No.7 大学を卒業して、歌手になる。
近石 涼(ちかいし りょう)
兵庫県在住の24歳。
大学を昨年卒業して、歌手の道へ進む。学生時代、ハモネプ出場・カラオケバトル出場・紅白歌合戦のバックコーラスに選出。
※ぜひ、近石くんの曲を聴きながらどうぞ→『寂しさは夜のせい』
今回は、私の高校の同級生で、現在歌手として活動中の近石くんにインタビュー。
高校を卒業してお互い大学生の頃から、近石くんがシンガーソングライターやアカペラで頑張っていることは知っていて、とても応援している存在。
とはいえ、どんな経緯で今に至っているのか、詳しく聞いたことはなかったので、久しぶりにお話するついでに、これまでのことをインタビューさせていただきました◎
_____ 「歌手になろう」って決めた経緯を教えてもらっていいですか?
昔からぼんやりとは思っていましたね。昔から歌好きで、小学校の時とかは自分の歌が上手いとかわからなかったけど、中学でカラオケとか行きだしたら点数とかの勝負になったりとかして。
周りから言われて「あーなんかうまいんやなぁ」って思い始めました。その時は中学生で何もわかってなかったっていうのもあって、「プロの人より俺歌うまいんちゃう?」「そんな変わらんのちゃう?」みたいな(笑)。今思えばそんなことはなかったけど、その頃は思っていました。
ずっとサッカーしてたんですけど、高校入るときに、サッカーの友達でギター持ってる子がBUMP OF CHICKENのCDを貸してくれて。それまではあんまりやったけど、BUMPの曲を友達が弾いてるのをみて「スゲェ...」ってなって、ハマって、友達と三宮の楽器店にギターを買いに行ったんですよ。友達は30,000円くらいのを買って、俺は入門用のギターセットみたいな10,000円くらいのを買いました。それで、俺だけめっちゃ練習したんですよ。それでギター弾けるようになった時に、友達にバンド誘われて、あと数人集めてバンドを組みました。
始めはバンドの演奏とかをYouTubeであげて、その時に「俺カメラ持ってるから弾き語り動画あげれるやん」って気づいてそこから少しずつ自分の弾き語り動画あげるようになりましたね。動画をあげるために練習して、だんだんコメントがもらえることで承認欲求的なものを満たしていました。BUMP OF CHICKENが新曲出すたびにカバーして、再生回数伸びてコメントが来て「嬉しいなぁ」みたいな。高校でそういうことを続けて、大学に入りました。
それまで自分がBUMPに似せて歌ってたから、似てるって言われることに対して最初嬉しかったんですけど、だんだん「似てるね」って言われることに違和感を感じてきたんですよね。俺がすごいんじゃなくてただBUMPがすごいっていうことに。自分がBUMPにすごい感銘を受けたように、自分で作ってきたもので誰かに同じように感動とか何か生きていく上での力になれるような、そんな歌を作ってみたいと思って、自分で曲を作り始めました。
大学はずっとアカペラしながら、弾き語り活動していました。その中で大学2回生の春ごろにカミング神戸っていう40,000人ぐらい入ってたフェスのアマチュア枠のオーディションがあって、ソロの部で初めて作った曲とその次に作った曲で応募してたまたまグランプリとって、めっちゃクチャでかいとこでトップバッターで歌ったんですよ。後ろの人にも見えるように電光掲示板とかで映るような会場で。そこで歌った経験はすごい大きいですね、もっかいあそこで歌いたいみたいな気持ちはあります。
最終的に歌手の道を進むかどうか決断するのって就活の時期でした。就活の時期に、1年休学しようと思って、1年休学して音楽やっていけそうだったら卒業してやるし、きっかけ掴めなかったら諦めて就職すると思ってました。けどゼミの先生が、休学を頑なに許してくれなくて。俺の身を案じてのことと、「休学して1年遅れるって事は君が思ってる以上にもったいないこと。保険かけてやるくらいの覚悟なんだったら、やっても意味ない」って言われて。それで喧嘩みたいになって「それやったらもういいわ」って言って就職せずにやる道を選んだんですよね。
そしたら後に、「俺そんなん言ったか」みたいな言われて、いやいやってなったなりました(笑)。その時期にたまたま、俺のカラオケバトル出演が決まって、教授はちょっとだけ認めてくれたような気がします。
歌手になる道を後押ししてくれた人もいます。同じアカペラのサークルで頑張ってたサークルのメンバーが見てくれて、その時のライブで「お前はプロでやっていくような人だと思う」っていう風に言ってくれて、彼が真面目な時にいう言葉に関しては信頼をしてて、「そいつが言うんやったらやってみよう」って思えました。他人任せな感じですけど。
