会員数2200万人以上の楽天カードに忍び寄る通信3社と楽天カードの今後の戦略
2021年5月13日に発表された決算資料を踏まえて楽天Fintech事業の1つ楽天カード事業ついて考察していきます。
2021年第1四半期 決算説明資料
2020年度 決算データ集
業績①連結業績サマリー
全体の売上は3915億と18.1%増加、既存事業の営業利益だけでみると、419億円で44.4%増加。
業績②フィンテックセグメント業績サマリー
フィンテックセグメントは売上収益は151億円で8.2%増加、営業利益は24.5億円で23.8%増加。営業利益の60%をフィンテックセグメントが占めており、全体の25%が楽天カードからの収益となっている。楽天カードの売上収益は+5.4%と全体と比べると低調。
楽天カードが低調な理由はリボ残高の減少
新型コロナウイルスの影響で一部の業界でマイナス成長に陥っており、貸出が増えそうだが、逆に無駄な支出をカットする動きが出ているのか貸出が減少傾向。
取扱高・シェア・会員数は増加傾向
楽天カードの利用者数は堅調に増えている。
今後の展開
楽天カードで獲得した顧客へのその他金融商材の利用を推進していく。実際、フィンテック事業の6割弱は既に楽天カード以外が担っている。
今後の展開の考察
①クレジットカード市場の拡大の恩恵は存分に受けられる
近年のクレジットカード市場及びキャッシュレス市場は拡大傾向にある。シェアNo1の楽天カードは一番の恩恵を得られるだろう。
②通信3社の金融領域は急拡大。
キャッシュレス市場での存在感は薄らぐ
KDDIはカード会員が年間で110万人増加で640万人。
ドコモは140万人増加と1400万人以上、しかもGOLD会員が800万人と質の点ではおそらく既に業界No1だろう。また、QRコード決済のd払いは3500万ユーザ。
ワイジェイカードは750万人で増加数も40万人と少ないがおそらくpaypayへの誘導を優先しているからと思われる。paypayの会員は3800万人。
通信3社のクレジットカード会員数は拡大しているが、楽天カードが一番成長しているという点も見逃せない。
しかし、QR決済市場は楽天カードのキャッシュレス市場のパイを確実に奪うだろう。
また、今後はAppleカードなど様々な企業の参入が予測され楽天カードのシェア拡大はますます難しくなっていくだろう。
③楽天カード会員への囲い込み戦略が最重要
楽天カード会員へのクロスセルは既に一定の成果が出ているが、他競合企業がQR決済市場で獲得した会員へ同様に様々な金融サービスやモバイル事業への誘導を仕掛けてくるだろう。
今後は保険や少額の長期積立投資・住宅ローンなど長期に渡る契約に対してポイント還元を継続的に実施するといったよりスイッチングコストが高い戦略が次のトレンドになりそうである。
いずれにせよ、楽天や通信事業者は既存の金融市場からパイを奪う側であり、継続的に成長が見込めるのではないかと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?