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日本史は科学

 日本史といえば、言葉を暗記しなくてはならないというイメージを持たれるかもしれません。実際に私も高校生の最初の頃はそのように考えていました。確かに、学校の定期テストや模試、大学入試まで見据えると最終的には知識の取得ということは必要になってきます。
 しかし、その前につながりを理解する必要があります。たとえば、日本でアニメが盛んに制作される背景には、ハリウッドのような莫大な予算が映画産業にかけられないこと、大規模なセットや自然を用意できないこと、などの要因が考えられます。このような現代社会の仕組みを政治、経済、統計、文化・習俗・歴史といった多様な側面から考える学問を社会科学といいますが、日本史はそれらの社会科学の支点を過去に充てているような感じだと私は思っています。つまり、事象には必ず理由や仕組みがあり、それらを理解しながら学習していく「科学」なのです。
 難しいと思いますが、仕組みが分かれば「楽しい」のです。最終的な暗記もしやすくなる上、一度理解するとなかなか頭から離れないという点もメリットです。その上、これらは現代の教育観において求められる能力でもあるのです。
 文科省が出した2017年の新学習指導要領では「主体的、対話的で深い学び」が文言にあります。また、2008年度の学習指導要領では「言語活動の充実」であった文言が、2017年度の新学習指導要領では「言語能力の充実」という文言に代わっています。これらは自分なりの「わかり方」を自分の言葉で表現する(=言語能力)・できることが最終的な学習のゴールであるということを示唆しています。再度、お伝えしますが単語を頭の中にいれ、覚えたかどうかを言えるということではありません。これがどうしてこうなのか、どのような社会の仕組みであったのかを表現できるということです。
 教育観の趨勢からも自分の言葉で自分なりの「わかり方」を表現する、理解の仕方を共有する能力が求められています。授業中の暗記は必要ありません。家に帰ったらしてください。授業では生徒の皆さんが自ら考えるような質問をしていくので常に考えながら臨んでいただければと思っております。

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