_____ 昔から自分自身の「好き」とか、「得意」をしっかり向き合って、着実に行動していますね。あんまり気負ってないように見えます。
いやでも、去年(2019年)の5・6月とか、気持ちが落ち込んだりしてましたよ。でも、ずっとそんな精神状態でおったらさすがに死んでしまうので。どっかで自分を嘘でも認める部分を持っとかないとさすがにやっていけないです。シンガーソングライターだから、メンバーがいるわけでもなくて一人で活動しているんですよね。言葉で書けるような自信、肩書きというかそういうのを追っているところはあります。例えば「前のオーディションでグランプリ取りました」とか、「カミング神戸に出ましたとか」、「ハモネプとかカラオケバトル出ました」、「紅白歌合戦のバックコーラスをしました」みたいな。それを言ったらなんか「お!」ってなるじゃないですか。「神戸で歌ってます」だけの人よりも、とっかかりとしては聞いてもらえると思うんですよね。最初はとにかく聞いてもらいたいと思ってそういう機会を掴むようにしてたけど、なんかいつの間にか目的が”謎の箔をつけるため”みたいな風になってる気もしていて。そんな自分を「ダサイなぁ」と思いつつも、「ダサイから辞めよう」とも言ってられへんなって思います。理想としては、肩書きとか何も知らずに自分の音楽だけで「わーすげー」みたいになってくれるのが理想ですけど、なかなかうまくいかへんのが現実ですね。
_____ 今は、音楽と生活(稼ぎ)の割合ってどんな感じでやってるんですか?歌手として活動するって具体的には、歌わせてもらう場所を探したりするんですかね?すみません、想像ができなくて。
今は完全にバイトできてないですね、コロナの影響で。だから何とかして音楽で稼がないとって焦ってますよ。
歌手がお金をいただく一般的な流れでいうと、ライブハウスに行って「出してください」っていって、同じように出演者が30分4、5組くらいずつ歌いますみたいなイベントが平日ライブハウスではよくあって、そこに出してもらって出演費みたいなノルマを払って、赤字にならないくらいお客さんを呼んで、っていうのを繰り返して徐々にお客さん増えていって、
じゃあ自分で企画ライブしてみますかというステップになって、自分の好きな出演者集めて、じゃあ次はワンマンライブしてみますかというステップに進んで1人で歌って、100〜200人呼べるくらい人気になってきたら、ちょっとレコード会社の人とか来たりするんですかね。そういう感じの流れだと思います普通は。
でも、俺はそういうリアルな場にどんどんお客さん呼んでみたいなところができなかったから、オーディションを受けてレコード会社に見てもらおうっていうことをしています。あとは歌った曲をSNSで広めていったり、路上ライブで人を集めていって、お客さんを増やすこともしています。やり方は人それぞれですけど、俺は路上ライブとかオーディションとか音源をYouTubeに出したり。後はミュージックビデオ出したりカバーを歌ったりみたいなことをしていく中で聞いてもらえる人を増やしてっていうことをしています。
_____ 4回生で就活とかしてなかったんですか?会社とか組織で働くってどういうイメージですか?
就活はしなかったですね。何で就職するかわからんのに就活するんどうなんかなぁと思って。だから、そこで歌手になる決断をしました。ちょうどゼミの先生とのことがあったり、友人にも「そっちでいいと思うよ」って言ってもらったので。
働いている人のイメージは、人それぞれですけど。自分がやりたいことやれている人もいるし、それですごい認められて結果を残して続けている人も居れば、やりたいと思って入ったけど違うところにとか、人によりますね。そっち(後者)の方がきっとよくあることで。嫌になりながらも「頑張ってるなー」っていう人もいるけど、「やっぱり違うな」と思って道を変えようとしてる人っていうのも意外にいるんやなっていう印象ですね。俺の周りの話だけかも知れないですけど。
シンガーソングライターしてたら、バイトしながら音楽続けている人が結構多いです。あと、ブッ飛んでる人多すぎるね、マジで。そういう人を見てると、なんか自分が生きてきた世界がどれだけちっぽけやったんやろうっていうのはよく思わされます。どれだけ自分が普通の人間やったかっていうのを。
_____ 就職はもう今は全然考えてないの?
うん、そうですね。
やりたいことやれてるからというのもあるけど、それ以上に俺はそんなに自分で才能があるとは思ってないので。ほんまに才能あって音楽にすべてをかけてる人からしたら、仕事をやりながら片手間で音楽やったところで無理やろなと思って、とりあえず2年はちょっと勝負してみようと思っています。
【編集後記】
幼い頃から音楽に触れる機会を作ってきた近石くん。目標をぶらさずに、突然の大きなチャンスで逃げたくなるような時も、一つ一つ、大切に挑戦してきているところは本当に尊敬です。。
特に、歌手として就職はせずに生きるという決断をした、近石くんを支えているのは、友人の存在も欠かせませないことを知りました。
自分には背負いきれないような大きな決断をする時ほど、自分一人ではなく、誰かの声を信じることも必要なのかもしれません。
近石涼 Youtubeチャンネル
【ライター】
篠原 七子(しのはら ななこ)
神戸市出身、福岡市在住の26歳(2021年時点)。自然と調和した暮らしづくりを目指し、コンポストの研究製造販売をする会社でCS/広報として働く。本メディア発起人(経緯はこちら)。
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