真面目に2024都知事選の得票数を予想する
*特定の政治団体・候補者への投票誘導等を含みません
今日2024年7月7日は東京都知事選挙
根っからの選挙好きとしては見逃せないイベント、東京都知事選。前回と比べてもリアル・オンライン両面での盛り上がりを感じるところ。まあ前回コロナだったし当然か。
ということで、主要候補者の得票数を真面目に予測。これを読んだ都民のあなたも、ぜひ投票に行きましょう。
予想の結論は以下の通り(カッコ内%は得票率)
1位: 小池百合子 (366万票: 51%)
2位: 蓮舫 (115万票; 16%)
3位: 石丸伸二 (91万票;13% )
4位: 田母神敏雄 (54万票; 7.5%)
5位: 安野貴博 (43万票; 6%)
6位: 桜井誠 (7万票; 1%)
以下、検討プロセスの詳細
大きくは以下のプロセスで検討
①投票総数
②主要候補者の得票率・得票数
③その他候補者の得票率・得票数
①母数となる総投票数は715万票程度
東京都内の有権者数は1153万人 (日経調べ)。過去の投票率をみてみると、
![](https://assets.st-note.com/img/1720281554877-4pbpPoUWDw.png?width=1200)
ここ40年程度の趨勢を見る限り、投票率はどんなに高くても65%にとどまる。現時点(7月7日0時)時点での天気予報は晴れ・最高気温38度の猛暑であることも踏まえると、投票率は平成24年の62%を上回ることはないと考えられる。
ここでは、都民の政治参加への期待も込めて、1153万人の62% = 715万票を総投票数と予測する。
②小池候補が過半数を得票し当選、蓮舫・石丸各候補と合わせて総得票の80%をカバー
②A 都政に対する評価を鑑みると、小池候補の得票は前回とほぼ同様の370万票弱
直近の朝日新聞の調査によると、小池都政8年に対して70%近い都民が一定満足しているという回答をしている。客観的な評価として、小池都政は盤石と言える。
一方、上記①で全体の投票率は前回の55%から7% pt. 近く上昇すると見立てている。増加分に相当する「前回はいかなかったけど、今回は投票する」有権者が新規候補者の当選に期待している蓋然性が高いことを踏まえると、得票率は若干下がって、得票数は据え置き(2020年と同じ)の366万票(得票率 51.2%)と見立てるのが自然だろう。
②B 蓮舫候補の得票は、2022参院選の獲得票を基準に立憲・共産連帯への評価を踏まえると115万票程度
2022年の参議院選挙、蓮舫氏は67万票で当選を果たしている。また、同選挙の東京選挙区で共産党から当選を果たした山添議員も68万票獲得していることを踏まえると、蓮舫支持+今回連帯を表明した共産党支持層の効果を織り込むと単純計算で130万票 (得票率 18%)程度が期待できる。一方、今回の都知事選を巡っては、主に日本共産党との連帯について一部の立憲民主党支持者から疑問の目が向けられているのも事実である。
過去の朝日新聞の記事においても、実に立憲支持者の半数以上が共産党との連帯について進めるべきでないと回答した。
蓮舫氏は立憲民主党を離党しての出馬とはなっているものの、立憲支持層が支持基盤の軸と考えると、参院選における立憲支持者の25%程度が「剥がれる」と見立て、115万票 (得票率16.1%)と置く
②C 石丸候補の予測は困難だが、過去の都知事選結果に基づくパレートから90万票程度が期待される
今回の都知事選のダークホースともいえる候補、石丸伸二氏は前安芸高田市長であり、SNSで歯に衣着せぬ物言いで旧態依然とした政治に切り込む姿が特徴的だ。LINEヤフーがとりまとめた6月の候補者名検索回数でも石丸氏が圧倒的トップの座に立っている。
![](https://assets.st-note.com/img/1720285993515-CTIl8DwKYy.png?width=1200)
こうしたデータから巷では石丸氏の追い上げが取りざたされているが、都民以外からの関心も高いことを踏まえると必ずしも当日の投票に直結する
