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リーダー修行記40(修行1周年目前にしてついに『4本足の眩暈』が降臨した話)

毎度毎度、レッスンのたびにそんなに面白いことが起こるのかとそろそろ疑われそうな気がしますが、起こるんですよこれが。

というわけで、今日もレッスンで起こった事件のお話です。

【訴状】
原告(けやき)は、踊っている最中に突然、重石を体内にぶち落とされました


怪我からレッスンに復帰して2週間。足はまだ微妙に痛いけれど、2cmヒールという女性ものでは稀有なダンスシューズを入手して、超絶踊りやすくなりました(自分が)。杖生活だった2ヶ月のブランクの影響はそれなりに大きくて、この2週間はおそるおそるぴよぴよしていたのですが、シューズのおかげか、だいぶ床が踏めるようになって、調子よく踊っていたこの日のレッスン。
以前の感覚がだいぶ戻ってきたな!と思った途端、ずどんと何かが自分の身体の中心に落ちてきたような衝撃をくらいました。

(うぎゃっ、なんだこれ重い!重い!重いーーーー!%$#“!&☆☆彡)

「リードがヘタレだと先生が動いてくれない」(『ジキル』が『ハイド』になる)話はこれまでも散々してきたわけですが、私の中にはその経験が蓄積されすぎてもはやこぼれ落ちそうな状態なので、「動かない」=「ハイド発動!」というアラートが自動的に鳴り響くように神経回路が仕上がっています。踊っている途中にパートナー氏が突然重くなる現象自体さほど珍しいことではないので、このときも「あ、なんか間違ったんだな」と瞬間的に思いました。
いやしかし、それにしてもいつになく身体的打撃が大きい。復帰後レッスンの中では、わりと調子がよかった分、精神的打撃も大きい。

ううぅぅぅ骨がまだつながってないのにさ、ブランク明けなのにさ、ちょっとできなかったからってさ、そこまでせんでもええやん?

重い〜重い~なんで~~!!」と内心叫びつつも、なんか悔しいので素知らぬ顔で続ける私。
とりあえず最後まで踊り切れたから、さっきのはなかったことにしよう、身体的ダメージの上に精神的ダメージまで食らいたくないから気づかなかったことにしよう、と華麗にスルーしようとした矢先に言われました。

先生「すごくよくなったと思います!」
私(……!?)
先生「身体を引かなくなりましたよね」
私(あれ?ダメ出しじゃない…?)
先生「骨盤がかみ合うようになりましたね」
私「………?」
先生「あ、ちょっと重かった?

ちょっとじゃない……。
ちょっとじゃない。
ちょっとじゃない!

私「重い! ちょっとじゃない! 重い!! 今の何!?」
先生「あれくらいかみ合うのがベストなんですよ(爆笑)」

そういえばパートナーをやっていると、「うまくかみ合ったときは、けやきさんのいい重みが僕にかかる」とよく先生に言われます。「いい重みがかけられればふたりがもっと自由に動ける」と。
私は、リーダーの言う、ネガティブな意味の「重い」と、ポジティブな意味の「重い」がどう違うのかいまいちピンとこなくて、体感してみたいと常々思っていました。
思ってはいたのですが…さっきのが「いい重み」なんですかね?
身体のサイズ感がバグってるせいで、本当に重いんですけど、どうなんですかね?
しかも、物理的に相手に寄りかかられたというより、自分の身体の内側にどすっと相手の重心が落ちてきた、みたいな、変な感じの重さで、すごく気持ち悪いのです。

この話を友人知人たちに話したところ、
「それって『ボールルームへようこそ』の4本足の話じゃん!」
と言われました。

漫画は読んでないし、アニメも流し見しかしていないのでよくわからないのですが、ふたりが一体感を得たときにパートナーの身体が自分の身体の延長に思える、という描写があるそうで。初めての受け入れがたい感覚に恐れおののく主人公多々良くんと、そっくり同じことを私は言っているらしいです(苦笑)

そう言われると、足が4本…かどうかはわかりませんが、自分の足と相手の足の境目がよくわからない、という感覚は確かにありました。とんでもなく重くて全然動けないのだけれど、重いものを抱えているわけではなく、足腰に負荷がかかってるわけでもなく、身体の外側ではなく内側(内部)に重石を乗せられたような、自分自身の重量が増したような、もはや何をもって重いと自分が感じているのかがよくわからないような、そんな感じです。
確信はありませんが、これでフィジカルの力関係が逆(というか正常)だったら「4本足で自由に動ける」という感覚になるのかもしれません。

なるほど。私はまた、リーダーの新たな扉を開いたということなのだな。なにしろ、かの有名な4本足の眩暈を経験したのだから、覚醒の日も近い。
と悦に入りかけて、ふと我に返りました。

あれ?
ちょっと待って?
今までも、突然先生が重くなること、わりとあったんじゃない?
特に最近は多かったんじゃない?

私はそれすべて「ハイド発動!」と思っていて、あえて言及すると怖いから気づかなかったことにしてスルーしてきたけど、実はいい踊りをしてたこともあったんじゃない?
そこ追求すべきとこだったんじゃない?
全部先生の意地悪だと思ってたけど、結構濡れ衣だったんじゃない???

社交ダンス、恐るべし。底が知れないな。何が正解なのか全然わからないな。
ただでさえわからないのにリーパー逆転してるから、混乱の極みだな!

とりあえず、今後は思い込みで有罪判決を下すのはやめて、重いときは重いと申告して裁判にかけようと反省しました。

(でもあの感覚が「いい重み」だとしたら、私、1分半は踊れないと思いますよ???)

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