Creation.3「就活」

作.ぺんしる

よく就活は自分との戦い、自分を信じることが大切、というアドバイスを見聞きする。

では果たしてどれだけの就活生が「自分」と向き合えているだろうか。

企業規模、業界シェア、優良企業、高年収、採用、不採用。

就活には私達を「評価」する社会的観念、他者が多く存在する。

希望を叶えた内定者の傍ら、多くの不採用通知を積み重ねていつしか内定という結果を得るために就活に臨む人を私は多く見たし、私自身その感覚に囚われた経験がある。

兎に角恐ろしいのである。

否定されることが、ではない。周囲から取り残されいき、足場が少しずつ崩れていくような感覚が恐ろしいのだ。

そこから脱するための就活には強迫観念が生まれる。内定という結果をまず求めるようになる。

就活以前、留学での経験から卒業して就職する、という流れが絶対ではないという考えを持っていた私はしかし就活し、卒業後就職することを選んだ。

にも関わらず私は内定を目的に就活をしようとしていた。自分の掲げた理想の就活と自分の感情の齟齬に対し私は苦悩した。

そこで私がふと思ったことは、卒業したあとも、就職したあとも人生は続き自分のやりたいこと、将来について考え続けるだろうということ。

ならば今の自分にとって就活とは何か。それは自分に納得するための行為。

多くの選択肢、未来の中「今は」こうあろう、こう有りたいと選ぶこと。

終わりではなく始まり。
答えの出ない自分のこれから、
人生の一歩を歩む道を「決める」のではなく「選ぶ」ということ。

作. ポンティン「おにぎり」

「自由な格好でお越しください♡」

そんな親しみやすい文面だったから、何も身に付けずに簡単なセットで来てしまった。しかしなんだこれは。みんな海苔を巻いてきてるじゃないか!おや、なんだあいつ。きれいな三角形につくろいやがって。コンビニ経験者か。うわ、あの真ん丸やろう。きゅっきゅと丸め転がしただけだな。ごま塩なんか振ってきたけど逆に生半可だな。白飯の塩むすびのが上等にきまってらぁ。

そんな十月ころの初々しいおにぎり期間がなつかしい。あの時期はまだ、みんなはっきりと具を詰めてくることもなく、何となく海苔を巻きだしたり、三角形にしてみたり、ぎゅっと雑に丸めて固めただけのやつもいた。精米もせずに玄米で来てるやつもいたな。

年末年始はだんだん皆が具を詰めだして、梅干しはどうか、おかかはどうか、、、4~5日間で何となく具在を決めるんだ。あの玄米のコはどうしたかな。精米したかな。まだ寝かしておいて水につかるのかな。

そういえば周りはみんなもう海苔だらけだな~。電車で三角おむすびの奴見かけたけど、もう就‹食›先はリーチかな。この前、あいつは「ピリッとした明太子でいきたいです。」なんて言ったら、「うちは漬け物が多いから塩辛すぎるのはねぇ。」なんてしっぺ返し喰らったって。いつでも人気のしゃけは、やっぱり数が多いなあ。なんだかみんな米粒が一つ一つ引きしまってるし、のりもパリパリそうだし。こういうおれみたいな、水多めのふっくらタイプはべちょべちょしてる風にとられるのかなあ。

あれ!あの真ん丸にぎりめしだったコも受けてる!しゃけも考えてるんだあ。ああいうのはおはぎにした方が向いてるのになあ。

「よそを気にしてる場合じゃあないぞ!」

お!お前も来ていたのか。さっすが大手しゃけは人気だなあ。

「先輩が言ってたんだけど、味噌もいけるってアピールすると、今の時代、西京系もいけると思われて高評価らしいぞ。」

〈一年目はのり弁スタートだけど大丈夫?うちはしょっぱいことも多いけど?〉

~~~「最終的にはお寿司になりたいです。」

そして僕はマッコリになった。


回想

ぺんしるさん。元気ですか。

あなたが紡ぎ出したポエムは今日まで繋がってますよ。

初回ゲストとして、就活真っただ中のそれをポエムにしてくれた、彼。

ぺんしるの「書けてよかった。楽しかった。」の言葉が忘れられない。

本当にありがとう。ぺんしる君。

なんか、今猛烈にチャーハンになりたい。ぽん