俺物語-大久保亜美(商3)
〜俺物語〜
タイトル:マネージャー人生
私がマネージャーになりたいと思ったのは小学5年生の時のことでした。
手芸や読書が好きだった私は、野球とは無縁の人生を送っていました。
そんなある日、母が見ていた夏の甲子園をなぜか一緒に見ることになりました。そこには一球一球に想いを込める姿、全力疾走する姿、最後の最後まで諦めずにプレーする姿、勝って本気で喜び負けて本気で悔しがる姿、ラストミーティングでボロボロに泣く姿があり、気がつけば心を奪われていました。“こんなに一つのことに夢中になって、必死になって頑張る人たちってかっこいい。この人たちを支えたい。"
中学校の野球部ではマネージャーをとっておらず断念し、高校に入学したら絶対に野球部のマネージャーになると心に決めました。
無事高校に入学し、真っ先に野球部の見学に行きました。間近で先輩方が練習している姿を見て、やっぱり高校球児ってかっこいいと思っていると、マネージャーの方が声をかけてくださりました。そのマネージャーの先輩は選手の方々からとても頼りにされていて、私もこんなふうに頼られるマネージャーになりたいと強く思い、入部を決めました。
それからは本当に野球漬けの毎日でした。毎日朝早くから練習に行って、放課後も終礼が終わると同時に教室を飛び出し、グラウンドへ走っていました。気がつけば、唯一のオフである月曜日にも自主練をしている選手と共に過ごしていました。ノックを打てるマネージャーになりたくて、1人で練習していた時もありました。
最後の夏の大会で悔し涙を流しながらも、やり切ったという想いで引退しましたが、もっとマネージャーとしてできることがあったのではないかという考えを抱くようになり、大学でもマネージャーをする選択肢が私の中に芽生えました。
関学への入学が決まり、入学前の春休みに準硬式野球部の見学に行きました。選手の先輩方が野球をしている姿を見ると、やっぱりまたマネージャーをしたいという気持ちになりました。しかし、お菓子を作ることが好きで自分のお店を持つという夢がある私は、製菓の専門学校とのダブルスクールも考えていました。どちらも自分のやりたいことで、本当に本当に悩みました。でも、マネージャーをできる機会は大学が最後だと思い、関学準硬に入部することを決めました。
大学に入り様々な講義を受ける中で、公認会計士に憧れ、部活を続けながら通信で公認会計士の講座を受けていました。医師、弁護士と並ぶ三大国家資格のため勉強量が多く、覚悟を持って始めたものの多忙の日々に身体も心もボロボロでした。そんな時期に同期のマネージャーが辞めてしまい、私もマネージャーを辞めてしまおうかと何度も悩みました。でも、一つ上の先輩方と過ごす時間がとても楽しく、チーム小森が大好きで、公認会計士の夢は一旦諦めることにしました。まるで自分の代かのように私なりに必死にサポートをしました。先輩方が大好きすぎて、自分が後輩であることを悔やみ、ベンチに入れない現実に涙を流してしまうこともありました(笑)
先輩方の引退後は、チーム小森と自分の代との様々な面でのギャップや同期、一つ下のマネージャーがいないことなどが辛く、練習に行くことがストレスで、行きの電車でしょっちゅう体調を崩していました。同期のマネージャーがいる後輩に対して羨ましさを感じたり、私なんていてもいなくても変わらないんじゃないかと思ったこともたくさんありました。正直、新チームが始まってからは最高学年のマネージャーであるという責任感だけでマネージャーを続けていました。今年に入ってからも最後までマネージャーを続けるか、ずっと悩んでいました。高校では小学生の頃から憧れていたマネージャーができて嬉しいというただその気持ちだけでできていたマネージャーを続けることがこんなに難しくなるなんて思ってもみませんでした。一度きりの大学生活でこれが本当に自分のしたいことなのかと思いながらも、一度決めたことを投げ出したくはないという思いもあり、葛藤の日々が続きました。
そんなある日、「私なんていてもいなくても変わらない」という話をした時に「それは選手だって同じ。選手1人辞めたって部に大きな影響が出るわけじゃない。」と言われました。“じゃあなんでみんな続けているんだろう。みんなと野球するのが楽しくて続けているんだ。”と思いました。それに引き換え私は“最高学年としての責任。後輩に教える人がいなくなる。後輩の子達が楽しめるように。”と責任ばかりを感じて、いつからか自分が楽しむことを忘れていました。
“マネージャーをやるのも人生最後。最後くらい自分が楽しんでマネージャーをしたらいい。”
こう思えただけで今までずっと背負い込んでいたものが消え、ぐっと気持ちが楽になりました。むしろ引退を寂しく感じるほどみんなとの練習を楽しく感じるようになりました。
泣いても笑っても最後のリーグ戦。まずはリーグ優勝を目指し、みんなで全力で楽しんで戦って参ります。
今後とも変わらぬご声援のほど、よろしくお願いいたします。