無題(今絆を試されている件)
人と会うことがどうにも憚れる昨今、僕らは人間の絆を試されているような気がしてならない。
「この人生において、出会った全ての友人との絆は本物だよ!」
「こんな状況でも、みんなが変わらず大好きです!」
などと、言えば美談なのだろうか。
しかしながら、人間同士の関係は実際のところ酷く脆弱である。と、思う。
この一年のうち、オンライン飲み会なるものが流行ったのは最初だけだった。
本当に声が聞きたいのならば、飲み会を称さずとも電話をすれば良いだけだし、今どきグループ通話だってある。態々、人と喋ることをイベントにせずとも良いと思った。
とはいえ、僕も当初はオンライン飲み会に参加して楽しいと思ったりもした。いや、今でもこれを催せば喜んで参加して、楽しんでいると思う。
が、ポイントはそこじゃない。
コロナ期間、自粛を続ける我々は家にいる時間が増えた。
要は、仕事以外の時間が増えたのだ。
学生ならば或いは、授業の時間、バイトの時間。
専業主婦ならば、家事に費やす時間、パートの時間、子供の世話に費やす時間が増えた。
パーソナルな部分の時間が増えたことで、良く言えば友人、悪く言えば他人の僕らが通話などをして水を差すのがどうにも憚れる世の中になっている気がする。
平常時であれば、仕事→飲み会→帰宅→就寝といったようなサイクルの中で嫌でも人とコミュニケーションを取ることになる。
会社では同僚、部下、上司。家では(既婚者であれば)配偶者、子供、或いは両親、兄弟。
自粛期間の中で生活サイクルはこのように変化した。
起床→リモートワーク→就寝
これは極端であり、本来は細々とした項目があるが大まかにいえばこれであろう。
家族としか話さない生活の中、自分の時間が増えたことで対人関係を疎かにし始めた人が増えた気がする。
平時であれば、まぁまぁの頻度で連絡を取り合っていた友人も微妙に疎遠になったり。
しかしながら冒頭で書いたとおり人間関係は酷く脆弱である。
変な噂が流れているからアイツと関わるのを止める。
恋人ができたから友人と会うのを控える。
これ。みんなも経験があるのではなかろうか。
した経験も、された経験も。
僕はある。
コロナ期間中に出回った根も葉もない噂話に、翻弄され僕との関係を一方的に断絶した元・友人。
彼らと買い物でコンビニに行った際、たまたま遭遇したので声をかけたら驚くレベルで無視された経験がある。
あれには呆れたが、なんだか露骨すぎて笑えてしまった。
噂は伝播が早い。尾ひれがつくこともある。
あんなに仲の良かった友人が出処も不明瞭で何ら確証のない噂を信じて、敬遠してるのをみて、友人関係は非常に脆弱な関係で絶妙なバランスの上で成り立っているのだと知った。
友人とは体の良い呼称で、どこまでいっても他人は他人なのである。
恋人にもこっぴどい振られ方をされたことがある。
曰く、好きな人ができた。とのことだったが、僕自信の愚痴を散々吐露された挙げ句最後には「学生と付き合うと、高いレストランとか行けないし、支払いも割り勘だし」と金回りのことを言われた。
いやはや驚いた。デートの際基本的に割り勘にはせず支払いは全部コチラ持ちだったし、最初の一回に関しては向こうから割り勘にしようと押してきたからそうしたのだが…誰と勘違いしていたのだろうか。
その後彼女は、よくわからない男性と付き合った。共通の友人から話を聞くと二股だったか三股だったかがバレて修羅場だったそうだ。
もう知らんがね。ここで僕は彼女との人間関係をシャットダウンした。
きっかけは些細だが、人間関係は容易く壊れるもの。
後半に限っては最早、この期間はあまり関係ないような気がするが、まぁそれはそれ。
人に会えない時期だからこそ。
今ある絆を大切にしてほしい。
ここをどうにか耐えきれば、今ある絆は更に輝きを増して手放し難くなるのだと思う。だから、どうか。
どうか。億劫だと思わないで。
本来僕らは一人じゃ生きていけない存在のだから。
密集はだめだとしても連絡くらいは密にしてもいいんじゃないかなと思う僕でした。
それではおやすみなさい。
幸あれ。