身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法【bookノートB】
やっかいな人のパターンを知っておくと、それに応じた対応ができる。
やっかいな人に対処するには、相手の異常さを受け入れ、それに合わせて対応する「積極的な従順」が有効だ。
状況によっては自分自身もやっかいな人になりえる。
自分のやっかいな部分に向き合うことが、相手からの攻撃を防御し、建設的な対話への一歩となる。
やっかいな人に向き合う手段には、穏やかなもの、挑戦的なもの、少々危険を伴うものまである。
相手のパターンに合った手段を選ぶことが重要である。
理不尽な言動をとるやっかいな人に打ち勝つためには、相手の異常さを受け入れ、それに合わせることが重要となる。
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やっかいな状況に従順すること。それは体の意に反した行為であることを知っておこう。
理不尽な人と関わると、脳が「戦え」「逃げろ」という命令を出す。
だが、日常生活で理不尽な人と接する場合は、戦いも逃げも役に立たない。
冷静さを保つ「理性のサイクル」6つのプロセス
① 相手の理不尽さを「認識」する
② 相手のやり方を「特定」する
③ 自分自身の異常さに「対処」する
④ 相手の異常さに「順行」する(合わせる)
⑤自分が危険でないことを「表現」する
⑥相手を良識的な見地へと「誘導」する
ただし、理不尽な人とこのプロセスを踏むのは簡単ではなく、必ずうまくいくとは限らない点に留意したい。
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やっかいな人は、泣き崩れたり、嫌みっぽくなったり、冷淡になったりする。
そのやり口は実に様々だ。
そのため多くの人はそれらに反応して、ひどく感情的になり、論理的な思考ができなくなってしまう。
だが、やっかいな人のやり口は、彼らの弱点でもある。
やり口を知れば、次の行動を予測でき、こちら側の理性を保ちやすくなる。
例えば、幼少期に甘やかされて育った人の多くは、したくないことをしなければならないとき、周りを意のままに動かすために泣き言をいう。
求めるものが手に入らないと、相手に罪悪感を抱かせ、コントロールしようとしがちだ。
また、物に当たり散らすなどして、相手が耐えられない状況を作り出し、相手を疲弊させる。
また、いつも批判されて育った人は、知ったかぶりをしたり、他人の発言の欠点を見つけようとしたりする場合がある。
このようなパターンを知っておくと、彼らの怒りや冷淡な態度は、自分のせいではないと分かる。
これを踏まえて、理不尽な人が泣いたり、攻撃したりしてきたときに、自分がどう反応するかを考えてみよう。
罪悪感を持つ、怒りっぽくなるなど、彼らに対する反応は、だいたいはっきりしている。
理不尽さのパターンを知れば、やっかいな人に合わせて関われるようになる。
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やっかいな人に対処するにあたり、自分自身もやっかいな人になりえるということを知っておきたい。
普通の人でも異常な状態になる原因は何か。
その1つは「先入観」である。
「何をやっても俺はだめだ」「誰も信用できない」
こういった固定概念があると、やっかいな人を理解しづらくなってしまう。
そのため、自分の中にある否定的な先入観を探し出して、予防策をとる必要がある。
有効なのが「本来あるべき自分に戻るエクササイズ」だ。
静かな時間を作り、次の内容を紙に書き出していこう。
① 人生で一番大切な出来事(学校にはじめて行った日、勝ったこと、負けたこと、一番恥ずかしかった出来事など)をリスト化する。
② 一日おいてリストを見直す。人生をいくつかの期間に区切り、それぞれの最高・最悪の出来事を選ぶ。(小学校前半・後半、思春期、成人後など)
③ それぞれの出来事について次の質問に答える。(そのとき何が起こり、何を思い、どう反応したか。助けを求めた人たちは何と言ったか、そしてあなたはどう思ったか。など)
④ 次の質問には友人などの助けを借りて答えてもいい。(これらの経験はあなたの視野を狭めていないか。似た出来事が再び起こったとき、良い結果を出すにはどう対処すればいいか。など)
