【POEMLOID投稿祭】致死量の命 / マラカス@宮城【ぼかれびゅ】
こんにちは、ボカロが好きです。ボカロはいいぞ。
さて、年の瀬も年の瀬ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日12/29から大晦日31日まで、POEMLOID投稿祭が開催されております。
POEMLOIDが好きな私としては、こんなワクワクする投稿祭を企画運営していただいてありがたい限りです。開催おめでとうございます!
せっかくなので勝手に応援しよう! ということで、投稿された曲を投稿が早い順でご紹介&感想を書いていこうと思います。
皆さんぜひPOEMLOID投稿祭の曲を聞いて盛り上げてください!!
致死量の命 / マラカス@宮城
タイトル:致死量の命
ボーカル:VOICEVOX冥鳴ひまり
制作:マラカス@宮城(@maracasMIYAGI)
雨音のなか、滔々と呟かれるように紡がれるポエトリー作品です。
少しずつつ言葉が吐き出されていく緊張感のある静謐さと、冥鳴ひまりのダウナー無機質な声が非常にあっています。というか、冥鳴ひまりの声がその雰囲気を形作っています。
「致死量の命」という表現がとても美しく最高です。
人が「死ぬ」ための最低条件は「生きていること」であるという、生と死の表裏一体性、「生きる」という行為はすべて「死ぬ」という結果に帰着する、という虚脱するようなあっけなさ、そういった絶望や諦念、虚無主義的真理を最もシンプルかつ端的に表現する言葉ではないでしょうか。
この詩もとても好きです。どこまでも暗い虚無感を非常に赤裸々に紡いでいます。そして最後のフレーズもまた考えさせられます。
「命なんていらない」という考えの帰着が「死にたい」ではなく「機械の身体が欲しい」というのが好きです。前半でも「死ぬことなんてないのに」ということからも、「生きたくない」と「死にたい」は異なるものであるという繊細なニュアンスを美しく掬っています。
「機械の身体」を手に入れてしまったらむしろ死ぬことも出来なくなりそうです。つまり、ここではあくまで命の有限性という主題が一貫して取りあげていることがここからもわかります。
言わずもがなですが、そういう内容を、ある意味では「機械の身体」そのものであり、その楽器的道具性を以て生き続けることができる合成音声が読み上げる、という転倒の面白さ、深みもまた好きです。合成音声が読み上げることによる他者性もまた、この極めてパーソナルな詩の人称に独特な捻じれと面白さを生み出しています。
作者さんのご紹介
マラカス@宮城さんは2020年に投稿を始めたボカロPです。浅学ながら、私は前回のボカコレで投稿された「biomimetics」で知りました。こちらもAIのイラストと合わさることで非常に深みのある独白的なポエトリーです。そういえばこちらでも「機械の体がほしいんだ」とあり、精神的なつながりを感じました。
作風は広く、ネタ曲から社会的な内容の曲まで投稿されていて幅を感じます。
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