アメリカンスムース専用シューズを履いてみた
アメリカンスムース専用シューズは、日本でほとんど売られていない。私は、ブラックプールの決勝動画を観てスムースに魅了された人間なので、あのすごい踊りをしてる人たちが履いているシューズを履いてみたい、という一心で、海外サイトからネットオーダーしてみた(ほぼ好奇心)。
メーカーは、インターナショナルダンスシューズ。デザイン、幅、ヒールの高さを細かくオーダーできる。できるが、そもそも実物を見たことがないので、とりあえず今履いているスタンダードシューズに近いサイズを選んでみた。
オーダーして約2週間後に届いたのがこれ↓
形は兼用シューズに近い。が、履いた感じはだいぶ違う。私個人的には、兼用シューズは種目を問わずパーティー等で長く踊るとき用というイメージだが、スムースシューズは、どの種目にもある程度対応できるとか、疲れにくいという点では対極にあるシューズだ。スムースのための、スムースにしか使えない、しかもかなり使うシーンを選ぶシューズだ。
ラテンシューズとスタンダードシューズのハイブリッド?
素材はサテンだが、つま先部分はかなりやわらかい。インソールも前半分と後ろ半分で違う。ざっくり言うと、前側はラテンシューズに近く(柔らかくて薄い)、後ろ側はスタンダードシューズに近い。↓
床を踏む力がめちゃくちゃ必要
さらにこのシューズ、元々の形は、ボール部分が上に反っていてつま先が上がっている。↓
つまり、履いたときに足指で床をプッシュしなければまっすぐ立つことがまずできない。ちょっと気を抜いて指の力を抜くとトウが浮くし、プッシュする力が足りないと前バランスになる。私は普段のレッスンから、床を踏むって何それおいしいの?と累計100回は言ってるくらい足指の力が弱いので、履いているだけでほぼ筋トレである。ヒールは6.5cmなのに、踏み込んでいる分、7cmヒールのシューズよりかなり高く感じる。体感的には9cmくらい。そんなヒール履いたことないけど。
アメリカンスムースに特化
そんな、身体にとってもやさしくないシューズだが、もちろんスムースが踊りやすい構造になっている(当たり前)。
スムースの基本はスタンダードだが、スタンダードよりもトウやボールを酷使する。どの種目でも3ステップに1回くらいの割合でヘジテーションが出てくるし(個人の感想です)、インサイドエッジを床にめり込ませるようなぬめ〜っとしたブラッシュが要求される(個人の感想です)。5回に1回は女性がターンするし(個人の感想です)、ポジションの変化が大きくて、究極的にはホールドが離れる(めっちゃ不安)。
スムースシューズは、ブラッシュやターンが格段にやりやすい。なにしろ有無を言わさず床をプッシュさせられているので、指の力をしっかり使え、必然的に重心が安定して、ホールドなしでのボディアクションもしやすくなる。スタンダードシューズともラテンシューズとも違う感触で、うっかり自分がうまくなった気がしてしまう。
パーティー向きではない
社交ダンスにもいろいろなパターンがあるように、アメリカンスムースにも、パーティーやコンペ、デモなど、シーンによる使い分けがある。
このシューズは、ぶっちゃけパーティーダンスには向いていない。パーティーでぬめ〜ってしないし、アホほど回転しないし、ボディアクションも派手にやらない。スタンダードのホールドで普通に踊ると正直言って踊りにくいし、何より長時間履いていられない。足首折れそう(笑)
さらに、このシューズは踵がかなり高い位置まで覆われていて、足首部分だけ柔らかい素材になっている。↓
脱げにくく、足首を柔らかく使える構造だ。要は、かなり激しく動くこと前提の、競技に適したシューズと思われる。
つまり、2021年4月現在、日本にはこのシューズの本領を発揮する場面がない。
という実証のために送料込100ポンドはあまりにももったいないので、私は足指の筋トレを兼ねてレッスンで使います(笑)
(おわり)