“数字トラウマ”だった僕が、データの呪縛から解放された顛末
こんにちは、フリーランスマーケターkevinです。
気づけば前回のエンリーからもう1週間たっていて、この歳になると本当に時間が過ぎるのが早い…
今ではマーケティング(特にWebマーケティング)を主戦場にしていますが、実は社会人の前半時代はデータや数字が超苦手でした。もともと超文系、大学はAO入試で英語力と国語力(作文、論文)だけで何とか乗り切ったクチでございます。
今日はそんな自分が数字トラウマになったきっかけと、それを克服した話をしようと思います。多分世の中に僕より数字に対するコンプレックスを持つマーケターはいないんじゃないでしょうか。もしこれをお読みの方の中に、僕のような迷える数字ポンコツ(失礼)の方がいたら、ちょっとでも何かの足しにれば幸いです。
はじめに|自己紹介
現在はフリーランスのマーケターとして、スタートアップ企業やNPO法人といった団体のマーケティング戦略から成果創出に向けた施策立案〜実行までをトータル支援しています。
プロフィール詳細はこのこちらのエントリーにて▼
新卒1年目、志願した部署への配属。が…
僕は新卒で広告代理店に入りました。
比較的大きな会社だったのですが、その中で「メディアプランニング」という部署に配属されました。
自分の原体験から、「必要とする人のところに、適切な情報や体験が届く世界にしたい」という漠然とした想いがあり、配属されたのはまさにドンピシャな仕事内容の部署だったのです。(自分で志願した)
しかし、ここからが悲劇の始まり。
漠然と思い描いていたイメージの中には、数字をゴリゴリ使った仕事をする部署だという認識が欠け落ちていました…
メディアプランニングって横文字でわかりづらいですが、
過去のクライアント企業の広告出稿内容を把握する
競合企業の出稿履歴を分析する
市場全体のトレンドを調査する
生活者の意識トレンドを調査・ヒアリングする
上記の諸々に基づき、クライアントのプロモーション・メディア計画を立てて提案するのが主な仕事です。書いてある通り、データ分析や調査など、数字に触れずにはできない仕事ばかりだったのです。
入社後、たった数週間で“数字トラウマ”に
厳密には1ヶ月くらいは新入社員研修が挟まるのですが、配属直後に事件が。
当時の上司から「とあるクライアントの競合企業のメディア出稿状況を調べるように」と指示がありました。
ボスのオーダーを受け、研修で覚えたての知識で社内イントラツールをフル活用して無事に「競合のメディア出稿状況」を出力しました。
そして意気揚々と、呼ばれていた社内会議の場に印刷した資料をどっさりと持っていたのです。(察しの良い方なら、どんなことが起きたか想像がつくでしょうか)
会議室に入ると、総勢15名以上の各部門のスタッフが勢揃い。後から知ったことですが、営業やクリエイティブの偉い方々も同席していました。
上司から「調べたことを簡単に要点かいつまんで話して」と言われ…僕は印刷した10枚以上ある資料を隅から隅まで”事実をそのまま全部話した”のでした。
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「いやいや、だから何なの?結局、何が言いたいわけ?」
シーン。(体感10分。実際はものの2、30秒ほどでしょうか)
あの時の静寂と、全員の呆れたような表情を、多分一生忘れることはできないでしょう。僕の方はといえば、頭の中は真っ白でそれ以上ひと言も話せなませんでした。
おそらくそんなことは見越していたのでしょう。上司は何事もなかったかのように、自分で準備していた資料をもとに会議で話し始めました。(上司はこうなる可能性を予期していたわけです)
「データを見て」というオーダーに対し、それを言葉通りに受け取って「データを出した」だけで満足していたのです。上司が本質的に求めていた「みんなが知りたい情報」に昇華せず、情報を読み込んで自分なりの解釈をまとめるなんてこともせずに…
今思えば本当に恥ずかしい話です。些細なことですが、新卒直後だったというインパクトも手伝って、社会人史上で1、2を争う失態として記憶に刷り込まれています。
これが、数字をただの数字として扱った無知な男が陥った「会議室事件」でした。
数字への苦手意識は、クリエイティブ制作会社で払拭?
