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DTM初心者が1年で70曲作ってみたら(2020年振り返り)

今年1年の音楽制作活動のまとめ記事です。
活動目標、四半期ごとの課題解決と成果など、継続は力なりを体現した2020年を振り返ります。

はじめに

作り続けての結果。

・企業と契約しての制作が始まる
・制作ソフトのアプデ代を賄える程度の収益(2.7万円)を得る
・好きな芸人のYoutubeチャンネルに関わる
・ボカロ曲がニコニコ公式で紹介されてバズる(9.2万再生)

こんなことが起きました。
グラミー賞と比べればどれもミジンコですが、実績も知名度も何もない自分にとってはバカでかいチャンスでした。

上達には数が大切って言うけど本当に成果ある?と疑う人に向けて、この1年のライフログを残します。
数を作ってれば確かに良い変化があるよ、という1年がかりの検証結果です。


作曲チャレンジ開始前

まず2020年1月時点でどんな状態だったか。

・2017年にDTMを始めたものの挫折
・1年半、何も作れない
・2019年9月からリハビリ開始→極度に疲弊するけど曲は作れる程度に復活

作ってみたい音楽は否応無く見つかるものの、技術も体力も追いつかなくて曲が作れない。からの自己嫌悪。
この無限ループで勝手に精神状態が削れてました。

一時期ジムでの筋トレにハマり地道な継続による効果を実感した影響で、作曲も超地道に回数を重ねれば上手くなるんでは?と思い、リハビリ期間を経ていざ挑戦って流れでした。

ちなみに2019年最後に作った曲はこれ。こんなもん。


掲げた目標と達成度

一度挫折に至った原因を言語化、また達成度を数字で把握してモチベーション管理をしようと考えた上で、以下のように目標設定。

精神的な目標
1. 新曲なんて作れないんじゃないか、という恐怖心の克服
2. 思い通りに作れない苛立ちへの対処法の発見
数値目標
3. 毎週1曲ペース=年間52曲の制作
4. BGM販売サイトでの年間売上5,000円
5. ニコニコ動画で1000再生超えのボカロ曲を作る

これらを達成するべく2020年の制作を続けてきました。
そして、それぞれの結果。

1. 達成、納得度6割の曲なら必ず作れる制作フローの確立
2. 未達、相変わらずイライラ
 →都度ぶち当たった課題を言語化することで冷静に取り組むよう変化
3. 達成、年間70曲制作(断念したラフは除く)
 内訳ボカロ17, MAD3, BGM等素材45, Hiphopビート2, 発表前作品3
4. 達成、年間売上27,407円(41素材登録)
5. 達成、初音ミク曲の再生数アベレージ1,000以上

イライラ対策以外は達成!めでたい!
ここからはだいたい四半期ごとの改善や変化を、思い出せる限りで記していきます。
今更ですが、今年の活動の軸は動画向けBGM制作とボカロPとしての活動の2つでした。


1月-3月 必死

年間52曲という数字だけをめがけて、とりあえず何かしら毎週成果物を出すことに必死でした。
まだ作曲で消費する時間や体力を想定して動けず、ストレスから軽く胃潰瘍が再発。あまりに草。

取り組み
・方向性などなく、思いついたアイデア、気になったジャンルをとっかえひっかえして作曲
・ボカロ曲制作の上で苦手な作詞について共作相手を募集
  →以後も刺激をくれる方だった、やり取りしやすかったことにも感謝

課題
・何が課題か把握することすらできない

成果
・前述の共作曲で「ボカロ曲1000再生」の目標達成
・Audiostock(BGM販売サイト)で早くも1曲売れる=1,000円の収益


4月-6月 インプットの重要性

早々のインプット不足により、パソコンの前に座っても何も浮かばん状態。
ネガティブ思考になり、ラフを完成まで持っていけないスランプが4月いっぱい続いてました。
振り返ると、色々と抜本的な見直しをしたタイミングでした。

取り組み
・最終的に年間曲数は未達でもいい、無理なく続けられる範囲で作曲の手だけは止めない方針に転換
  週数>曲数となる
  完璧主義から「納得度6割がOKライン」思考へ移行
・DTMブログや動画を漁ってスランプの脱出法、創作を続けるヒントを探す
  最も参考にしたのは作曲家じゃなくイラストレーターさいとうなおき氏
・Spotifyで新しい音楽開拓
  好きな音楽を聴く時間とは別に、知らない音楽を探す時間を毎日設定
  潤沢なプレイリストと有能なSpotifyのサジェスト本当にありがとう
・制作ジャンルの固定化
  固定ジャンルで作り続ける方が技術の向上度を比較、確認しやすいから
  BGMはLoFi音楽、ボカロはFuture Bassに一旦設定
・制作フローの構築開始
  リファレンスの分析、扱い方を見直し
  歌もの30時間、BGM6時間など1曲にかける制作時間を設定
  どんな小さな制作でも、優先して解決策を探す課題を毎回1つ設定
・プロのプロジェクトファイルを眺める
  想像以上にサンプルが多いことに驚く、意図を考える

課題
・お風呂リバーブ
  →センドリターンと直挿しを覚える
・コンプの用途が分からない
・オーディオ素材をうまく扱えない
  →BGM制作で集中的にサンプリング練習

成果
・特になし

Future Bassチャレンジ1曲目。歌もので50トラック使う程度になってた。


7月-9月 成長期

前節での取り組みのおかげか主観的にも、収益などの数値的にも成長を感じられた時期でした。
Q3でようやく音楽制作が習慣化し、試行錯誤を楽しむ余裕が生まれてきた覚えがあります。
納得度6割がOKラインって思考になれたおかげ。

