参議院のこと
思い返せば昭和の、わしが学生だった頃。突然のように「参議院を廃止せよ」論争が一部にあった。覚えている方もいると思う。あの頃は自民党が圧倒的に強かったから、ねじれの元凶となる参議院を厄介に思う国民や自民党議員はほとんどいなくて、廃止論の中心人物は赤尾敏なんかの在野右翼だった。議論自体は「無駄だからぶっ壊せ」といった乱暴なもので、まったく論理性に欠けていたから当時のメディアなどでもたいして取り上げられなかったのだけど、国民はそうでもなくて、友人知人にも参議院不要論をぶちかますひとがけっこういた。
どういう人たちに支持されたかというと、いうなれば保守的なんだけどエリートでないひとたちで、粗野ではなくてむしろコミュ力のある、仕事は真面目にやって、決して遊び人ではなく、ひとかどの意見は持っている人たちが多かったように思う。ここまで書いてハッと思うのは、あああれが維新の会の萌芽だったんじゃなかろうか、ということです。
非エリート・非左翼かつ生活力ある、そういうひとたちの受け皿はこのころの日本にはまったくなかったのだけど、そういう人たちは確実に存在して、その後のバブル崩壊を経てますます増えていったんじゃないかと思う。そういった「潜在的なマイルド右翼」の自己顕示欲の受け皿が大阪維新の会だったんじゃないかと思う。参議院をぶっつぶしたところでなんにも良いことはないんだけど、彼らは「祭り」が好きで、その祭りの中心に近いところにいたいというヒーロー願望が強い。それの生贄が参議院であり、大阪市役所であったんだろう。
選挙を前に、ふと思ったことです。