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日本列島改造論_1970年と2020年の人口比較

田中角栄の「日本列島改造論」を読んでいる。

これが書かれた1970年当時、都会の過密、田舎の過疎が問題視されており、「日本列島改造論」では、人口と産業(特に工業)の地方分散を進めることにより諸問題を解決しようとしていた。

「日本列島改造論」から50年が経ち、いまも「地方分散」が全国各地で色々な人によって主張されている。同書で描かれた未来は残念ながら実現していない。では列島人口はどのように変化したのか、改めて1970年と現在の人口をデータ(7地方区分)で比較してみた。

全国平均

日本の人口は、1970年で10,467万人、2020年で12,615万人。1970~2020年の50年間に2,148万人が増加し、人口増加率の全国平均は21%である。この21%との比較が、均衡ある発展をしたかどうかを評価する指標となる。

北海道+東北

<対象> 北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
人口増加率が全国平均(21%)を上回るのは宮城(+27%)のみで、東北他県は軒並み減少(-23~-6%)、北海道は横這い(+1%)。

関東

<対象> 茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川
まず、東京(+23%)は全国平均をやや上回っており、これだけで「一極集中が解消されていない」という結論に近いものがある。また、7都県全てで人口が増加し、しかも全国平均(21%)を上回るかそれに近い水準である。特に、埼玉(+90%)、千葉(+87%)、神奈川(+69%)は圧倒的な増加である。

中部

<対象> 新潟、登山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知
7地方区分上、日本海側と太平洋側が同じ区分となり、少々掴みづらいが、愛知以外は、全国平均(21%)を下回る。なお、唯一減少する新潟(-7%)は、東北開発促進法の対象であり、東北地方との結びつきも強い。

近畿

<対象>三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
1970年当時で人口が多かった大阪と兵庫の人口増加率は全国平均(+21%)を下回る(大阪+16%、兵庫+17%)。人口増加分でいうと、大阪(762→884万)は神奈川(547→924万)に抜かれ、兵庫(467→547万)は埼玉(387→734万)と千葉(337→628万)に抜かれた。なお、滋賀と奈良は全国平均を上回るが、人口規模が小さいのでインパクトもそれほど大きくない。

中国・四国

<対象>鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知
「日本列島改造論」でも、瀬戸内海を挟んだ中国・四国エリアは一体的に言及されている部分がある。増加率の最大は広島の15%で、全国平均(21%)を上回る県はない。全9県のうち減少が6県。

九州

<対象>福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
増加率が全国平均(21%)を上回る県は福岡(28%)と沖縄(55%)の2県である。それ以外の6県は横這いか減少。人口規模、増加率とも「福岡か、それ以外か」の状況が続いている。


過去50年(1970年~2020年)における人口変化

出典
・総務省国勢調査

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