散文詩 キリスト(2004年)
キリストは讃美歌を歌いながら小人になって、分解しきって液状になり、スポンジ状になった空気の無数の穴の中に、浸されていった。ぎゅうっと絞ると、そこから出ていき、テーブルに置かれた、チーズの無数の穴の中に滑り込んでいった。冷蔵庫に容れられて、冷やされて、切れ込みを入れられ、スライスされた。パンに載せられトーストされて、苦痛の記憶を綴じ込めた、オレンジ色のコンフィチュールを塗り込められて、キリマンジャロのコーヒーと一緒にわたしに食べられていった。その日は雪が降っていた。窓際にもたれ