件の会議室事件では自信喪失したもの、その後は自分なりに努力もしました。残念ながらその会社では大きな功績を上げる事はできなかったですが、約3年間の間で多少、成長できたとは思います。
その後、転職をしてクリエイティブ職に就いたので、しばらくはがっつりのデータ分析やリサーチから離れる生活を送りました。
しかし意外にも、僕が数字に対する恐怖感というか、苦手意識を克服するきっかけになったのは、ここでの仕事の影響が大きかったように思います。
毎日数字と睨めっこするわけでもないし、データドリブンな意思決定を日々するわけでもないのに。実は、当時の自分もあまり意識してなかったわけですが。
クリエイティブ制作の現場仕事を通じ、【広告ビジネス(マーケティング)は、誰かの課題解決である】という、当たり前の事実に直面できたのが一番大きかった気がしています。そして、課題の解決には、必ず起承転結のような物語がある、ということ。
それまでは大きな組織の中で部署は完全分業制で、決まった役割の中で部分仕事をするのが当たり前だと思っていました。なので、自分で直接お客さんと会って話を聞いたり、課題を深掘る機会もほぼなかった。なので、顔の見えない誰かの課題解決のほんの一部分を担っていた感覚です。
会社のせいとかではなく、ひとえに自分の視野がとても狭かったなと痛感します。部分仕事だけしてたら、領域外のことを考える視野も備わらず、あまり深く考えずただ目の前にある数字を眺めていたわけですね。自分自身が物語に入り込めず、足掻いていたのでしょう。
でも、転職先は小さなクリエイティブブティックなので、クリエイターが直接クライアントと会って話をします。コピーライターという肩書きでしたが、実際には営業的な動きや、CD(クリエイティブディレクター)としての立ち位置、そしてストーリーメイク・コンセプトメイクの仕事が多かったです。なので、クライアントの課題を起点に、それをどう解決するか?という思考回路が徐々に身についていきました。
数字は、物語の構成に必要な”情報”の1つ
広告ビジネスにおける課題解決の物語を、以下のように設定するとします。
↑の物語の中では、特に②と③の部分で数字やデータを集めたり、解析する作業が発生します。
2社目の会社では、多かれ少なかれほとんどの案件でこういうステップを踏んで考え、提案し、施策を実行していきました。
誰かのお悩み解決のほぼ全部のステップに関わっているからこそ、
なぜそのデータや調査が必要なのか?を自分ごととして捉えられる
そのデータから何を読み取れるとプラスになるのか(反対に何がわからないとまずいのか)を理解できる
データを読み取った先にどんなアウトプットに導けるのか、を考えられる
といったことが自然と腹落ちします。
僕が“数字トラウマ”を克服できた一番のきっかけは、この仕事をしていた時だったなと今では確信を持てます。確信を持ったのは、ほんのつい最近のことでしたが。
まあ、そもそも数字に対する苦手意識だったのか?という疑問も自分の中でもあるはありますが、苦手意識を持ち続けていたのは事実です。
それはそうと、物語に落とし込んで数字と向き合うと、これがめちゃ楽しいではないですか。
もともと読書や舞台が好きなので、ストーリー大好物。より素敵な物語を作る上で、データという暗号をどう読み解くのか?これはもはや数学ではなく国語の世界なんだと。数字をただの数の羅列と見るか、真実が隠された暗号と見るのか。によって、意識はここまで違うのかと。
数字は1つの正しい解を導くための道具、ではない
僕は数字に正しく向き合えていなかった1つの要因に、学生時代の苦手意識が拭えていなかったことがあるように思います。
小さい頃から算数が苦手で、中2で初めて家庭教師をつけた時に「数の理解が小5の算数で止まっています」と言われてしまいました(笑)。
思えば算数や数学は、常に正しい答えを導き出すための道具でした。答えはいつも1つと決まっていて、さまざまな数式を頭に詰め込んで、時には複数の数式を組み合わせて正解に辿り着く。
数字をみる=そこから何かの解を見出す。
でも、大人になって向き合う数字はちょっと意味合いが違いますね。もちろん経理などの職種においては、上記に近い感覚なのかもしれません。マーケティングの観点では、だいぶ趣が異なります。
数字を見る=解決に向けた根拠や判断材料を見出す。つまり数字を見ること自体では、何にも解決はできない。当然ですが。
多分頭の良い人にとっては、このnoteは「何言ってんだコイツ」と思われるでしょうね! 僕は特に数学的な思考に関しては超ポンコツだったので、最近になって漸くそういう意識が薄れてきた感覚です。
最近本当にありがたいことに各方面からお仕事の相談をいただきますが、今でも僕のvalueは数字を扱う能力やセンスということではなく、課題解決のための物語の紡ぎ方、そして、紡いだ物語に向けて物事を進める能力にあると思っています。(数字もガッツリ見ますよ)
ただ仕事をする上で数字への苦手意識があるままだったら、おそらく今のような仕事はできていないでしょう。キラキラ輝くクリエイターを目指していた過去の自分を褒めてやりたいです(笑)。
この記事が自分と同じような数字ポンコツ(再び、失礼)の方にとって、ちょっとでもプラスになるといいなあ。少なくとも自分の考えをアウトプットすることで、僕のプラスにはなりました。ありがとう!