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否定的な傾向があれば、それとは逆に考えるようにする。
例えば、周囲の人をせっかちで自分勝手だと思うなら、辛抱強く寛容だと考えてみる。
人の良い面を見ると、周囲のあなたへの接し方も変わってくるものだ。
心の準備をしても、いざやっかいな人に攻撃されると、理性的な考えを失いそうになる。
だが、そこであなたが反撃すると、良い結果は生まれない。
まずは、心の中で「今は落ち着こう」と呟こう。
あなたが怒らなければ、相手は「この戦術は通用しない」と悟り、建設的な対話へ方向転換できる。
一度落ち着いたら、自分の状態を把握する。
そして、その感情のままに行動したらどのような結果になるかを想定し、そうならないための作戦とそのメリットを考えてみる。
ここまでできたら、作戦を実行に移せばよい。
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彼らとの会話の中であなたが自制心を失うと、相手を傷つける発言をしかねない。
その場合は、あなたが相手に対して心からの謝罪をしよう。
理不尽に思えるかもしれないが、謝罪することで相手は武装を解く。
そしてあなたは、自信を持てるようになる。
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ここからは、やっかいな人と向き合うための術を一部紹介する。
まずは「タイムトラベル」だ。この方法は、過去や現在にとらわれず、可能性のある未来に全力を注ぐべきだという発想から名付けられている。
例えば、短気なパートナーに対して「僕がすることやできていないことに対して不満があるみたいだけど、僕にどうしてほしいの」と聞いてみる。
もしパートナーが「私が怒っていても無視しないで話を聞いてほしい」と答えたら、それに従うと伝えよう。
さらに、「これからは、帰宅したら、その夜に僕にしてほしいこと、してほしくないことを、できるだけ穏やかに伝えてほしい」と言ってみる。
「これからは」で始まる会話によって、二人の関係を立て直し、前進するための方法を話せるようになる。
また、相手が過度に感情的なら、「これからは、叫んだりドアを乱暴に閉めたりしたらもう話さない。
そして頭が冷えるまで帰ってこないで。あなたがそうしないなら、私が荷物をまとめて出て行く」というように、「○○をしたら、△△という結果になる」と線引きをしよう。
そして、一度言ったことは最後までやり通すこと。
その後は、「私の言ったことが分かった?」とは尋ねずに、「なぜこうすることが重要なのか分かる?」と聞く。
すると、相手は自分が攻撃されているのではないと思える。
この方法は、穏やかな態度でも、断固たる態度でも用いることができるため、様々な状況に応用可能だ。
根っからのやっかいな人など、まずいない。
嵐の中に、必ず穏やかなところがあるはずだ。
感情的な人と話すときはその台風の目を狙おう。
感情がたかぶった人と話すときは、その人の左目を見て話すとよい。左目は感情を司る右脳と繋がっているため、相手の心に訴えかけやすい。
すべてを知っている素振りをし、自分は人より優れていると思い込んで周囲を苛立たせる。そんな「知ったかぶり屋」もやっかいな人の典型といえる。
彼らは、嫌みや皮肉をいえば、自分のほしいものが手に入ることを、経験上知っている。
彼らの言動に防衛的になると、相手はさらに人を見下すようになるので、逆の手を使う必要がある。
その方法は、知ったかぶり屋を「優れた人」として扱うことだ。
まず、彼らがどの分野で秀でているかを見極める。
その事実をもとに、「あなたは我々の中で最高の◯◯だ」などと、会話をリードする。
最後に、おだてながらも、彼ら自身がどう周囲の足を引っ張っているかを示そう。
「あなたは素晴らしいですが、周りの人々に皮肉をいうと、彼らはあなたに耳を貸さなくなります。あなたが彼らにとって批判者でなくなれば、あなたからいろいろなことを学ぼうとすると思いますよ」。
エゴが満たされた彼らは、もはやあなたを見下さなくなるだろう。
人と人との関わり合いは難しい。
身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法
マーク・ゴールストン 著
あさ出版
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