スタンフォード式 疲れない体【bookノートC】

「IAP呼吸法」を実践すれば、体の各パーツが本来あるべきところにきちんとおさまり、体のパフォーマンス・レベルが上がるだけでなく、疲れやケガを防ぐなどといった効果も期待できる。

最新のスポーツ医学の見解では、疲れを引き起こしているのは、筋肉と神経のコンディションの悪さだ。

疲れは、体だけでなく脳からも生じるのだ。

疲れを感じている人の多くは、自律神経と中枢神経のコンディションが悪くなっている。

そうならないためには、体の歪みに注意する必要がある。

体が歪んでいると、中枢神経からの指令が体の各部位にうまく伝わらなかったり、小さな動きであっても必要以上に負担がかかったりしてしまうのだ。

つまり、歪んだ姿勢の体は疲れやすい体であるといえる。

では、「疲れている」とはどのような状態か。次の4つの条件のうち、1つでも該当するものがあれば、あなたは疲れている。

① 脈がいつもと違う

安静時の脈拍は、1分間に70~80程度だ。

それよりも速かったり遅かったりしないか確認してみよう。

② いろいろな時間に寝ている

寝起きする時間が不規則だと、休息を司る副交感神経の働きが悪くなる。

睡眠不足は回復不足だと心得よう。

③ 腰が痛い

腰は体の要として、あらゆる部位の無理をカバーしようとする。

腰痛が生じているときは、体の複数の部位にダメージが蓄積していることが多い。

④ 胸で呼吸している

胸だけで浅い呼吸をしていると、酸素不足と姿勢の歪みを引き起こし、体が疲れやすくなる。

呼吸は、疲れない体をつくる鍵である。

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「IAP」とはIntra Abdominal Pressureの略で、腹圧を意味する。

この呼吸法は、息を吐くときにお腹をへこませる腹式呼吸とは異なる。

息を吸うときも吐くときもお腹をへこませず、息を吐くときに圧をお腹の外にかけるように意識して、お腹周りを固くする呼吸法 (腹圧呼吸) だ。

腹腔の圧力が高まれば、体の中心が安定し、無理のない姿勢をキープすることができる。

そうすれば、体の各部と脳神経がうまく連携し、余分な負荷をかけずに済むというしくみだ。

体の各パーツが本来あるべきところにきちんとおさまり、

体のパフォーマンス・レベルが上がるだけでなく、

疲れやケガを防ぐなどといった効果も期待できる。

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日中に体を動かさないと、夜間に体が休息しない。

交感神経と副交感神経がうまく切り替えられず、自律神経が乱れてしまうからだ。

「疲れないためにじっとする」という作戦は逆効果だといえる。

一番いいのは、日中に運動して交感神経を優位にすることだ。

仕事帰りにジムに行くのは逆効果で、交感神経優位のまま夜を迎えることになり、睡眠が阻害されてしまう。

忙しい人やストレスが多い人、胸呼吸をしている人はもともと交感神経優位になってしまっているため、疲れを倍増させる危険すらある。

眠る前の2分間、IAP呼吸法を実践することだ。

IAP呼吸法でゆっくりと横隔膜を動かせば、副交感神経を優位にすることができる。

就寝前のIAP呼吸法は、休息の質を高めるためにうってつけだ。

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疲れの現象として、体が硬くなる「硬化」がある。

そんなとき、柔軟性を求めて「伸びやストレッチをしたい」と思うだろう。

しかし、伸びやストレッチで疲労を根本的に解決することはできない。

体の硬化は「疲労の結果」にすぎず、疲労の原因は体に妙な癖がついていることだからだ。

変な癖がついたままだと、体を伸ばしたり拡げたりしても、体のバランスが崩れ、疲労が溜まっていくだけだ。

疲れを素早く解消するには、体を動かして回復を図る「動的回復法」が効果的である。

何もしたくないほど疲れている日でも、あえて軽い運動をしよう。

そうすれば翌日に疲労を持ち越さずに済む。

血液の流れが促進されて脳と筋肉にたくさん酸素を送ることができ、疲労物質の滞留を防ぐことができるのだ。

おすすめなのは、「ゆっくり走る」「泳ぐ」といった軽めの有酸素運動を20~30分することだ。

血行が改善し、筋肉のこりもほぐれる。

自律神経やホルモンのバランスが整うという効果もある。

なお、軽い有酸素運動の効果を享受するためには、運動の前後が重要だ。

ここで「リセット法」と呼ばれるストレッチやジャンプをしておこう。

運動前の「ビフォーリセット」には体の癖をやわらげる効果が、

運動後の「アフターリセット」には筋肉をほぐす効果が期待できる。

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スタンフォードで取り入れられている入浴法は、冷水と温水に交互に浸かる「交互浴」だ。

