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「千と千尋の神隠し」着想に至る経緯
「千と千尋の神隠し」まずはタイトルが先に出来た。
知人に千尋という女性がいたんです。
名前を書くときに、千を書いたところで「尋」という字をド忘れしていたんですね。書きかけの名前には、「千と」と書いてて、頭の中では
「千と何だっけな?」て具合だったんです。
で、「尋」を思い出して
「千と千尋」と書いたことで、イメージが広がりました。
漢字のど忘れって、頭の中で「尋」が神隠しにあった状態だなと思ったんです。それで「千と千尋の神隠し」ってタイトルが決まった。
モデルとして、当時10歳だった奥田千晶さんが有名ですが、実際には3歳の女の子がモデルとなって、10歳になった姿を想像してスケッチしたため、千尋は幼児の様に鼻ぺちゃなんです。しかも、鼻の下が長い。
その子が10歳くらいの時に楽しめる映画を作りたい。その頃ちょうど10歳の千晶さんが喜びそうな映画を作ろうということになったのです。
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千尋がそれまでのジブリ作品のヒロインと違うのは、幼児の様な顔をしているからなんですね。
異世界への入り口
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神隠しに相応しい世界への入り口が必要だった。
この島武意海岸への入り口にあるトンネルは、まさに異世界への入り口の様だった。風が吹き込み、とって食われるかのような威圧感にドキドキしてしまった。
迷い込んだテーマパーク跡地の元ネタはオタモイ遊園地
小樽の沿岸部オタモイに、1936年に開園した「オタモイ遊園地」をご存知でしょうか?1952年に龍宮閣が全焼したことで閉園となったテーマパークを。
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ここの存在がなければ、「千と千尋の神隠し」は誕生しなかった。
このミステリアスなオタモイ遊園地の存在が、映画を作る重要な舞台としてイメージが膨らんでいった。
勿論、道後温泉や江戸東京たてもの園を参考にしているのも間違いなく、細かなディテールを表現するためには、オタモイ遊園地の資料だけでは足りないのも事実です。
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湯婆婆と銭婆
まず、油屋にいる怖い黒柳徹子みたいな存在。
湯屋にいる婆婆だから湯婆婆。
その双子で少し離れた場所にいる婆。
小樽の隣町に「銭函(ゼニバコ)」か、銭婆だな。
まぁ、そんな安易なものなんです。
とにかく登場人物を作らなければ、物語が動かないのですから。
違和感しかないカフェの存在
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銭函にあるカフェ:大坂屋さんをイメージして、油屋手前にねじ込んだcafe
構図的にも不要なんだけど、どうしても入れたかった石造のカフェです。
何故、カフェを入れたかといえば、この小樽周辺をモチーフにしたこと。目にとまった景色を盛り込んでおきたかったということでしかない。
なので、違和感があってもカフェをぶち込んだということです。
水の中を走る列車
札幌から小樽に向かう途中、海岸線を走るのですが、海の上を走っているよな感覚になるんです。
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勿論、名鉄常滑線がデザインとして参考にはしています。
でも、海の中の線路を走るイメージ自体は、旧官営鉄道の函館本線からプロットとして生まれたものです。小樽から銭函に行くには列車に乗る必要があるです。銭婆に会いに行く手段の列車が必要だったんです。
まぁ、こんな感じで千と千尋の神隠しの世界観を構築していったわけです。
以上、回顧録でした。