空席の話
より豊かな人間関係とはなんぞやということを考えていた。それは多分、頭の中に他人を座らせて定義する「席」の種類や数の多さだと思う。最も貧しいと俺が考えるものは「自分とそれ以外」の二席の状態。
豊かな状態は「友達」「親友」「恋人」「家族」等たくさんの席がある状態だ。空席があってもいい。
この場合席の名前は先に挙げた例のように画一的でなくともよい。「なんか厳しくしてくれる目上の人」「優しく甘やかしてくれる異性」「毛むくじゃらでふわふわで自分となかよしの生き物」など。
一種の席に何人か座らせていると突然定義がぶれてきて、新たな種類の席として分離することもある。「友達」から「ちょい友」「めちゃ友」「ほぼ半身」等。
そういったたくさんの種類の席を、できるだけ若いうちにたくさん作っておくことが豊かな人間関係になると思う。
若いうちは環境が数年ごとにコロコロ変わるので席に置いておいたのに会えなくなって、別の離れた席に置くことになって、元々の席が空いてしまうことがある。元々いたものが居なくなったのだから寂しくなる。新しく知り合った人を空席に座らせることで、より簡単に新しい人との距離を作ることが出来る。(親しくなったりして関係に変化があれば、その人用の席を作ることもできる。)
そうやって「とりあえず座らせることのできるスペース」を確保することで、簡単に他人と関係が近くなったと思うことが出来るし、さらにコミュニケーションを図ることが出来る。
「いつも学校で過ごす人」が居なくなれば他のふさわしい人を、「恋人」が居なくなれば他のふさわしい人を、といった具合で、とにかく基本的な席を失わないことが大事だとも思う。
何か人間関係に満たされなくて寂しさを感じることもあるが、寂しさこそが空席感であって、新たな出会いへの欲だと思うので、大事にしたらいいと思う。あと人間との出会いって(人間関係限らずだけど)実体験だけじゃなくて本を読んだり他人から聞いた話だったりっていう物語の中にも存在する。だから多くの定義や多くの言葉を知ることも豊かさに繋がると思う。以上。