No.1 休学は自然な選択だった
インタビュー第1弾は、前原 祐作(まえはら ゆうさく)。
2016年に京都大学教育学部に入学。カンボジアに2度の学校建設(団体名:Pumpit 3rd,4th) / アイルランド留学 / バイトは人力車。
3回生の終わりからの1年休学し、今年、2年目の休学を決断した彼は、何を考え、何に悩んで、その決断ができたのでしょうか。
____ 2年目の休学をしてやりたいこと / 目的は何ですか?
それは、このメディアに力を入れたいからですね!
日本全国を回って、いろんな人の話を聞いたり、生き方に触れたい。動機は単純な好奇心、いろんな人に会いたい。
ただ、日本全国とはいっても、考えてるのは、魅力的な『田舎』です。女川、西粟倉とか、隠岐、鳥取の智頭、ニセコ(北海道)とか。
____ なんで、田舎に着目しているの?
資本主義とか、都会の生活に嫌気がさして(笑)
「だから、田舎に逃げる」というのではなくて、さっき挙げたような田舎が、未来の話をしている気がして。無理が生じている都会での生活の中で、進むべき方向、未来のヒントがあるんじゃないかと。以前行った時に、現地の人の話を聞く中で、大切なことを言ってる気がしたんです。
____ 都会との1番の違いを挙げるとしたら何ですか?
「生きている」こととの距離感が近いことですかね。
現地の人同士の話の中で「生きる」ことの割合が高いんです。自然との距離が近かったり、過去に津波で全部なくなることを経験していることも要因なのかもしれないけど。
あと、田舎にいると1日の中で「食べること」を考えるウェイト、重要性が高くなる気がしていますね。都会にいると、入ってくる情報が「生きること」と遠くて麻痺してくる。あと、死があまり近くにないですよね。スーパーとかも、魚の切り身が売ってて、誰が獲ったのか、料理したのかわからなかったり。
____ 1年目はなんで休学したのですか?
しがらみから逃れたかったからです。3回生が終わったタイミングで休学をして、でも決めたのは1年前くらい。その頃は割と精力的に活動していて、いろんなコミュニティに触れていました。自分は影響を受けやすいから、触れている“世界”が狭いという自覚はあったけど、このまま将来とか就職とか短期的な選択をしそうで。「今、興味があること」で大きな選択をするのが嫌でした。だから物理的に日本から距離をとって“留学”という理由をつけました、逃げるため留学。
ただ、それができたのは、周りに休学した子が多くて「休学すること」のリアルな例が近くにあったことが大きな理由ですね。親も2浪してて、卒業が1年遅れることに対して抵抗がなかったと思います。親が何かを反対する感じではなかったのはだいぶよかったですね。休学するにあたって、親を説得するとか考える必要がなかったから。
あとは、人と違うことしたい、みたいなものも自分の中にあるから、周りの目を気にすることもなかったです。
____ 今回の休学に何か不安はありますか?
本当は就職しようと思っていて、就活もしていたんです。
留学から帰ってきた時には、資本主義のシステムに違和感を持っていたので、その違和感に自覚的な会社を探していました。パタゴニア、gCストーリーとか、調べたりしてましたね。
会社を見つける時期にはリミット決めて、2月末までに会社を見つけられなかったら、自分で起業をする!と思っていました、自分で作ろうと。
そんな感じで就活して流れに身を任せてると、地方に行くようになりました。その中で女川に出会って。こんな考え方があるんだ、生き方があるんだ、ということに触れて、生きる希望が見つかりました。
そうやって就活をしてく中で、やりたいことが見えてきたんですよね。
全国を回って、いろんな人の話を聞きて文章を書きたい。そこに好奇心が湧いてきました。そして、それは大学を卒業してからよりも、今この段階でチャレンジした方がいいのではないか?と思うようになったんです。
1回生の頃から人力車やっていたから割と稼げるようになっていたのと、出勤日数を自分で選べるから月の半分くらいは好きなことに使えるなと思っていて、生きていくことへの心配はなかったです(コロナのせいで今はめっちゃあるんだけど笑)。
それと、ライターをしたいという思いが芽生えたのは初めてで、それを本業にするイメージはできなくて。だから、まず、1年チャレンジしてみてから、また大学に戻れるっていうのは、大きなセーフティーネットになっています。
最後は、そんなことを考えてる時に、七子(この記事書いている私です!笑)から電話かかってきて、メディアやりたいねっていわれて、「一人じゃない!」「誰かとライターができる!」ってなれたんですよね。しかも、自分と考えてること似てて。スピリチュアルチックな理由が最後にできました(笑)神の思し召し的な、タイミングが最高でした。
そんな経緯で休学を決めました。
自分が置かれている環境と、やりたいことを掛け合わせた時に、「休学」という選択がマッチしたなと思います。今は休学がベストな選択ですね。
_____ 就職が遅れることへの不安は何ですか?
謎の自信としかいいようがないかも(笑)
周りに、就職しなくても生きていけるなという例(Pumpitの時からの仲間、梶本くん:通称かじ)があるのと、お金はいると思うけど、お金もちになりたい!という価値観から逃れたから、就職することへの重要度が低くなったのもありますね。人力車での収入もあったし生きてはいけるなと。
これまで、いろんな生き方をしてる人に触れてきてたから、オプションとしていろんな生き方がストックされています。そして、「それもいいな」と自分が思える自分になっていました。田舎で生活するのもいいな、と。
_____ 休学に対して悩みはありますか?
休学に対してはないけど、これからライターの勉強をやり切れる覚悟が持てるかどうかは悩んだかも。今も悩んでいますね。
休学を決断するのに悩まなくて済んだ環境は、全部たまたまだけど、人力車みたいな自分で始めた「たまたま」もあるし、Pumpitに入ったことでいろんな生き方を知れたとか、お金を指標とする価値観に縛られなくなったとか、いろんな「たまたま」で作られた今の環境が、休学をあと押してくれています。
だから、休学は自分にとってはあんまり大事な決断ではないかも。
今はとにかく、いろんな人の生き方を客観的にみたくて、その現時点でのベストな選択肢がライターですね。
【編集後記】
一般的に、小学校、中学校、高校、大学、とみんなで同じ流れに乗ってきていると、一度足を止めることは怖く感じる気がするけど、祐作は休学という選択ができている。
それは
1.周りの友達に例があった
2.親の反対がなかった
3.お金を幸せの指標にしていない
今回のインタビューではこの3つの要素が主に影響しているように思えるけど、逆にライターをやりきることが、彼にとって覚悟が必要だったという部分が印象的でした。
【ライター】
篠原 七子(しのはら ななこ)
神戸市出身、福岡市在住の26歳(2021年時点)。自然と調和した暮らしづくりを目指し、コンポストの研究製造販売をする会社でCS/広報として働く。本メディア発起人(経緯はこちら)。
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