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No.5 大学中退という冷静な選択

いつものようにTwitterを眺めていると、ひときわ目を引く投稿が流れてきた。

「大学とか卒業しなくてもいいんちゃう?」
そんな、大学にいれば一度は聞いたことある言葉も、いざ親しい人のリアルな現実として目にすると心が揺れるものがあった。

”若気の至り””後先考えない選択”と一蹴することもできるのかもしれないが、彼の選択は、個人的にそういった類のものとは思えなかった
(そんなに頻繁に会っていないけれど)丸4年の付き合いで、何をしていたかはずっと追いかけていたし、少なからず影響を受けてきた。
そんな彼の選択なのだから、考え抜いた上での覚悟のある選択なのだと信じていたのである。

それでも、どこか心の中で「なんでそんなことするの?」と思う気持ちは拭えなかった。
あと1年で卒業できたのに、という疑問が頭に浮かんで離れなかった。

こうなったら聞いてみるしかない。
私は超個人的な好奇心に突き動かされ、彼にインタビューすることにした。

まさに学歴を”捨てた”彼が語る将来のビジョンとは?

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西脇 謙志(にしわき けんじ)
1996年茨城県生まれ。京都大学を中退後、株式会社TABIPPOに入社。学生時代に旅の魅力にハマり、アジア圏を中心に8か国渡航した。世界遺産検定1級を持つほどの世界遺産マニアで、旅中は世界遺産を中心に巡っている。


世界一周の夢のためにほんとうの実力を

__________どういう経緯で入社を決めたのですか?

実は今の会社に関わってるのは4年目で、最初の2年は学生スタッフとして関わっていました。サークルのようにコミュニティに所属する感じで、イベントの運営とかに携わってました。

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3年目は学生インターンですね。1年間の契約で給料ももらってやってたんですけど、この1年が自分の中で大きかったです。実際にリアルなビジネスの世界で、お金の動き方とかを知るようになって。学業とは全く違う生活が刺激的で楽しかったですね。早くビジネスの世界でバリバリ働きたいと思うようになってました。それで、ちょうど契約が終わるときに、辞める社員がでてきて。会社としても5年目に入って、新卒(じゃないですけど(笑))を採用して企業文化を作っていこうと考えてたタイミングだったんですよ。そういった僕の都合と会社の都合が偶然重なって、入社することを決めました。

__________卒業してからって考える人が多いと思いますが、そうは考えなかったですか?

ちょっとアレなんだけど、「卒業論文書くの嫌だなあ」みたいな気持ちはめちゃめちゃあって、早く働きたいっていう思いがあったのは正直なところ(笑)でも、それ以上にTABIPPOという環境が僕にとってすごく魅力的でした。声かけてくれるのなら入りたいなと。

__________どういうところが魅力的だったのですか?

僕、奥さんと一緒に世界一周したいっていう夢があるんです。これは特別な理由があるとかじゃなくて単純に夢ですね。で、体力やお金のこととか子ども欲しいなとか考えて、叶えるなら28歳の時だなと決めました。そうなると1年ぐらいビジネスの世界から離れないといけなくなるんで、それまでに実力つけて市場価値高めたいなと。TABIPPOは1年間インターン生としてリアルな現場で働いた時に、社員の人の優秀さを身をもって感じました。正直、安定した基幹事業があるわけじゃなくて、毎年毎年戦いなんですけど、それでも会社として5年以上続いてるのは社員個人個人のビジネス力がほんとうに高いということで。この環境についていけるかという不安はあったけど、自分でお金を生み出すほんとうの実力をつけられる会社だと思っています。

__________実力つけて1人でこの世界を渡り歩くんだというエネルギーを感じますね。

どうなんだろうね、社会人としてはそうなのかもしれない。ただ、個人的にこれから世の中は変わっていくと思っていて、会社に守ってもらえる環境はどんどんなくなっていきそうだなと。個人が集まって、各々共感したプロジェクトを進めていくみたいな。そうなったらやっぱり個人としての実力があった方がいいよなと思います。エネルギーというよりは、そう考えた方が精神的に安定する感じです。別に、全部1人でやらないといけない訳ではないからね。

人が迷うときは51:49で迷っている

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__________退学という決断は勇気のいるものだったと思うのですが、どのようにして決断できたのでしょうか?

ちゃんと情報を得ることは大切だと思います。決断するのに正しい情報は必須ですよね。京大を卒業してから就職するのと、退学して卒業するのとどっちがいいかって聞くと、卒業は絶対したほうがいいっていう人が全員でした(笑) でも、実際社会に出た時のことを考えると、もちろん”京大卒”が幅をきかせる時もあるけれど、ずっと京大を背負って仕事する訳じゃない。逆に「僕、京大中退なんですよ」ってネタとして使える場合もありますよね。要は、京大卒ってかなり幅広く使える武器ではあるけれど、その幅の外でする仕事もたくさんある。僕の仕事を考えた時に、京大卒っていう肩書きは必ずしも必要じゃなかったってことですね。決断する時にはそれぐらい細かく分解して考えるのが大切だと思ってます。

__________「大学卒業してたらこうだったのにな」みたいなことを考えてしまいそうです。

自分の思いだけの話で言うと、そういう可能性とは付き合わないです。なんかもうしょうがないと思うんですよね。そんなことを考えて悩んでるんだったら、自分の決めたことを前に進める方がいいと思ってます。例えば自分の決断が違うなと思ったら、そこからどう軌道修正するかどうかを考えます。ある本に書いてあった言葉で好きな言葉があって、「人が迷う時は51:49で迷っている」 仮に80:20だったらみんな80の方を選ぶ訳ですよね。そもそも迷わない。51:49だったらどっちを選んでも、その後どう頑張るかで2の誤差なんかどうとでもなるってことですよね。まあでも、今後「大卒だったら」って頭によぎる場面は出てくる気もしますけどね。それはまだわからないですね。今のところ僕が話せるのは、決断するにあたっての考え方だけですね。

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【編集後記】
インタビューを終えて最初に、「強い」という言葉が浮かんできた。

後々聞いてみると、本人は「何とかなるなぁみたいなのはめちゃめちゃ思ってる」と語っていたけれど、言葉の一つ一つに「どんな状況になってもなんとかしてやる」という彼の強い意志が感じられた。

なかなか誰にでもできる考え方ではないのかも知れない。
しかし、誰もがそう考える自分を少しは持っているのではないか、とも思う。

「人が迷う時は51:49で迷っている」

ほんの少しの「なんとかしてやる」という気持ちを信じられるかは、2の誤差をどれだけ正確に把握できるかにかかっている。
そんなことを彼から教えてもらった気がする。
そうすれば覚悟をもって49の選択肢を選べるのだから。

【ライター】前原祐作


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