スマホゲーム『超速グランプリ』から学んだサンクコストの考え方
皆さんこんにちはケヴィンです。今まではフリーランスの失敗談を中心とした記事を書いてきましたが、今回は少し毛色の違う内容です。
というのも僕、ここ一年近くハマっていたスマホゲームがあり、ちょっと課金中毒になっていました。(「ガチ勢」と呼ばれる方々に比べれてぜんぜん大した額ではありませんが・・・)
「マズイなぁ・・・」と思いつつ辞められなかったのですがつい一昨日、遂に辞めることに成功しました笑
課金させるための仕組み、課金してしまう顧客側の心理、辞められない心理など、ビジネスにも参考になる学びがあったのでまとめてみようと思います。
※本記事は「ミニ四駆 超速グランプリ」を非難するものではありません。
幼い頃大好きだったミニ四駆
リアルに伝えたいので、あえてどのゲームだったか明かしますが、僕は「ミニ四駆 超速グランプリ」というゲームにハマっていました。
というのも小学校低学年の時にアニメ「爆走兄弟レッツ&ゴー!! 」が大好きで本物のミニ四駆もたくさん持っていたので、このゲームに興味を持ったのです。
初めて触れるスマホゲームの世界
そしてこのゲームは僕が初めてプレイするスマホゲームでした。
テレビをつければスマホゲームのCMが多々流れていますし、課金という仕組みが存在することは知っていましたが、具体的にどういうものなのかは知りませんでした。
そして課金が怖くてこのゲームをはじめるかどうか最初は迷いました。しかし「課金しないとゲームを進められない状況になったら辞めればいいや」と思い、ゲームをはじめたのです。
「課金したら負けだ」と思っていた
ゲームをはじめると懐かしいマシンやパーツが次から次へと登場して最高にテンションが上がりました。
そして嬉しいことに課金をしなくてもちゃんと遊ぶことができたのです。
今思うとゲームがうまく設計されていて、相当のめり込むまで課金しなくてもプレイできるようになっているんですよね。
「無課金勢」のトップになってやる!と意気込んでプレイしていました。
課金の誘惑その①
しかし課金の誘惑が少しずつ迫ってきます。
このゲームはミニ四駆のパーツのレベルを上げることで速く走らせることができるのですが、レベルを上げるためにはアイテムが必要です。
ゲームをはじめた当初はゲーム内に設けられたイベントをクリアすることでアイテムを獲得することができるのですが、ゲームをはじめてから3ヶ月程経ったころ、どんどんイベントが減っていきアイテムが足りなくなってきます。
これが課金の誘惑の第一歩で、課金すればこのアイテムを買うことができるのです。
新たなイベントは定期的に加わるのですが、それだけではアイテムが足りず、レベルを上げることができず、タイムを詰めることができなくなっていきます。
「¥1でも課金したら無課金勢じゃなくなる」という葛藤がありましたが、「無課金勢も『微課金勢』も同じだ」と正当化し僕は遂に¥3,000のアイテムパックを購入しました。
怖いもので最初の課金はハードルが高いのですが、その後は簡単に課金してしまうようになっていくのです。
課金の誘惑その②
このゲームに限ったことではありませんが、スマホゲームの多くに(もしかすると全部?)「ガチャ」というシステムがあります。
ゲームセンターなどにある「ガチャポン」をもじったもので、コイン等のアイテムを一定数貯めるとまわすことができて、ゲーム内のアイテムがランダムに当たるものです。
これぞスマホゲームの醍醐味だと僕は思っていて、定期的に新しいパーツがゲームに実装されるのですが、強力なパーツを当てた時が最高にうれしくて何ともいえない高揚感を味わうことができるのです。
ちなみにガチャを回すには「スターコイン」と呼ばれるアイテムをためる必要があるのですが、この「スターコイン」は課金しなくてもゲーム内のイベントをこなすことで多少は手に入ります。
そして手持ちのスターコインで目当てのパーツを当てることができれば課金する必要はありません。
ここもゲームの設計が上手くできていて、「課金の誘惑その①」のアイテムと同様、最初の頃はこのスターコインも手に入りやすいのです。
加えて僕は運が良かったこともあり、当時大きな話題になった「超速ギア」、「サイクロンマグナム」、「ハイパーダッシュモーター」といったパーツを無課金で当てることができました。
しかし・・・幸運は長く続きません。その後実装された「ファイターマグナムVFX」、「ハリケーンソニック」、そして都度入れ替わった最速のローラー各種は当てることができなかったのです。
すると自分のマシンは周りと比べるとどんどん見劣りしていき、大会でもタイムが伸びませんし、ネット上で紹介されるお勧めのセッティングを真似することもできなくなっていきました。
そんなことが続いた末、僕は¥1,000のスターコインパックを購入します。
しかし¥1,000で購入したスターコインは一瞬で消え、目当てのパーツも当たりませんでした。そして購入する額も¥3,000→¥5,000→¥10,000とどんどんエスカレートしていったのです。
課金という名の麻薬
僕は様々な理由で課金を正当化してきました。
「他の趣味だってこれくらいはお金が掛かる」、「大した金額じゃない」、「まだ自分をコントロールできている」等々。
実際のところ僕はゲームを辞めるまでに課金した金額は5万円程です。借金してまでギャンブルする人などに比べたら屁でもない金額でしょう。
