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頼むよ、安達哲〜2022年の「キラキラ!」考。

とりあえず冒頭で主張したいのは頼むよ、安達哲ってことだ。もう一度繰り返す。頼むよ、安達哲。そろそろ貴方の漫画を読みたいんだ。


今年に入ってちょうど春先ぐらいだったと思う。韓流に飽きてしまった自分がいた。

いや正確には飽きたんじゃないな。だいたい今また沼にずぶずぶハマってるもん。要するにお気に入りの作品をリピートするのが多くなっただけ。

「梨奏院クラス」は3周したし「マイ・ディア・ミスター」もそう。韓流ドラマは女優で観る主義のボクからすればなんの矛盾もない行為なんですよね。小林信彦風の言い回しをあえて引用するならコレ。文句があるかですよ。(引用元すぐにわかったひとはえらい)


とはいえリピートだけじゃなァと思いながらもなんでもいいわけじゃないですか。たとえば今のタイミングで「人間レッスン」は重いし「今、私たちの学校は、、」は続きが気になるだけなのでスルー。「悪霊狩猟団」ってのも違うしなー。ちょいとこの手のやつは食傷気味なので。挫折したドラマに再チャレンジって手もなくはないけど気が乗らない。


で、どうしたか。


あえて90`初頭のトレンディなドラマを観てみたわけで。小泉今日子と真田広之の「僕が彼女に借金した理由」とか当時途中離脱したんだよなーとか。「ADブギ」とか続編あるの知らなかったですよ。加勢大周をADに起用はナイスキャスティングだと思いました。理由はほんとにいそうな匂いしかなかったから笑 あとは長渕剛の「とんぼ」を観たり(名作ですね)。おそらく2022年初夏の段階で「とんぼ」にがっつりハマってたのはボクだけだろうなー。


それにしてもですよ。沢田研二の「悪魔のようなあいつ」は初めて観ましたがすごいね。なにがって長谷川和彦の脚本がどうとか演出の久世光彦の切れ味がどうとかってことよりも沢田研二全盛期のオーラの凄みよ。そこに若山富三郎ってキャスティングも見事。朝ドラ「おかえりモネ」とかで枯れた味わいの老人を演じてる藤竜也の中年期独特のエロティックさもすげえの一言。まだまだ未体験ゾーンの世界観はあるんだよなーとこのドラマを観ていて思った次第。食わず嫌いもあるだろうしタイミングとかいろいろで。70年代〜80年代のドラマはどんどん配信して欲しいな。局の問題とか権利とか乗り越えなきゃいけない壁はあるんだろうけど。


そんなこんなで自分の中の「韓流」は収束していくのかなーと思ってたんですが、ここ最近のボクはNetfilxで「私の開放日誌」を楽しんでいる。名作「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん」も素晴らしかったけど同じ脚本家パク・ヘヨンで送るこの作品、はっきり言って最高。物語の進行、序盤はスローなのでこの時点で脱落してるひといるかと思うが耐えなきゃダメ。4話以降いきなり加速していく。いわゆるキラキラしてお洒落なソウルを舞台に繰り広げるロマンティック・ラブコメディではないので「地味」「ときめかない」「共感できねえ」とかあるかもだけど、ロマコメ好きなら「ロマンスは別冊付録」観りゃいいじゃないのと(←いやコレも名作ではある)。ベタベタのSWEETさはボクも嫌いじゃないけどそれだけじゃ心の疲れは癒せないときもあるじゃないですか。甘みも苦味も絶妙なバランスで、そっと心に寄り添うようなドラマ。それが「私の解放日誌」なんです。正直言えば邦題で損しちゃってるよな、、重めのドキュメンタリーっぽい雰囲気あるもんなァ。


「マイ・ディア・ミスター〜」もそうだったんですが登場人物の描写が素晴らしい。どいつもこいつも無職だったりコミュ障だったりと非モテキャラ続出なんですが描写に愛があるので観ているほうがつい応援しちゃう。「マイ・ディア〜」のダメ兄貴がその代表格じゃないですか。もちろん主演のIUも最高だったんですけどね。結局イ・ソンギュンとの仲もああゆう結末で終わるのがベストチョイス。ちなみにボクは眉月じゅんの「恋は雨上がりのように」のラストと同じ匂いを感じました(映画は未見)。

