OverTheControllEP②/放火
というわけで、OverTheControllEP2曲目です。
前回記事はこちら
放火
妖精たちの、存在価値さえ、信じることのできない大人になるくらいなら、いっそのこと街を燃やして、黒焦げになった大通りを、何の疑いもなしに、夢遊病者みたいにさまよい歩いている方が、炭の匂いやプラスチックの溶けた匂いを、嗅ぎ比べて時間を潰して楽しんでいる方が、何倍もましだと、そう言った
松脂だとか、骨の折れた傘だとか、燃えさしばかりが気を失っては,、蹲っている、窓のない町並み、刺青のように虹を彫られて、アーモンドの匂いと、桃の花の匂いが、雨を降らせる前の気分のように、目の前にたちこめる、ずぶぬれになる前に、シャワーを浴びて、庭に出て、けものたちの匂いが、かすかに空気に混ざりこんでいるせいで、この夏の気候は、熱中症で青紫色に衰えたみたいで、懐かしいくらい
ひろげたリョウテ、負荷をかけていっては、不可能なものを抑圧していく、生え生えにぎらついている、山国をたたき台にして物語を作る、奇妙な叢、あらゆる絶望感への耐性を勝手に獲得してしまう往生際の悪い微生物みたいに、ウイルスみたいに薄情な言葉を口紅で書かれた、いつまでもいつまでも、気色悪い言葉を吐き出している姿を見るのが、少しつらい、つらいあなたを追いかけていたいから、木陰からそっと見つめる、でも絶対にきづかれてはいけないって、高校時代はそんなことばかり思っていたって、彼女はそう言った
いつか同じものになって、塵に返って行く前に、振り返えらずにはいられない、それが意識の特権的な貴族性だって、子供みたいにうれしそうな顔で、笑っていたあの頃のあなたに戻ってほしかった、だから戻ってよ、厭です、どこにも戻る場所なんてありません、だってこんなの話がちがう、だって生まれた街の幽霊があんなにも紫色をしていたなんて思ってもみなかった
自分たちの手を汚してますます綺麗になって、痙攣していく瞬間に、あしもとが泥でできてることを知らない女は馬鹿になる、要するに戻る場所なんてないんです、と、わざわざ敬語で言わなければならないやるせない心情を理解してとりあえず複雑な気持ちで思いやった、些細な場所にまで地雷をしかけた分だけ人生は崇高になる
野球部員を木陰からそっと見つめながら高校生活を棒に降った、しかも誰にも気付かれず、野球なんてキライだ、野球が生き物だったら毒まんじゅうを食べて死ねばいいんだ、と、いう内容のことをできる限りやさしく無邪気な子供に言い聞かせてみたくなる午後だった、毒まんじゅう、という言葉の意味をあどけない姿でどことなく誤解したまま思春期を迎えてほしいと思った
誓いによって純潔になった分だけますます血をほしがる、死んだ女によどんだ水の中で魚のように自分を寝取られる幸福にとりつかれている、そんなあなたがぬるま湯みたいに感情的になって、内臓的になって涙を流したりカンカンになって怒ったりするのを、馬小屋に詰まれた藁のベッドにうずもれて、さかさまになっている両足の間からずっと見ていたと、彼女は言った
うさぎの赤い目を見ていたら、自分の身内までぬいぐるみになった気がして、うなぎのぼりになってあがっていくエレベーターのガラス張りの窓から新宿副都心の町並みを鳥瞰して諦めがやっとついた
ぬいぐるみ計画が失敗した後のためらいとかすかでなげやり気味な後悔が、不意に胸骨をきしらせる、あふれかえっていく爽やかな三角帆、見離した海空を軽やかに身ごもったまま、体中をめぐっている血の色がしだいに黒くなるのをきにかけている、とても熱い、多分火が燃えている、一体何回位燃やして回ったら気が済むのかしら、と、妖精たちの、犠牲になって、彼女はしずかにつぶやいている
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というわけで詩の解説。この詩は実はもう10年くらい前に作ったものをポエトリーリーディングにするために少し推敲した内容になっています。10年前は高円寺に住んでいたんですが、当時そこで不審火による火事が何件かあって、たまたま住んでいたアパートから駅に向かう途中でその燃えた跡地(ちなみにその時は死者はけが人はいなかった)があって、そこを歩いていた時の事がなんとなく元になって作った詩です。なんか印象的な体験をすると詩を作りやすいので、外に出歩くことは大事ですね。今はコロナのせいであまり出かけづらい世の中ですが。。詩の内容に関しては個人的には不思議ちゃんな内容で楽しくて気に入っております。。今と全然違うのは、特に韻を踏んではいない事ですね。
さて、ビートの方ですが、とりあえずこちらをご覧ください。
そう、もともとはこういう曲だったのです!お坊さんの講話なのです!蝉の命の儚さです(!)だからビートが蝉なのです!関西弁に味があります。こっちの原曲の方がカオス感みたいなのがあって、こっちの方が蝉っぽさが出てる気がしますがどうですかね??
一緒にリリースした他の曲はこちらです↓
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