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横浜南部市場に見る新しい商業と場外市場の共存について

場外市場は言葉は悪いが「闇市場」のようでワクワクする。見たこともないような魚や切り身が、思ってもいない価格で売っていたり、滑っとした水光した床と、商売っ気のない店主の何とも言えない「その場感」が独特な雰囲気を作る。

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全国にこのような市場が点在し観光地化しているのも多い。観光地化と言えばインバウンド向けに業態を変え地元の指示が離れてしまい、コロナ禍で最も打撃を受けた一つは大阪「黒門市場」であろう。焼串ばかりの商店に嫌気がさす。市場の観光地化はなかなか難しい。

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また「卸と小売り」の関係も昨今様変わりしていいる状況で、卸売市場は本体である「卸売」を切り売り土地売却し、「場外」だけ残す。つまりは、商業施設と転換を図る事例が多い。ここ横浜南部市場も大和リースとともにブランチの一部として再開発されている。

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見どころは場外市場をそのまま残し、その横に真新しい商業施設を併設させているところである。イオンモール神戸南では市場をすべて取り壊し、新しい商業施設に切り替えている。ただし、課題は多い。

前振りは長くなったがその課題は、既存の場外市場と新商業ゾーンの共存である。ここ横浜南部市場もその課題に直面し、既存の場外市場は賑い、新商業ゾーンに空床が目立つ。

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なぜそのような状況になるのか。問題は二つある。一つは経済的な理由。つまり「場外市場」は家賃が安い。普通借家契約により何十年も前の昨今の不動産相場に不釣り合いな条件(既得権)で商売をしている場合もある。ただし、お客様にもメリットがありそのぶん商品は安く提供できているのだ。

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二つ目は、商環境である。冒頭市場のワクワク感に触れたが、市場の魅力はある意味「雑多」悪く言えば「古さ・汚さ・臨場感」である。これはなかなか新築では作れない。「市場」と言えば「場外」である。長きにわたり使われた床や照明、さび付いついた鉄骨、何十年も営業している食堂、この魅力は作れるようなものではない。

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市場をコンセプトに開発されたレストランゾーンやフードコートを目にするがその名前負けするような施設ばかりである。横浜部市場はそのリアルを残しコンセプトの体現にチャレンジしているが、その結果新新商業ゾーンとの住み分けを明確にしてしまった。

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