交互浴の効果は2つある。

① 血流が改善される

血管の収縮と拡張がくり返され、血流がよくなる。

血流がよくなれば、疲れている筋肉に栄養が多く運ばれ、早期の回復が期待できる。

② 自律神経のバランスが整う

温めたり冷やしたりすることで、自律神経を効果的に刺激することができる。

それによって全身がリラックスし、ストレスによる脳の疲れも軽減する。

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日常の疲れを取るための交互浴の方法は、次のとおり。

① バスタブに37~38℃のお湯を溜める。

② 350ミリリットルのペットボトルに水を入れ、その半量くらいの水を飲んでおく。

③ 冷水シャワーを1分ほど浴びてから、「バスタブに30秒、冷水シャワー30秒」の1分間1セットの交互浴を約10回繰り返す。

④ 冷水シャワーを1分ほど浴びる。

⑤ ペットボトルに残った水を飲み干して水分補給する。

交互浴は意外と水分を消費するので、前後に必ず水分を摂ろう。

交互浴は12分までなら効果が認められるとされている。

12分を超えないよう、手順を守って実行しよう。

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睡眠は、パフォーマンスや健康に大きな影響を及ぼす。睡眠について、守るべき原則は次の4つだ。

① 夜更かしも早寝もしない

就寝時間と起床時間、睡眠時間を固定しよう。

体のリズムを一定にすることが目的だ。

② 週末に体内時計を狂わせない

睡眠のリズムを崩すのは簡単だが、元に戻すのは大変だ。

週末に少し長めに眠るとしても、1~2時間程度にとどめよう。

③ ベッドに入る90分前までに入浴する

入浴して90分以上たつと深部体温が下がり、寝つきがよくなる。

就寝直前の入浴は避け、シャワーで済ませよう。

④ IAP呼吸法を実践する

前述副交感神経の回復作用をサポートし、睡眠の質を上げよう。

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朝食は重要だ。

朝食を抜くと、ランチを必要以上にたっぷり食べることになる。

空腹のあとに大量に食べると、血糖値が急上昇し、その後急降下する血糖値スパイクという現象を引き起こして糖尿病や心臓病の原因になる。

もちろん眠気や疲労のもとにもなるのだから、朝食抜きは厳禁と心得よう。

朝食をとる時間を固定することも重要だ。

睡眠と同じく、時間を固定することで生活のリズムができ、自立神経を整えることができる。

起床時間が固定され、生活リズムが整いやすくなるというメリットもあるだろう。

スタンフォードの選手たちの朝食メニューは、とりたてて変わったものではない。

高繊維質なシリアル、低脂肪プロテイン・シェイク、高繊維質なトースト、もしくはベーグル、プロテインバーとヨーグルト、もしくは牛乳1杯を基本とする。

それらに加え、ビュッフェ形式で卵やベーコン、フレッシュフルーツ、チーズ、オートミールなどを取っているという。

ヨーグルトとチーズには、腸内環境を整えるという意図がある。

日本人であれば、味噌汁、納豆、ぬか漬けなどの発酵食品を取るのがいいだろう。

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飲み物には、食べ物以上に気をつけなければならない。

飲み物は気軽に手に入り、どこででもすぐに飲めるから、

気を抜くと「疲れの元」を体内にどんどん取り込むことになりかねないのだ。

まず、 清涼炭酸飲料は避けるべきだ。

糖分が多く、1日に取っていい砂糖の量をペットボトル1本で超えてしまう。

疲れと肥満を招く危険なドリンクであると覚えておこう。

お酒の飲み方にも気をつけたい。

そもそも、お酒を飲んで疲れを取るのは難しい。

たとえ飲むにしても、節度を保った量で、お酒と同量の水を同時に取るようにしておこう。

疲労対策としてエナジードリンクを飲んでいる人もいるかもしれない。

それらはタウリンの含有量が多ければ多いほど効果が高いように謳われているが、タウリンが疲労を軽減することを示すデータは存在しない。

むしろ、飲み過ぎるとカフェイン中毒を発症し、死に至る場合もあることに留意してほしい。

人間は、1日に1リットルほどの汗をかく。

それを補うために、コップ1杯の水を1日に6~8杯飲むようにしよう。

私たちの細胞が正常に働くために、水は必要不可欠だ。

疲れを溜めないためには、血行をよくして栄養分と酸素を細胞や筋肉に運ぶ必要がある。

脳を働かせるにしても、血液によって養分を脳に届けなければならない。

水分が少ないドロドロの血液より、水分が多いサラサラの血液のほうがよく流れるのだ。

脳の働きが悪くなると、中枢神経もうまく働かなくなる。

すると体がスムーズに動かなくなり、ますます疲れやすくなるのだ。

水分不足になると、細胞、脳、筋肉のすべてに悪影響を及ぼすことを覚えておこう。

「スタンフォード式 疲れない体」
山田知生 著
サンマーク出版

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