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ラブホ事情

自宅の近所にラブホテルがある。
出勤の際にはそこを通らなければ行かれないので毎日のように通っている。
ひらひらのカーテンを揺らしながらラブホテル駐車場へと消えていくカップルを朝っぱらから見送るのは、これから仕事をする者にはいろんな意味できつい。

数十年前の話しになるが私が若い頃、ヤン友(ヤンキー友達)のアヤが、よろしくやってる彼氏と毎週末ラブホ通いをしていた。
アヤ曰く、「土曜の夜はちょっとでもタイミング逃すと高い部屋しか残ってへんのんよ。安い部屋だと一泊5,800円やけど、出遅れたら7,800円の部屋しか空いとらんのんよ〜。2,000円の差はデカイべ?だから、少しでも安いとこ見つけるために“空”(空室)を探し求めてあちこち何軒もまわるわけよ。結局、どこも“満”(満室)だったときの絶望感ったらないわ。その頃にはもうクッタクタで仕方ないから公園で一夜を過ごすわけ。夏はあちぃし冬はさみぃ。」

ちなみに、アヤがラブホをまわる交通手段は自転車ニケツである。

「ご苦労様ぁ〜」と心の中で呟きながらアヤのラブホ話しは続く。

「先週行ったラブホさぁ、部屋から風呂丸見えでやんの!恥ずかしいのなんのって笑」

「ウォーターベッドって知ってる?ベッドにウォーター入ってんねん!飛び跳ねるとチャポチャポゆーねん!」

「まぁるいベッドはだいたい回転するから覚えとき〜!」

「エアシューターっつ〜のがあってさ、細いペットボトルみたいなやつにお金入れてスイッチ押すと、シューゆーて吸い込まれてパイプの中を上がってどっかいくねん。で、少しするとまたシューゆーて下りてきて、見てみるとペットボトルにお釣り入ってんねん。従業員と顔合わさずに料金支払えるシステムやねん。すげくね?画期的やろ⁉︎感動したわ!」

行ったこともないラブホテルに詳しくなったのはアヤのおかげである。

先日ふと、自宅近くのラブホテルの看板に目がいった。そこには「web予約できます」と書かれてある。

えーーーっ!

今どきのラブホはweb予約できるらしい。
自転車で何軒もまわっていたアヤの苦労が、数十年の時を経てこれほど便利になった。

…っていう話し。

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