3次元レースで気を失いかけた💦
トップガン・マーヴェリックを観ていて感情移入したのは、3次元で操縦するあの感覚でした。
縦と横のGが強烈にパイロットを襲う。時空がねじれるような支配的なGの中で、正確な操作が要求される。速度を上げなければ敵に撃ち落とされる。だからスロットルをさらに開ける。するとさらにGは凶暴になる。それでも耐えなければならない。劇中にもあるように、脳に血が回らなくなり、意識が遠のくのだ。
この感覚って、実はニュルブルクリンクでも同様なんです。
サーキットは平面だから、2次元でしょ?
強烈なのは横Gだけでしょ?
そう想像する気持ちも理解できます。ですがニュルブルクリンクだけは別です。激しいアップダウンが連続するからです。
特にアデナウフォレストの手前では時空がねじれる感覚に襲われます。
アーレンベルグから先は、激しい下りセクションです。ブラインドコーナーですがスロットル全開です。6速で突き進みますから250km/hは超えているかもしれませんね。(スピード計を見ている余裕がありませんので、速度を確認できていません)
その勢いでアデナウフォレストに挑むのですが、滝下りのような急傾斜の坂の先が、急激な上りになっているのです。したがって、マシンは壁に叩きつけられるようになります。
しかも左に旋回しています。縦と横に激しくGが発生する。まさに時空がねじれる感覚です。
壁に叩きつけられたマシンのサスペンションはフルボトムします。
その瞬間にフルブレーキしなければならないのですが、アクセルペダルを床踏みしている右足を引くには、強い縦Gに抵抗しなければならない。歯を食いしばりながら、腿に力を込める。そうしないとクラッシュしますからね。
命を賭けてアクセルペダルを踏み込むことも時にはありますが、命懸けでスロットルを緩めなければならないのはここだけでしょうね。
首が体に食い込みます。頚椎が縮む感覚になる。腰部に負担がかかっている。脳に血が回らなくなる。意識が遠のく寸前でアタックを抑えますが、クラクラっとする。視界が怪しくなるんですよね。
一度だけ、戦闘機パイロットが着用する「耐GTスーツ」を考えたことがありました。ですが、サーキットには馴染まないことが確認できたんですよね。
戦闘機用は、Gが高まるに合わせて下半身にエアを送り込むんですね。下半身を加圧することで、血液が降下するのを防いでいます。ですが加圧するので下半身の自由度が下ります。上半身だけで操縦するパイロットには都合がいいのですが、脚の操作も加わるレースには不向きなんです。なので断念しました。がっかりした記憶があります。
そんな経験をしたので、トップガン・マーヴェリックに感情移入したのでしょう。まだご覧になっていない方は、ニュルブルクリンクを想像しながら観てみてくださいね。