バルカーカップショーダンス選手権~リズムへの執念が勝利した話~
バルカーカップ20242部を配信で観ました。
見どころはたくさんあったんですが、個人的にいちばん嬉しかったのは、丁野・井上組の決勝進出でした。
実は私、1年半くらい丁野先生にラテンを習っていたことがあるんです。
衝撃のカミングアウトです(笑)
丁野先生に習っていたことが、じゃないですよ。
けやきがラテンの個人レッスンを受けていたことが、です。
ラテンの血が1ミリもないのに、なんて身の程知らずなことをしてたのかしら。
身の程知らずの私が丁野先生に習っていた理由は、先生が必ず「1」からカウントする先生だったからでした。
2や4から始まる音楽はない。
と言い張る私に、そりゃそうですね、と答えてくれる先生だったからです。
その頃の私は、ラテンの「音楽とステップが合っていない」ことに大変なストレスを感じていて、「いったいラテンダンスは、この音楽のどのリズムを取っているんだい」と方々の先生を激詰めして、クカラチャもルンバウォークも1ミリもできないくせに何を言うてんねん、という表情をされていたのですが、丁野先生は、「あ、それはね」と、普通に答えてくれる稀有な先生でした。そりゃ当たり前の疑問ですね、と。
2020年、コロナでスタジオがクローズしたときにオンラインで座学をやってもらいました。私が変態的な探求心で追及したいのは、なにもリーダーだけではなく、スタンダードだけでもなく、人生で触れ合うものすべてにおいてなのです。職業間違えてるんじゃないかしら。
そのときに、リズムに対する変態的な探求心を持つ先生に、ラテンダンスのリズムについて、変態的にマニアックな知識を授けてもらいました。
教えてもらったことをものすごくざっくり言うと、元々、音楽の中の楽器のリズムを表現しているのがラテンダンスだけど、現代のダンスミュージックにはその楽器がもう含まれていないので、本来のリズムは取れないし取っていないということでした(本当にざっくりです)。
私が、ラテンを踊っていて、音楽に合ってない、どのリズムを取っているのかわからない、極めて気持ち悪いと感じるのも、まあまあ理由があったんだなと、そのとき私は納得しました。
そしてラテンをやめました。
というわけではないんですが笑
コロナとか、自分の体調不良とか、スタジオの形態が変わって時間が合わなくなったとか、ラテンの色気が1ミリもないことにそろそろ気づいたとか、何よりリーダー修行を始めて時間がなくなったとか、複合的な理由によります。
以前から、丁野組のショーダンスは、そんな、現代では消えてしまったリズムを追求しているんだな、と思っていたのですが、今年はさらにそれがバージョンアップ。
このショーダンスのために作った音楽で(多分)、自分の振付で、ひたすらに音楽のリズムを刻み、リズムを追求する、ひたむきでストイックなダンスでした。
派手な演出はなく、ただただ音楽とリズムに真摯に向き合った踊りに、何年も何年も、多分周囲にはあんまり理解されないこだわりを捨てずに踊ってきたんだなあと思いました。
理解されないからこそ、振付を他人に渡せなかったんだろうなと思いました。
先生の「消えたリズムへの執念」を感じました。
私は、私が「なんでやねん」と半分キレて捨てたリズムが、ショーダンスとして形になっていることに感動したし、それが評価されたことが嬉しかった。ショーダンス選手権を開催することの価値を、改めて感じました。
ちなみに、先日の統一全日本ショーダンス選手権では、藤井洋介・日向怜奈組が4位に入りました。
実は私、藤井先生には、アメリカンダンスを習っていたことがあるんです。
またしても過去形……。
こっちも、コロナ、体調不良、リーダー修行、そして致命的に家からも職場からも遠い、という理由で通えなくなったのであって嫌になったわけではありません。なんならまだ会員のつもり。
藤井先生も、ダンスは音楽が先、どんな音楽でも同じに踊るなんて変、という考え方で、「ラテンはリズムが納得いかない」と言い張る私に、音楽に合わせて踊り方は変えていい、けやきさんが感じたリズムを取っていい、と言ってくれました。
試合は観に行けなかったんですが、結果を知って、藤井先生は藤井先生のリズムで踊ったんだろうなと想像しました。
そうい踊りは通常の競技会ではあまり評価されない気がします。でも、ショーダンスでは評価されるんだなあと、このときも感動しました。
きっと私がリーダーで競技会に出たら、「リズムがおかしい」と言われると思います。でも、ひよこはひよこなりに、自分のリズムを追求していこうと勇気をもらったふたつの大会でした。
先生たち、心からおめでとうございます。
ラテン、再チャレンジしてみようかな(小声)。
(おわり)