UUUM(3990)を買収したフリークアウトHD(6049)の決算分析
2024年にUUUM株式会社の公開買付けを実施したフリークアウトHDの決算分析をしていきたいと思います。
事業内容
全体の売上高は517億円です。
その内訳として、広告事業、投資事業、インフルエンサーマーケティング事業、その他事業があります。
それぞれの内訳(外部顧客への売上)は2024年9月期で
広告事業:295億円
投資事業:0.5億円
インフルエンサーマーケティング事業:221億円
その他事業:1億円
となっています。
インフルエンサーマーケティング事業の売上が全体の4割ほどを占めているため、こことのシナジーを得るためにUUUM株式会社を買収したと考えられます。
広告事業
Redとは、独自機械学習エンジンを搭載した全デバイス対応のマーケティングプラットフォームであり、利用者に最適な広告のターゲティングを行うサービスのようです。
この辺りはtoBのサービスであり、あまり詳細な内容は調べることができませんでした。
Scarletは広告フォーマットの開発、利用者が収集しているユーザーデータの活用など、より大きな枠組みでの支援を行うサービスのようです。
GPは動画解析技術を用いてYouTube動画を解析し、関連度の高い動画に広告を配信するサービスのようです。
さらに、ブランドイメージを落とすような動画への広告配信を回避し、ブランドイメージを落とさないようにするとのことです。
インフルエンサーマーケティング事業
インフルエンサーマーケティング事業はUUUM事業と考えていいため、事業内容としては各インフルエンサーの動画等での広告収入等が収入源と考えてよさそうです。
業績
前期比で売上は306億円から517億円と+69%の大幅増となっています。
一方で営業利益は16億円から0億円、経常利益は23億円から4億円、純利益は79億円から▲32億円と大幅に減少しています。
売上の増加は丸々UUUMの連結開始に伴うインフルエンサーマーケティング事業の売上増加と言っていいでしょう。
逆にそれ以外についてはほぼ横ばいとなっています。
利益については各事業のセグメント利益が前期比で下記の通りとなっています。
広告事業:前期15億円→当期10億円
投資事業:前期14億円→当期▲0.7億円
インフルエンサーマーケティング事業:前期なし→当期▲1億円
※その他事業、連結調整は除く
投資事業は波がありそうなので何とも言えませんが、広告事業が大きく減少しているのが気になります。
また、当期圧倒的に大きい損失として、のれん償却額として32億円の損失を計上しています。
これはUUUM株の取得価額に対して、市場価格が著しく下落したことに伴い、減損処理をしたことによるものです。
これを除くと最終利益はほぼプラスマイナス0くらいにはなります。
それでも前期純利益が79億円あったと考えると当期は厳しい結果になったといえるでしょう。
一方で、前期の利益についても大きいのが投資有価証券売却益の117億円であり、前期並みの利益を出すのはなかなか難しそうです。
やはり注目は営業利益をどこまで伸ばせるかという点になると思います。
売上総利益は前期93億円に対して当期147億円と大きく伸ばしているのですが、販売費および一般管理費が前期77億円に対して当期146億円と大きく増加してしまっていることにより、営業利益が前期16億円から当期は0.02億円と大幅減となってしまっています。
ただし、これはUUUM買収による影響が大きく、前期にはない費用が出てきてしまっているため全体で単純比較するのは難しそうです。
来期業績予想
来期の業績予想としては売上高560億円、営業利益2億円~7億円、経常利益・純利益は合理的な算定が困難な状況として非開示となっています。
25年9月期上期は北米の見通しが厳しく、前年対比でマイナスになることが想定されるとのことです。
そのため、上期は決算数値が悪くなる可能性が高いです。
一方で日本、アジアは好調になる想定。
UUUMについては売上減少が想定されるものの、コストカットで横ばいでの着地を想定とのことでまだ軌道に乗せる準備段階となりそうです。
UUUMについては長期的にどのように成長させるかというのが大きな課題となりそうです。
まとめ
フリークアウトHDは2024年にUUUM株式会社を買収し、2024年9月期の売上高は517億円と前期比69%増となりました。
売上構成は、広告事業295億円、インフルエンサーマーケティング事業221億円、投資事業0.5億円、その他事業1億円で、UUUM買収によりインフルエンサーマーケティング事業が売上の約40%を占めるようになりました。
一方で利益は、営業利益が16億円から0.02億円、純利益が79億円から▲32億円と大幅に減少しました。
この背景には、UUUM買収に伴うのれん償却32億円や、販売費・一般管理費の大幅増加(前期77億円→当期146億円)が影響しています。
広告事業では「Red」「Scarlet」「GP」などの広告プラットフォームを提供していますが、利益は前期15億円から当期10億円に減少。
インフルエンサーマーケティング事業も収益性向上が課題です。
来期業績予想は売上高560億円、営業利益2億円~7億円で、北米市場が厳しい一方、日本・アジア市場は好調を見込んでいます。
UUUM事業は売上減少が予想されるものの、コストカットにより安定化を目指しています。今後の課題は、UUUMとのシナジー創出と収益性の改善です。