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neneroch
ほぼ毎日ほぼ500字短編:その110「フルーツ飴」
「は!? フルーツ飴を食べるために東京に行きたい?」
「うん」
ママに思いきってお願したら、思いっきり呆れられた。
「そんなの、家で簡単にできるわよ?」
「え、そうなの?」
「うん。なんなら、今度の土曜日に作りましょ?」
東京行きは却下されたけれど、別の嬉しい約束ができた。
――土曜日
「それじゃ、作ろうか」
「うん」
キッチンの作業台には、ブドウ・イチゴ・ミカンが置かれている。
「それじゃ、スズはフルーツを洗って、キッチンペーパーでよーく水気を取ってね。それを竹串に刺してちょうだい」
「うん」
言われたとおり、フルーツを1つずつ流水で洗って、水気を拭きとり、竹串に刺していった。ママはその間に、小鍋に水と砂糖を入れて火にかけている。
「混ぜないの?」
「混ぜると結晶化しちゃうからね。ブクブクが終わるまではそのまま」
次第に液体は沸騰し、その泡が収まってきた。
「よし。じゃあ、液体をフルーツにかけていくわよ」
大きめのスプーンで液体をすくい、フルーツにかけていく。
「あとは常温でしばらく置いて、完成!」
「すごい。本当にできた」
「でしょ? さ、テレビでも見ながら待ちましょう」
その後、飴が固まった頃合いで口に運ぶと、まるで東京にいるような味わいがした。
2025年2月23日 pixiv創作アイディアより