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高校女子裸足道部(夕坂歌菜編)

割引あり

【はじめに】
 本作はインタビュー形式を取った特殊なホラー小説です。この世界では「裸足道」と呼ばれる華道や茶道のような芸道があり、高校生が部活で行ったり、プロの裸足道家も存在します。pixivやCi-enにて、この世界観をベースとした物語も展開中です。

『高校女子裸足道部(夕坂歌菜編)』



Q:お名前と学校を教えてもらえますか?

 ーー光明館高校、裸足道部一年の夕坂歌菜(ゆうざか・かな)です。本日はよろしくお願いします。

Q:早速ですけど、裸足道について教えてもらえますか?

 ーーはい。私のような若輩者が語るのもおこがましいですけど……。裸足道は剣道や空手道のような武道の精神性に、茶道や華道のような芸術性が加わったものです。裸足道の競技者は女子のみで、年齢的には20代までがほとんどですね。

 新体操のような美しさもあるし、武道家のような凛としたカッコ良さもあるので、競技の過酷さにもかかわらず、女子全体の二割ほどが裸足道への憧れを持っているそうです。といっても、実際に裸足道部に入る女子は、ほんの一握りなのですが……。やっぱり過酷な競技ですからね。

Q:光明館高校の裸足道部はどんな雰囲気?

 ーーウチは決して強い高校ではないので、部活は和気あいあいといった感じでやっています。服装はどこの高校も同じだと思いますけど、藍色の袴と白の道着ですね。もちろん部活中は完全に裸足が義務付けられています。強豪校だと入部から卒業まで、3年間ずっと完全に裸足ってところもありますが、ウチはそこまで厳しくはないですね。

 三年生は春先に引退したので、今は二年生が7人、一年生が9人でやっています。最高段位所持者は主将の園崎遥香先輩で、先輩は初段を持っています。

Q:どうして裸足道を始めたの?

 ーーやっぱり裸足道家のカッコ良さに憧れてたのが大きいです。テレビで時々、裸足道の模範演技をやってるじゃないですか。小学生の時から私もずっと見てきたんですけど、高校生や大学生のお姉さんたちが自分の足の裏を平然と火傷させて、すごく痛いだろうに涼しい顔で痛みに耐えている姿がカッコ良くって……。お姉さんたちの足の裏がどんどんどんどん焼け爛れていくのが、見てる私もドキドキして……。私も高校生になったら絶対裸足道やりたい! 私の足の裏も火傷させたい! ってずっと思ってたんです。

 特に私、火渡りにずっと憧れてたので、こないだの火渡り大会でついに私の念願が叶った感じですね。

Q:実際に火渡り大会に参加してみてどうだった?

 ーーずーっと憧れてた火渡りだったんですけど……びっくりするくらい耐えれなかったですね(笑) うちの部活だと、一年生は泣いても叫んでもいいからとにかく踏破すること、って言われてまして。20メートルの火の道なんですけど、私が涼しい顔で歩けたのは半分くらいで、恥ずかしながら、最後の方は叫びながら飛び跳ねてましたね~。

 私の火傷は全治1週間でした。あ、一応、足の裏、ご覧になります? もうほとんど治っちゃったんですけど。……うん、ですよね。もうあんまり分からないですよね。大会から3日経ってますし。今も少しジンジンしますけど、普通に歩ける感じです。

 でも、火渡りの直後は足裏全体が真っ赤に腫れ上がって、ほんとに痛くて痛くて。あまりの痛さにしゃがみ込んじゃって、そこから一歩も歩けないくらいでしたよ。時間が経つにつれてどんどん痛みも増していくし……。でも、メチャ痛かったですけど、ずっと憧れてた火渡りがついにできたんだ!って嬉しい気持ちもやっぱありましたね。

Q:一年生の他の子達はどうだった?

 ーー踏破できたのは私も含めて3人だけです。他の子達は道の途中で逃げちゃってましたね。火の道に踏み出せなかった子も一人だけいました。もちろん踏破した私たち3人の火傷は他の子達に比べて格別でしたよ。自分が誇らしかったです。

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