取り組み
・四半期目標の設定(年間目標に対しQ3, Q4で何をするか)
・海外の制作チュートリアルを漁る
  日本語の情報は古い、自分の方向性とは合ってない場合が多い
  Big Z, Servida Musicを特に見てた
・ボカロ投稿企画への参加
  知り合いが増えるきっかけとなった
  そこで知り合った数人と共作→相手は慎重に選ぶべきと知る
・制作記録noteを始める
  成長のログとして
  全プロセスを都度公開、提供してる人は少ないため価値が生まれそう

課題
・制作中のイライラがちょい増えた
  Q2以前と比べ成長を実感したことで、自分に求めるハードルが上がった
  分析の解像度が上がり、リファレンスとのレベル差をより痛感したから
・リファレンスのようにPadを奥で鳴らしたい、高域にもっとステレオ感が欲しいなど、細かく問題を把握できるようになってきた

成果
・ボカロ曲のファンアートを描いてもらった
・Audiostock月収5,000円突破、年収10,000円の目標も達成
・制作フローがひとまず完成
  →新曲を作れないんじゃ…という恐怖心を克服、年間目標達成
・週数<曲数に盛り返す→年間52曲制作達成の目処が立つ

Future Bassチャレンジ5曲目。90トラック以上使ったはず。

Audiostockで1番売れたBGMがこれ。質は決して高くない。


10月-12月 個人制作外での作曲

前節時点で年内目標はほぼ達成していたので、リフレッシュ期間として制作周りの管理方法の一新や新たな手法を学ぶ時間に充てました。
ただありがたいことに問い合わせを受けての制作も重なったため、結果的に今年最も成果が多く、またハイペースに作り続けた期間でした。

取り組み
・問い合わせ用アドレス、ページの作成開始
・アイコンやロゴの模索
  第一印象においてビジュアルは重要
  現実と同じで、ビジュアルが良ければ音楽にもバイアスがかかる
・Slackで自分だけのワークスペースを作り、雑多な思いつきを集約
  ちょっとしたアイデアの取りこぼしを防止
  Twitterでつぶやく必要のないネガティブ思考の行き場
  音楽やイラスト練習の成果を投げる場所とし、振り返りやすくする
  IFTTTと連携させ、Spotifyプレイリスト更新通知やエゴサを自動化
・ロールモデルを探す、今後の方針の再設定

課題
・BGMについて1日で完成させられない、どうしてもクールタイムが必要
  制作経験がまだまだ不足、パターンの引き出しが少ない
  ラフであれば休日1日で4曲分仕上げて提出する程度のスピードは出せる
・音楽と映像表現のリファレンスを一元管理できる仕組みを見つけたい
・Twitterでの絡み下手が治らない
・EQコンプ使いすぎなmixにより立体感がなくなる
  →現代mix考のおかげで改善の予感
・違う視点からの制作フローが必要
  定期的に陥る作曲わからん状態の打開策、変化を促すため

成果
・企業と契約してのBGM制作
  CM等の制作案件に繋がるチャンスもあるらしい
  2021年1月より配信開始予定
・アルピーチャンネルでのSE制作
  ディレクターが友達だから巡ってきたチャンス、ありがたい
  アルピーは深夜ラジオを毎回聴いてたファンなので、その点でも喜び
・Audiostock月収7,000円突破
  →Ableton Liveのアプデ代を音楽収入で賄える額に到達
・ネクストボカロシーンカタログ2020という企画へ選出
・ボカロ曲がニコニコ公式で紹介→9.2万再生
  過去伸びた人のTipsを躊躇なく取り入れたらバズった
  公式で取り上げる最低限のクオリティがあったって証拠として
  割と素直に喜んでる、棚ぼたありがたい


アルピー、短縮版OPと場面転換SEを制作。
結果的に不採用だったけど、サウナ回用に動画をDAWに取り込み、展開に合わせてのBGM制作も経験できました。

「つっこみポイントを用意」という先人の知恵を借りてネギダンス。
結果としてニコ動トップページで紹介、一晩で再生数9万回まで爆増。
ちなみに2019年末の曲と似た手法で作ってるので、比べてもらえれば。

Audiostock年間収益

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結論、やって良かった試み

・1人Slackでアイデア管理の一元化
・制作時クリエイティブな思考が要らない段階を細分化、タスクとして管理
・完結まで歌もの30時間BGM6時間と費やす時間を制限、拘り過ぎない
・海外チュートリアル視聴
・プロのプロジェクトファイル覗き見
・必要に迫られたプラグイン以外買わない、手持ちを使い倒す

もしもただ単に数を優先し、課題を直視せずに70曲作っても同じ結果には至れなかったと思います。
分析、実験、反省を小さな規模で繰り返すルーチン(要はPDCA)に自分を投げ込んだ効果がかなり大きいはず。

あとは下手だからと諦めず完成させる、発表するよう徹底したことも良かった点。
作品として完結させないと自分へのフィードバックの仕様がないので。
作品へのコメントや売上はもちろん自信に繋がるし。
指摘と悪口は違うものだと考えているので、悪口についても見当たらなかったはず。

とにかく週1曲ペース=年間52曲の制作をやりきっての達成感、自信は想像していたより遥かに大きく、今後も技術を高めていく原動力にできそうです。


さすがに書き疲れたのでおしまい!
次のnoteでは、今後の課題も含め2021年の年間目標についてまとめます。

制作物リンク
ボカロ歌もの(ニコニコ動画)
販売BGM(Audiostock)


参考記事、チュートリアル抜粋

Q3まで使ってたチュートリアル動画リスト(link)






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