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パラスポーツと報道について。

東京パラリンピックも終わりが見えてきました。こんなにパラスポーツがテレビで見られるのもあと少しだと思うと寂しいですね。

少し前になりますが、Twitterで、車いすバスケットボール協会(@JWBF_OFFICIAL)さんの次のツイートが話題になりました。

リプライや引用リツイートには、「選手がどのような障害を持っているかはあまりいらない情報」「どういうプレーが得意なのか知りたい」など、賛成の意見が目立ちました。一方で「選手のバックグラウンドも知りたい」というコメントも見られました。

このツイートの通り、パラスポーツは「スポーツとしての」魅力があります。私もパラスポーツを支える側として関わってきた身として、選手のことはアスリートとして見ていますし、もちろん障害をことさらに強調するような報道には違和感を感じてしまいます。

NHKの番組も、オリンピックの時とは趣向が変わって「多様性」や「共生社会」と結びつけているものが増え、もっと競技性やルールも紹介すればいいのになあ…と思ったことも正直あります。

(もちろん多様性を認めあえる社会を作るのも、パラリンピックの大事なテーマです)

ただ、選手がどのような障害を持っているかは「パラスポーツを理解するための情報」として伝えていくべき、だとも思います。

パラスポーツは、健常者がやるスポーツに比べて様々な面で特殊性があります。それを踏まえて、私の考えを書きました。

「残存機能」を活かす

そもそもパラスポーツは、「第二次世界大戦で障害が残った兵士のリハビリ」から始まったと言われています。

歴史を書くとキリがないので省略しますが、パラスポーツの源流は簡単に言えば「障害のない部分(=残存機能)を伸ばし、フルに使う」ことです。この「残存機能」がキーワードです。

残存機能は選手一人一人によって異なります。同じ車いすに乗っているように見えても、例えば脊髄を損傷している選手と、下肢を切断したの選手は残存機能に違いがあります。前者は損傷箇所にもよりますが、腹筋や体幹を使えません。しかし、車いすバスケやラグビーならローポインターとして、相手のハイポインターを止めるなどの役割を果たします。

健常者のバレーボールで例えてみましょう。一般的にレシーブが得意なリベロは比較的身長が低い選手が務めます。私たちもバレーボールを見るときは選手の身長に注目したり、柔道だったら体重を気にしたりしますよね。障害のクラスや持ち点というのもそれに近い概念ではないかと思います。

なので、選手の残存機能を理解することは、その選手の得意なプレーや動きを理解することにもつながるわけです。

持ち点やクラス分け・・・パラスポーツの特殊なルール

すでにたくさんパラスポーツを見ている方はご存じかと思いますが、パラスポーツはクラス分け、ポイント制など、ルールがかなり複雑です。

パラスポーツを見ていて、「なんでこの選手はこのクラスなのか?」「なんでこのポイントなのか?」という疑問を抱えたことはあるでしょうか。

例えば、「この選手は体幹機能が使えるからこのクラス」とか「視野はどの程度あって、光は感じることができる」といった情報があれば、見る人にとって親切なのではないかと思いますし、「障害に触れて欲しくない」という選手はともかく、自分の障害を知ってもらいたいという選手については、積極的に紹介すべきではないでしょうか。

おまけ

おすすめの漫画を紹介します。「スラムダンク」の作者、井上雄彦さんの漫画ですが、車いすバスケットボールについていろんな側面からよく書かれていると思います。パラスポーツに興味を持ったかたはぜひ読んで見てください。


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