがる。
見てもらうことについて
単写真でいいものを撮ることは正直難しいし、そこからテーマやらを伝えるのはもっと難しい。でも、群になったものだと組み方によってかなり意図が明確になるし、分量というかブックという質量があると見る人の印象にも残りやすい。
誰かとスナップして休憩に入った喫茶店でおもむろに取り出して「そういやこの前ブック作ってみたんですけど…」と見せてみたり、グループ展に出して展示の前に置いてみたり。
で、実際にブックを見てもらうと、相手がページを捲るスピード感を観察するだけでも楽しいし、そこからさらに感想をいただくこともあってSNSでのリプライの比じゃない嬉しさがある。
1冊ブックがあると、使い回せる自己紹介にもなる。初めて会う人にはもちろん。グループ展なんかで「SNSを読み込んでください」というのもいいんだけど、デカい展示の前でスマホで見る写真はどうしても弱く見えてしまって勿体ない。
展示とは関係ないブックだし…という懸念もあるだろうけど、ぶっちゃけ名刺だって展示とは関係ないわけで、自分の展示の前なんだから堂々と置いていいんちゃう?(いや、ちゃんと展示の主催に聞いてください…)
俺もいろんなところで見せ回ってて、サンプル本はボロボロになりつつある。そういう劣化も革製品と同じように愛していきたいわけよ。
また、SNSの特性として、どうしても界隈化してるというのがある。スナップ界隈、モノクロ界隈、ポトレ界隈、インスタ界隈…どうしても同じ趣向の人たちで回ってて(馴れ合いとまで言うとさすがにトゲありすぎるね…)、広がりがない。
いよいよ隠しきれなくなってるので言うと、今度東京でブックの展示会 #Images東京2024 を開催します。
この展示では、ポートレート、スナップ、インスタ、それに限らず自分のジャンルを確立させてる人にも出展してもらってる。今まで自分が関わってこなかった人たちにも自分の写真を見てもらえる機会になると思う。ジャンルにこだわらず、いろんな視点からの感想をもらえたら、さらに自分の写真を面白くできるんじゃないかなと思います。
ということで
ここまで読んでもらった人はもう全員参加してほしいです。
ブック作りの関門、セレクトと製本に関して、スタッフがフルサポートします。(セレクトは高野さん、製本は鷲﨑がメインになっていつでも相談できるようになってます)
自分がやってる展示で言うのもなんだけど、正直ここまでやるブックフェアはないし、そもそもグループ展でもないと思う。ぬるっと参加してしまったら、もう2ヵ月後には自分のブックが完成して、さらにはたくさんの人に見てもらえてる状態になってます。
現時点での参加者でも初めてブックを作るという方はたくさんいて、周りにも内容は違えど「ブックを作る」という同じ目標で取り組むメンバーがいます。
あれだけ豪華な招待者がいて、自分がそこに参加するのは…とか躊躇しないでほしい。誰にでも最初の一歩はあって、クオリティ云々はブックを作ってる人だったら尚更のこと理解してくれる。そこから先の景色はもっと楽しい。さらにみんなで面白いことができるはず。
ぜひ一緒にブックを作って展示しましょう。
P.S. 会期中の土曜に展示メンバーで懇親会(打ち上げ🍻)をやる予定です。シンプルにいろんな人と交流したい方もぜひ気軽にご参加くださいな。
【展示情報】
ブックの展示会 #Images東京2024
会期:11/07(木)-11/12(火)
時間:13:00-19:00 (最終日のみ17:00まで)
会場:White Gallery
(東京 山手線日暮里駅から徒歩10分)
※入場無料
【申込みについて】
●参加費
4,500円…9/14(土) - 9/19(木)
5,500円…9/20(金) - 9/30(月)
6,000円…10/1(火) - 10/31(木)
※9/19(木)までの申込みが最安値です
☆郵送のみでこちらで展示まで行います
(…10/31ごろを必着予定
☆1申込みで5冊まで展示OK
☆物販手数料なし
その他詳細はHPから