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2025沖縄遠征備忘録 やっと名護編

 名護到着予定15:09のところ、実際に降車場所の名護市役所前に着いたのは15:20頃だった。これは渋滞というより那覇空港で全員の乗車に少々時間がかかり出発が遅れたことが原因のように思う。とはいえ、5年前に3時間超かかった道のりを2時間かからず到着したのだから、時間を切り詰めて動いている遠征民にも、おばあちゃんの膀胱にも優しい。ありがとう。
 のんびりしていたら、サッサと荷物が降ろされていた。意外と名護で降りる乗客が少ない。勝手に「みんなファイターズファンでしょ? みんな名護で降りるんでしょ?」くらいに思っていたから、周りが降りないことに慌てて降車した。

 到着してからは予め登録していたDiDiでタクシーを呼び、ホテルに移動。タクシー配車アプリは初めて使ったのだが、この便利さに驚いた。
 アプリに支払い方法(私はPayPayを登録した)を設定していると、あとは現地で『行先』と『乗車場所』を設定すると、近くにいるタクシーを呼んでくれる。アプリには手配できたタクシーのナンバーと運転手の苗字が表示される。該当車が来れば名前を確認して乗り、到着したら降りるだけ。支払いはアプリの方で清算されるため、降車時に財布を出したり電子マネーの何が使えるか確認す手間がかからない。とはいっても、これはもう都会では普通のことなのだろうか。車社会の秋田にいると、なかなか触る機会のないアプリだったので感動してしまった。

 ホテルに着きチェックインを済ませ、部屋に荷物を置けたのが15:45位か。運よく球場近くのホテルを予約できたので、早速散策に出ることにして、球場に向かう。この日は先乗り自主トレも休みとなっていたため、選手は誰もいなかったが、新庄監督就任から毎年恒例となっていた新庄ナイトの準備がおこなわれていた。
 メインとなる球場とサブグラウンドの間の通路を歩き、外野側の外周をぐるりと周り海沿いを歩くとブルペン、その横に芝が敷き詰められた広場があり、その更に横が室内練習場。キャンプに必要な施設がコンパクトにまとまっていて、にも関わらず海沿いという立地のせいかとても解放感のある球場だ。あいにくの曇り空ではあったものの、暑くもなく寒くもない気候は歩きやすく、そのまま歩いて何か食べに行こうと考えた。

 近くに有名な沖縄そばのお店があるのは以前来た5年前から知っていたが、いざキャンプが始まると敷地内にキッチンカーや露店が並び、あちこちで練習が同時進行しているため、なかなか敷地外に出ることがない。そのお店は先乗りから来ていたFFさんが「とても美味しい」と発信していたこともあり、行くなら今だと思った。
 早速その場で検索し、ナビを起動した。目当ての『宮里そば』は徒歩4分と出た。閉店は17:00、現在時刻は16:09。いくらなんでも16:15には到着するだろう。そう思ったのに……着かない。ナビ上では一本道のはずなのに……着かない。もしかしてもう1本奥かと入ってみたが……気配がない。そのうちナビが「通り過ぎた」と主張し、引き返すことにした――ら、あった。『宮里そば』が、そこにあった。私は嬉しくなって若干早歩きになった。ソーキそばにトーストだ。トーストを食べるんだとウキウキしながら近づくと、目に飛び込んできたのは『CLOSE』の文字だった……。
 時間は16:34、どうやらラストオーダーの時間を過ぎてしまったらしい。店内で美味しそうに頬張る誰か人たちの笑顔が眩しかった。

 宮里そばに入れず失意のまま部屋に戻ると、一気に疲れが押し寄せた。(そうだ、寝よう。新庄ナイトもまだだし、寝てしまおう)考えることを放棄して、小一時間の休憩時間とした。
 新庄ナイトは花火を見るために少し遠めに、ブルペン横芝上の柵から見ていた。球場後ろの海側から花火が上がった。現地で見るのは初めてで、選手もファンも、今同じように華やかな空を見上げているのかなと思うと不思議な気がした。
 いつもは選手は野球をしていて、ファンはその姿を見ていて。きっと見ている世界が違っていて。それがきっと今は同じものを見ている。それはきっとまた明日から違う世界を見ることになるから、オフ最終日というほんの少し緩やかな時間を花火がひとつにしてくれたようで、今年は現地で見られて良かったと心底思った。

 晩御飯は結局コンビニ弁当になったけれど、それでも花火の余韻で幸せだった――と自分に言い聞かせて、長かった大晦日は終わり。明日はいよいよ球春到来。新しいシーズンが始まる。新庄ナイトに向かう選手たちを見てその期待はより膨らんだ。日焼けしている選手もいれば、体つきが一回り大きくなっている選手もいた。みんな明日からのキャンプに向けてしっかり準備してきている。それを見届けるのだ。待ってろ球春、降るなよ雨!

























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