日本企業と海外企業における業務の考え方の違い
こんにちは、Kai会計士です。大手監査法人に11年間勤務し、うち3年間は海外の事業会社に出向、今は海外で独立して事業をしております。日本企業と海外企業、事業会社とプロフェッショナルファーム、どちらにも従事した経験から、日本人がグローバルで更に活躍するためにはどうすれば良いかを考え、綴っていきます。ご意見、ご指摘いただけると大変嬉しいです。
はじめに
今日は、日本企業と海外企業の業務の考え方の違いについて記載したいと思います。
皆さんが仕事において海外の会社とやり取りする中で、「適当だなー」とか、「何にも理解してないな」と思うことはありませんか?正直、私は数えきれないほどあります。そんな時は一呼吸おいて、業務に対する以下の考え方の違いを思い出すようにしています。
※もちろん海外といっても一言では言い表せませんがここでは私の経験してきた欧州やアメリカを念頭に置いています。
日本企業と海外企業の業務に対する考え方の違い
①生産性
日本でも生産性の向上が声高に叫ばれるようになってきましたが、海外企業のそれとは根本的に異なるように見えます。
経理部を例にとると、海外企業では必要最低限の人員+業務委託が一般的です。業務委託は2種類あり、1つは記帳や入金消込などの提携業務、もう一つは税金計算などの複雑な業務。つまり、付加価値が比較的低い業務か、自社で実施するには負荷が高すぎる業務。その両者を外注するので、売上が百億を超える会社でも自社の経理部人員は数人だけ、ということも珍しくありません。
一方、日本企業では、上記の業務も生産性を上げるために「全員が頑張って効率化」という状況ではありませんでしょうか?勿論、その分自社で全て分かるので、数値の把握は正確になります。
どちらが良い、悪いの話ではなく、海外企業は自社での知識の深化や正確性を85%から100%を上げるよりも、生産性を30%向上させる、という選択をする傾向にあります。
この違いを理解しないと、日本から質問する時も、「なんでそんなことも知らないんだ」や、「なんでそんな大雑把な回答なんだ」という考えに陥ってしまいます。単に、日本ほど(生産性を犠牲にして)正確かつ深い理解を前提としてないんだ、ということです。
②業務の標準化
海外企業では、人が入れ替わるのが一般的です。また、休暇も多いので複数人でバックアップをしながらチームを回すことも多いです。従って、誰がその仕事をしても結果が変わらないようにする必要があります。分析が必要な仕事であれば事前にその分析の粒度をシステムで設定しておき、担当者は出力して、指定されたところから数字を拾って、報告する。誤解を恐れずに言うと、「何も考えないでも」仕事が回るようにしないといけません。(もちろん、多少の裁量の余地は当然ある)
日本みたいに、例えば分析であれば毎回出てきた数値を見て分析の角度や見る情報を変えて、カスタマイズした報告を提出する、というのは基本的に想定されません。
マネジメントレベルであればそれが求められますが、根元の考え方は上述の通りです。
なので、「何も考えずにただフォーマットに入力してきたな」というのは当然で、その分析結果が役に立たないのであれば、そのフォーマット自体の変更が必要なのです。海外企業においては、「業務の設計」が何より大事なのです。日本のように、多少業務設計や指示が粗くても「何とかしてくれる」というのはありません。
これも良い悪いではなく、文化的差異からくる業務の考え方の違いなのです。
おわりに
・・・書き出すと熱くなってしまいましたが、この違いを理解することで、皆様がグローバルで更なるご活躍される少しでも助けとなれれば幸いです。
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