しかし、いつの間にか万単位で課金している自分に驚きました。
iPhoneからアプリを削除した夜
ゲームを辞めるキッカケになった出来事があります(つい先日の話ですが・・・)。このゲームはめでたく一周年を迎えて、一周年を祝うイベントがたくさん行われていました。
そして一番の目玉はそうです、ガチャです。
新しいモーターの「アトミックチューンモーター」、そして現時点では最速ボディの「サイクロンマグナムTRF」が実装されました。
一周年の節目、そしてこのガシャの開始日が給料日だったこともあり、僕は意気揚々とガチャを回し始めたのですが呪われているかの如くまったく当たりません。
ガチャに必要なスターコインは既に課金して貯めてあったのですが、アッという間になくなりました。
すると酒に酔った勢いもあり・・・
-まず¥3,000を課金
-それもすぐ無くなりまた¥3,000課金
-それでも当たらずまた¥3,000課金
-逆上モードに入り¥10,000課金
これでやっと全てのパーツが揃いましたが5分程の間に合計で約¥19,000課金してしまったのです。
(便宜上、以降は”¥20,000”と言わせて頂きます)
ゲームを続ける理由は「サンクコスト」
ここまで課金したのは初めてでした。
そして何よりショックだったのは衝動的に感情的に課金してしまったことです。
そしてゲームを続ければこういった場面に遭遇することがまたあるでしょうし、新しいパーツが実装される度に¥20,000使っていたらさすがに家計に響いてきます・・・。
だからゲームを辞めようと思いました。
しかし。
僕は今回¥20,000課金して、最新のパーツを手に入れることができました。¥20,000課金して手に入れたパーツを使わないでゲームを辞めたらもったいないですよね?
今回の¥20,000以外にも、過去に課金した¥30,000分のパーツもあれば、時間を費やしてレベルを上げたパーツがたくさんあります。ゲームを辞めたらこれらが全て水の泡になります。
僕が課金してきた金額は「サンクコスト」と呼ばれ、「回収不能になった投資(お金、時間)を惜しんで投資を続けてしまい、損失を更に大きくしてしまうこと」です。
ゲームを続ければ続ける程、課金額は増えていきサンクコスト(取り返せない損失)は上がっていきます。
削除を決心できたワケ
僕はゲームを辞めるために今まで課金した¥50,000の損得は忘れることにしました。
この¥50,000は確かに大きいですが、ゲームを続ければもっと課金していくことは明らかです。
ゲームを続けることが課金に値するのであれば続けても良いと思いますが、正直なところゲームが気になり過ぎてスマホをいじる時間が増えていましたし、ゲームが上手くいかないことがストレスになっていたり、ネガティブな面を感じたりすることが多くなっていました。
なので僕は¥50,000の損得は忘れてアプリを削除しました。アカウントを復活させるための手段はないですし、もう復帰するのは不可能です。
削除して思うこと
削除して数日ですが、デトックスしたような気分で辞めてよかったと思っています。
朝起きたら真っ先にレースの結果を確認して、セッティングを変えて。
アイテムを貯めるためにデイリーのイベントを消化して。
新しいパーツが実装されるニュースを目にすると課金するかどうか悩み・・・
これらが楽しかったのは楽しかったのですが、ストレスと表裏一体で徐々にストレスに傾いていました。
もちろんスマホに触れる時間も長くなるのでスマホ疲れも増えていきます。
好きなミニ四駆の世界から離れて寂しい気持ちもありますが、それよりもストレスが無くなったメリットが大きいです。
勉強になったこと
ゲームをはじめた当初は課金を匂わさず半年程ゲームを続けてのめり込んでから、アイテムが枯渇するようにして課金に仕向ける。しかし露骨にやると印象が悪いのでほどほどに。
こういったゲームの設計には関心します。もしかするとスマホゲームの設計には雛型があって、ミニ四駆にしろ何にしろ、この雛型に沿って設計されているのかなと想像しました。これは自分の仕事でも活かせそうで参考になります。
また小さい規模ではありますが僕は初めてギャンブル「的」なものに触れて、お金を払ってしまう心理を味わうこともできました。何かを続ける or 辞めるを考える時にサンクコストを自分の中でどう処理するかが重要になりますが、良いトレーニングになりました。
「ミニ四駆 超速グランプリ」は今でも好きです
冒頭にも書きましたが僕はこのゲームを非難するつもりはありません。ぼったくられたとも思っていなければ、時間の無駄だったとも思っていません。小さい頃に夢中だったミニ四駆の世界にまた触れることができて、とても楽しかったです。
僕はフルカウルミニ四駆世代なのでまだ実装されていない「ビートマグナム」や、実装が期待されていた他のマシンを目にすることができないのが唯一心残りです。
多分、月に一回くらい情報をチェックして「おぉーこいつが実装されたか!」と唸っていると思いますが、それくらいでちょうどいいのかなと思います。
まとめ
今回は僕がスマホゲームで課金中毒になってしまった経緯、脱却するにあたって感じたサンクコストとの葛藤について書きました。
スマホゲームは初めて触れる世界でしたが、定期的に更新される楽しさであったり、底なしに課金してしまいそうになるスリルなど興味深い体験でした。
何かしら参考になればうれしいです。
それではまた!