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実力より「コンサルの凄そうなイメージ」が大事?アラフィフリスク管理担当者の悲哀と気づき

僕の専門は、内部管理、内部監査、リスク管理、事業継続計画などの構築と運用です。実際にこれまで3つのベンチャー企業で、IPO〜東証プライムへの市場変更までのフェーズに合わせたチューニングを成功させてきました。

直接収益に貢献できるものでもないし、問題が生じないように手を打つ仕事のため、「目に見えるアウトプット」がわかりにくい職種ですが、長年の経験と知識を活かし、数々の危機を乗り越えてきた自負はあります。

実際に、東証とのやりとりの中で、あやうく審査NGとなりかねない指摘に対して、先方のロジックに内在している矛盾点を見つけ、プロジェクト失敗の未然防止を実現したこともあります。

このような経験を買われて新たな職場に転職したのですが、この新たな職場では、奇妙な現象が起きていることに気づきました。
あるあるなのかも知れませんが。。。

1.経営者はコンサルタントの話しか聞かない

僕が入社して、すぐにマズイと気づいたのは、BCPの形骸化でした。
なんか規程がある。なんか手順書がある。だけど中身はない。って感じです。
たとえば、地震の際に連絡を取るための高価なトランシーバー的な機械はあるんですけれど、何を確認するかは決まってません。。。
システムの稼働状況を誰が確認し、誰に報告するか…決まっていない。
社長と連絡取れない時の代理意思決定者は・・・常務なんだろうなぁという雰囲気。

僕は現状と対策を、論理的に説明したのですが、経営陣の反応は今一つでした。

ですので、ちょっと有名なコンサル会社を連れてきて、
「こんなBCPはダメだ」
という話をしてもらいました。その内容は、僕の説明と95%くらい一緒で、異なる5%は「構築費用は1000万」とその内訳の説明の箇所くらいです。あとは、大仰な言葉と抽象的な概念での彩りかな〜
「最適なソリューションを提案する」みたいな耳障りの良いフレーズが並んでますね。
なんか、ここまできたら、
「当社のサポートは、ホイミではなくベホマズンなのです。」
とか言っちゃってもいいくらいの雰囲気です。(ケアル/ケアルガでも可)

しかし、経営陣は彼らのプレゼンには、いい反応をするんですよね。

「 大変参考になった」
「 さすが専門家のご指摘は違うな」
「 早急に彼らの提案の具体化と予算化について詰めてくれ」

そんな声が聞こえてきます。

いや、1000万払わんくてもやれるよ?
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?

2.経営陣が求めているのは、実効性のある対策ではない

まあ、こんなもんだよなと思いながらも、反面ではコンサルタントのプレゼンを聴きながら、「あ、その方法は遠回りなんだよな〜」とか「その手順だとコンフリクト起きやすいんだよな〜」など、長年、現場で培ってきた経験と知識は、汎用的に活かせるものなんだな〜という確認ができたのですが、なぜ経営陣はコンサルタントの話だけ聞くんだろう?と考えていました。

そして、ある日、気がつきました。

「すごそう」というイメージ
「コンサルタント」というブランド
そうした付加価値に、彼らは惹かれているのです。

もちろん、実力のあるコンサルタントもいらっしゃいます。しかし、「コンサルタント」という肩書きだけで、実力以上に見られてしまうケースも少なくありません。

一方、社内の人間は、実績があっても、 過小評価されがちです。

これって、国産車と輸入車の関係ですよね。
日本の小金持ちはベンツに乗りますけど、燃費も悪いし、ガソリンはハイオクだし、故障は多いし。
性能や維持コストを考えたら、圧倒的に国産車の方が良いにも関わらず、なぜかベンツを買ってしまう。。。

この事実に気づいたとき、ちょっと絶望的な気持ちになりました。しかし、同時に、ある種の開き直りも生まれました。

「だったら、僕もイメージ戦略で勝負してやろうじゃないか」

3.「見せかけの実力」を大事にする

まずは、プレゼン資料を変えました。
社内フォーマットは古いなと思いつつも、それに合わせていたのですが、それをやめて、現代風(?)の作り方に変えました。

そして、実感がつかみやすいように具体化していた文言も、コンサルタントのように、大仰な言葉や抽象的な概念を多用してみました。
正直、これはちょっと気が引けたのですが、
・課題→イシュー
・解決策→ソリューション
・行動計画→アクションプラン
・監視→モニタリング
こんな感じで、とにかく横文字。

すると、経営陣の反応が、明らかに変わりました。
「 重要な経営課題として、協力が必要な部署があれば、遠慮なく要望して」
「〇〇千万までは、部長決裁で使って構わない」

前回プレゼンと比して、改善対象のスコープは2つに絞っちゃったし、納期も倍に設定しちゃったのに、本当にいいのかしら?

しかし、
「すごそう」というイメージを前面に出すことで、経営陣は食いついた。
というのが事実です。

この経験を通じて、僕は「雰囲気の重要性」を痛感しました。

どんなに優れた商品やサービスも、 雰囲気がイケてなければ、埋もれてしまうだけです。
これは、物体としての製品や体験としてのサービスだけでなく、社内資料でも同じだったんです。

4.「実力」と「イメージ」をうまく組み合わせて初めて、正当な評価を得られる

世の中には、雰囲気先行型のコンサルもどきみたいな人がうじゃうじゃいます。〇〇をはじめてたった〇ヶ月で月商〇〇万円を達成したノウハウを限定公開します。とか、大手企業の〇〇さんと取引があります。とかのやつ。

これまでは、こういう感じの人たちに、
・実力が伴わないのに、イメージばかり先行してしまうと、 いずれ化けの皮が剥がれる。
・再現性の検証を自分じゃなくてお客さんにやらせるのか
・詐欺じゃん

そんな風に思っていました。

しかし、「すごそうの演出スキルを身につけることは、決して悪いことではない。むしろ、自分の価値を最大限に引き出すための、必要な手段と言えるんだな。
と考えるようになりました。

まとめ

今回は、最近の気づきから、
実力だけでなく「雰囲気」や「見せ方」が重要
であることを書きました。

優れた商品やサービスも、雰囲気がイケてなければ埋もれてしまいます。
社内資料も同様で、「実力」と「イメージ」をうまく組み合わせることで初めて正当な評価を得られるのです。
最近では、バブル世代の経営陣にとって「凄そう」という雰囲気の資料は、AIを使えばそんなに時間をかけずに仕上げることが可能です。

一言添えるならば、逆に自分は「イメージだけで中身が薄い」を見抜く力も同時に持たないと危ないですね。


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