「バズり」であるかには疑問も残る。都民の投票する選挙への出馬も初めてであり、過去実績や都民に占める支持の厚さも未知数といえる。
一方で、過去数回の都知事選を見てみると、上位3候補で80-90%の得票がカバーされていることは事実である。今回は、前回の都知事選の倍以上の立候補者が存在し、最下位付近の候補でも参院選東京・都知事選等で2,500票程度獲得してきた(= 下位候補に集まる票がある程度多い)点を踏まえ、これを80%と仮定する。
すると、小池氏51.2% 蓮舫氏16.1%を差し引いた12.7%が石丸氏の得票率と見立てられる。この場合の得票数は91万票ということになる
③D 4位争いは混戦。田母神・安野候補が続き、桜井候補の票は田母神氏に流れるか
ここまでに論じた3人以外の候補の得票数については、きわめて未知数に近い部分があるが、あえてその中で上位に入るメンバーは表題の3候補であろう。
ここまでで6人の候補者が登場したが、都知事選にはほかに50人の立候補者が存在する。過去の都知事選でも7位候補の時点で得票率0.4%程度であったことを踏まえ、下位候補の得票率について以下の仮定を置くと、下位50名の合計得票率は5.5%となる。
8位-17位 (10名): 0.25%
18位-37位 (20名): 0.1%
38位- (20名): 0.05%
つまり、石丸氏までの3名で80%の票をカバーした場合、表題の3候補(田母神・安野・桜井)の合計得票率は 100% - 80% - 5.5%=14.5% となる。
ここで各人の過去選挙における実績に注目する。
田母神氏は2014年の都知事選で得票率12.5%・61万票を記録している。当時は石原慎太郎元都知事等の保守派重鎮の後押しがあったことを踏まえると今回の得票率は下がるものの、保守勢力を基盤に7.5%(54万票)程度を集めることは十分考えうる。
桜井氏は2016年都知事選において得票率2%・11万票程度を獲得している。ただし、2016年の選挙では強い保守論を掲げる候補が他にいなかったため票が伸びたとも考えられる。今回は田母神氏が保守派の代表的存在として出馬しているため、得票は7万票(1%)程度と見立てる。先ほどは挙げなかったが、おそらくドクター中松氏も同程度になりうるが、90歳を超えての出馬を踏まえると桜井氏を下回るだろう。
最も予測が難しいのは選挙実績はないものの急速なSNSフォロワー増加をみせている安野氏。上述の他候補から逆算すると 14.5% - 7.5% - 1% = 6% (43万票) となり、直近の演説等で存在感を見せているもののメディア露出や高齢者票の伸び悩みを考慮すれば十分理解できる数字と考える。
まとめ:大方の順位はおそらく下馬評通り、予実差から読み解ける動向に注目すべき
以上をまとめると、
1位: 小池百合子 (366万票: 51%)
2位: 蓮舫 (115万票; 16%)
3位: 石丸伸二 (91万票;13% )
4位: 田母神敏雄 (54万票; 7.5%)
5位: 安野貴博 (43万票; 6%)
6位: 桜井誠 (7万票; 1%)
7位以下50候補 (40万票; 5.5%)
となる。特に4-6位はかなり不確実な要素も多く変動可能性が高いことを理解されたい。一方で、実際の結果と上記を比較することで
小池氏の得票率が予測を下回った場合には、「小池離れ」が4年前よりも加速している or 4年前と比較して有権者にとって魅力ある候補が出馬している
蓮舫氏が130万票を超えれば立憲・共産支持層が十分に取り込まれている証拠、逆に100万を割り込むようであれば立憲支持層が蓮舫氏と距離を置いている可能性
田母神氏と桜井氏の票差が近づいた場合、両者の支援者は保守派のなかでも異なる考えを背景にもっている可能性
安野氏の票が伸び悩んだ場合、マスコミによる広報なしに票数を伸ばすことの課題はいまだ非常に大きい
など思いめぐらすことはできそう。
*特定の政治団体・候補者への投票誘導等を含みません(再掲)