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キャリアを切り開いて行くためには、総力戦で準備をしておかなければならないよねそうだよねという話
昨日、ある取締役に対する報告会がありました。周りは現職場に昔から勤めていらっしゃる先輩だらけ。その取締役から、報告内容について質問が飛びます。報告者である先輩はしどろもどろ。
僕は、先輩の立場を立てなければならないので、たまにサポートするような補足説明を入れつつ、内心以下のように思っていました。
「取締役からは枝葉末節の指摘ばかりで本質的な価値の付加はないな。」
「規程を読めば一目瞭然だし、計画を説明の上、計画に承認を得ているのに、計画の不備を指摘するのはお門違いだな。」
「スリーラインモデルを理解できていないな。内部監査室の監査とリスク管理部の点検の意味合いの違いがわからないか。」
報告会が散会し、自席に戻る道すがら、上長を含む先輩方から口々に、
「さすが、F取締役だ。確信をついた質問をされてしまった。」
(は?)
「ご指摘いただいた内容については、補足説明の資料を作成の上、再提出しよう」
(事実に基づかない意見にしかならないから、口頭で所感レベルで触れるしかできないのでは?)
僕は、ただただ混乱していました。
とあるビジネスマン
前職で、とある役員と一緒に仕事をしたことがあります。その方は、「法務担当執行役員」であり、内部管理体制の改善をミッションとして親会社から着任されました。
ところが、コーポレートガバナンスやコンプライアンス、リスクマネジメント、事業継続マネジメント、規程管理、会社法のどれも理解されておらず、部下に丸投げ。上がってきた報告書をノールックで取締役会に報告し、社外取締役から間違いを指摘されると、責任を全て部下に押し付け処分してしまう。
監督官庁への報告資料を作成するも、社長指示により内部監査室で内容点検すると156項目中質問に対する正しい回答がされていたのは、たったの3箇所で残り153箇所は虚偽。この問題を社長に報告すると、翌日からメンタル不調ということで急遽長期休みとなり、3ヶ月後くらいに辞任されてしまいました。
ところが、辞任後数ヶ月経って、ライバル企業の役員として返り咲き。
その後社長まで勤められたが、1年でオーナーの怒りをかって失脚。
と思いきや、それから半年後、ひとりコンサルとして起業され、複数社の案件を抱え、年商5000万円程度で悠々自適だそうです。
何が彼を助けたのか
この話を知った時、なんじゃそれ?と思いました。
きっとコンサル先は、運用に無理があり、運用しても何の示唆を得ることができないような仕組みを回すことになるんだろうな。
数年しか騙せないよな。
ただ、彼は、役員っぽい立ち居振る舞いはできます。
そして、物をよく知っている風に自信たっぷりに話します。(内容は誤った理解のものが多い)
そして、元役員、元社長という肩書を持っています。
彼自信には実力はないので、彼のアドバイスには再現性はありません。
彼の直属の部下になった人たちと、同業界の交流会で話したことがありますが、「あの人は一体何者なんだ。なぜ役員になれたんだ。」と皆さんに質問されました。
でも、事実として彼は、元社長であり、年商5000万円の事業を一人で立ち上げています。
仕事を獲得できるとき
副業でもいいですし、独立してでもいいのですが、事業をする際に必要なのは、案件です。仕事をして収入を得なければ、事業を継続することができません。
そして、案件はどのようにして獲得できるかというと、生まれやすい「場所」があり、あとは「タイミング」です。
特にCryptやWeb3、AIなどの分野は、ベンチャー企業も多く、特に内部管理体制みたいな領域は、IPOを目指そうかというタイミングで案件が発生します。そして、このようなベンチャー企業には、ITエンジニアは多く在籍しているかもしれませんが、内部管理体制の構築のようなキャリアの方は在籍していません。
そこで効いてくるのが「ハッタリ」です。
獲得の段階では、「なんとなく凄そう」が一番重要です。
仕事を納めるとき
正直、獲ってしまえば、良心さえなければ、あとはどうとでもなります。
実力がないと、形式的な整備をしてしまうのですが、困るのは現場だけです。経営者には分かりません。
事業のスピードは落ちるでしょう。
無駄なコストは膨らむでしょう。
でも、大丈夫です。経営者にはわからないので、2〜3年は騙せます。
昔とあるヘッドハンターにもらったアドバイス
今から15年ほど前に、あるヘッドハンターの方が開いていらっしゃる私塾的なものに1年ほど通ったことがあります。
(高価だったので、1年で通えなくなりましたw)
色々な場面で、いただいたアドバイスを活用して、自分の血肉にしてきたのですが、「(相手のために)重要人物の空気をまとえ」というアドバイスがありました。
これまでは「礼節」の話かなと理解をしていたのですが、ここにきてようやくそのアドバイスの本質が理解できたように思います。
実力だけを磨いてもキャリアは開かないのが事実である。
そのことに気づき、雰囲気だけ磨き半ば詐欺的に振る舞う人間も多く存在する。
だから、実力を磨くと同時に、重要人物の空気をまとい、少しでも被害者を少なくするようにせよ。
ということだったのかなと。
まとめ
まとめようと思って読み返すと愚痴っぽい感じになってますが、全然愚痴じゃないです。
物を知り、好奇心をもって探究し、他者と対話し、体系的に整理をしながら仕組みを構築する。そして、フィードバックのプロセスをデザインし、定期的に振り返りながら、継続的な改善に取り組み、定義が固まったら自動化する。みたいなことは、仕事を進めて行く上で重要ですが、実際に仕事を獲得する際には、「(相手のために)重要人物の空気をまとえ」がとても大事なんだなと振り返ることができました。
ちょっと、自分的には当面のテーマのような気がしています。