フットサル4-0システムスーパ―マニュアル 実践編③ ~相手守備を攻撃する~
実践編③です。前回の実践編②はこちらから!
前回の実践編②では、3つのフェーズが存在し、それらを認知する中で状態に応じて優先順位を決定し、チームとして共通認識をもつことが必要であるということを述べました。特に強調したいポイントとしてそれぞれ「エントリーでは3人目が動き出し」「3人目とフィクソがバランスを回復する」というこの2点があります。これはパターンに縛られずにチームが共通認識を持つための原則であるわけです。
そんな前回の実践編②では主にエントリーと回復に重点を置いていきましたが今回はシステムに根幹部分である攻撃フェーズではいったいどんなことをするのか?を中心に進めていきます。
第3章-2.1 2つの大きな目標
4-0システムを用いる目的は当然ゴールを奪うことです。ゴールを奪うという目的の中で特性を考えると以上の2つの大目標があげられると考えています。
1つは、守備ラインを直接的に超えることです。これは要するに守備の背後を一気に突こう!という考えです。自分たちが1列になることで空けたスペースに一気に飛び込むというわけです。これが理想の状態(状態目標)そのうえで、その理想の状態になったときどんな行動をとるべきかといえば、2人がラインを超えることでGKに対して2v1をつくることといえるでしょう。
2つ目は、守備ラインを段階的に超えることです。これは相手の複数ある守備ラインを一列ずつ超えていこう!という考えです。自分たちが一列になることによって得た低い位置での数的優位を生かして一つずつ超えていきます。一列ずつ超える際にその数的優位を継続しながらラインを超えることがの行動の目標となります。具体的に言ってしまえば3vs2を作り、擬似速攻の状態を作りたいわけですね。
まず、ゴールを奪うために、おおよそこの二つの目標のどちらかを達成することがあるということを抑えましょう
第3章-2.2 相手の裏を一気に奪う
さて、この守備ラインを直接的に一気に超えるという目標を達成するのに重要なのは、3人目と逆アラのプレーです。この2つの役割がきちんとモビリティをもって深さをとらなければ決してシステムがうまく機能することはありません。よってまず攻撃フェーズにおける基本的なプレー原則は「3人目と逆アラはラインを超えるアクションをとる」ことになります。準原則として「ボールプレスに応じて動きを変える」「マークマンの対応に応じてサポートを変える」があげられます。
図のようにフィクソへのボールプレスが弱い場合に積極的にラインを超えていくことでいわゆる中パラ(=3人目が中央から裏を狙う動き)や逆アラのバという形でこの守備ラインを一気に超えるアクションが発生します。
第3章-2.3 1枚ずつラインを超える
Bの「守備ラインを段階的に超える」という目標は最終ラインは超えられなかったものの継続的に相手に負荷をかけていくことで守備ラインを超えていくことを指します。相手に継続的に負荷をかけたいときに特に重要なのが3人目の働きです。継続的に相手ラインを超えることをうかがう場合、3人目がカットすることによって起きる少しのズレや3人目がライン間に侵入することで出来る局所的な2vs1を利用していきます。よって一気にラインを超えられなかった場合に重要なのはローテーションの中で3人目が誰なのかを素早く認知し、積極的にカットすることとなります。
これを具体的な手段に落とすと
①相手のズレを利用
=3人目のライン間→3vs2擬似速攻
②3人目がラインの背後でサポートする
=アラと3人目の2人組(デュアリダ)
になります。ざっと図にすると
①相手のズレを利用(ライン間→3vs2)
ライン間の利用は特にマーク交換が多いチームに対しては積極的に狙うことが望ましいです。この赤のチームもかなりゾーンに近い守備なので、3人目がカットすることによって得たズレをライン間の利用につなげています。
②局所的な2vs1
フィクソのプレスが強くなく、まずは深さをとった逆アラですが、相手の最終ラインが深くフロートしており、直接的に超えることが難しいと判断しました。この場合は、相手の1列目の背後で2vs1を作り、突破を伺います。
3人目はも同様にまずは深さを取りますが、逆アラの足元にパスが出たのを見て平行のサポートを狙いに行きます。それによって局所的な2vs1を作ります。
ちなみにこの時重要なのは3人目が相手の守備ラインをできるだけ分断することです。つまり、3人目の選手は相手の最終ラインを押し下げてから平行のサポートを作ることがポイントになります。
さて、今回は4-0システムを用いてどのように相手の守備を超えていくかその目標と目標の達成手段ということに着目していきました。次回は守備ラインを超えられなかった場合、どのように継続して前進するのかに注目していきます。