まだ完走してないのでなんともですけど近所のカフェの店長オ・ドゥファン(髭面の小熊キャラ)に只者じゃない感を見出してます。コンビニで主人公兄の元彼女に扮するシーンのチ・ヒョンアもイイ。主人公の姉役のイ・エルも回を重ねるごとにどんどん可愛く見えてくるのは物語に引っ張られてる証拠でしょうな。このドラマのオフビートさ含めて、「大豆田とわ子」とか共通した匂い感じるんですけどね。あとは往年の山田太一のドラマか。いずれにせよボクはこのまま最後まで完走しちゃいそうだなー。


そしてこのドラマを観ていてやたら思い出すのが安達哲なんですよ。

安達哲といえば「さくらの唄」だけど週刊少年マガジンで連載されてた「キラキラ!」も忘れちゃいけない。ひさびさに読んで突っ込みどころもあるけどコレがマガジン本誌に掲載されてたことにいまさらながら驚くわけで。あきらかにヤングマガジン向けじゃんって。そこもふまえての挑戦的な作品だったんだよなと。「キラキラ!」をふまえて「さくらの唄」があり、「お天気お姉さん」や「幸せのひこうき雲」があるんだが今はどうしてるんだろうか。10年ほど前に原作つきの「シュセンドー」をヤンジャン(たしかグランドジャンプ)で連載してはいたけどこのひとの本領発揮って作品ではなかった。そもそも原作つきで活きる作家じゃないから。

「お天気お姉さん」のやけっぱちな作風なんか最高じゃないですか。週刊ベースの連載システムをあざ笑うかのようなヴァイオレントぶりを発揮し打ち上げ花火のように咲いた90`sヤンマガの徒花はそのノリを継続することもなく現在沈黙を守っている。「バカ姉弟」とか掲載されてたけど、もうこのまま描かないのだろうか。古谷実も新作ご無沙汰してるしなー。描きづらい理由はなんとなく想像はつくけども。相変わらず医療ものとかラーメン屋とか職業ジャンルものは多発してますがそれもよくわかる。ディープに読まずに済むからだ。ある意味漫画の機能性ってことで言えば正しい。いつ読んでも「何かに夢中」で「上を目指してて」時々「トラブルもあるけど」解決しながら成長していく話ってやつは時代を越えて面白いもんな。ゆえに職業ものが定番化、次から次へと量産されるグルメものって話になるんだろうけど、そうじゃないものって必要なんですよね。それこそ「キラキラ!」を読めばわかる。タイトルが示すようにここで描かれてるのは人生ほんの一瞬のきらめきだ。そしてその裏側まで突っ込んで描いたところにこの作品の価値はある。たとえばNetfilxで延々続いてる「リバーデイル」ってドラマあるじゃないですか。ボクだけかもしれないが観ていて同じ匂いを感じたもの。ときめきの裏側にある残酷な感情。そこまで描いた作品は当時少年誌じゃなかった。明確なハッピーエンドを描いてないのもいい。

安達哲、どうせならウェブオンリーじゃダメなんだろうか。読み切りでも発表する価値はあると思うんです。もちろん「バカ姉弟」が不定期ながら連載再開したのは知ってるけどギャグじゃなくてそれこそ往年の山田太一ばりのストーリーものが読みたいのだ。中編書き下ろしを年に3本、単行本を1冊ペースとか。親和性あると思うんですよね。たとえば藤本タツキがウェブで書き下ろし発表→のち単行本みたいなスタイル。青春の過渡期みたいな作風は年齢的なものもあって難しいのかもしれないけど50代の視点で描くのってニーズは絶対あると思う。今こそ立ち上がって欲しいんですけどね。今の時代みたいな空気感だからこその安達哲復活だと思うんですけどね。けっこう多くの読者が思ってるんじゃないかな。復活希望。出来ればとんでもない爪痕、読み手に残すやつ頼みますよ。

最後に。「キラキラ!」ヒロイン戸田恵美里よりも小山若菜のほうがボク的には惹かれるかなー。まあ、それはどうでもいいか笑


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鈴木ダイスケ
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