いいデザイナー?
KESIKIでは現在、デザイナーとしてジョインしていただける方を探しています。ただ、KESIKIでの「デザイナー」の仕事は、デザイン会社やウェブ制作などでいうデザイナーとは違って、一言では表しづらいものがあります。
そこで、来週10月22日(金)20:00より、ウェビナーにて「KESIKIデザイナー座談会」を開催予定です。
IDEOやBCGデジタルベンチャーズ(以下BCG DV)でデザイン部門のトップを務めたKESIKIパートナーの石川と、グラフィックデザイナーとして正統派のキャリアを歩んだのち現在KESIKIのデザイナーとして活躍する清水が、KESIKIでのデザインの仕事についてざっくばらんにお話したり、質問にお答えしたりしたいと思っています。
そのイベントに先立って、石川と清水、KESIKIパートナーで編集者の九法の3人の放談を、ここでご紹介します。記事を読んで何かピンときた人、疑問が出てきた人は、ぜひイベントにご参加ください。イベントの詳細は、記事の最後に記載しています。
未来をビジュアライズする
清水:最近仕事が増えてきて、手が足りないです…。どこかにいいデザイナーいないですかね。
九法:そうだね。そもそも、今の時代に「いいデザイナー」っていうと、どんなデザイナーだろう?
石川:そうだなあ。要素を3つにまとめるなら、ひとつめは、「ビジョンを可視化できる人」。KESIKIでは、まだ世の中にないものを生み出したり、大きな企業を変革するためのプロジェクトが多い。そんな中で、もちろん言葉も人を引き寄せるものではあるけれど、デザインが合わさってビジュアライズされることで、一気にいろんな立場の人の目線をあげることができる。
清水:KESIKIでサポートした、特許庁のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をつくるプロジェクトのときも、議論の途中から、それをデザインに落とし込んだポスターをつくっていました。そのとき、みんなのテンションをあがったのがすごく印象的でしたね。
石川:IDEOやBCG DVにいたときも、これまでPowerPointの資料をつくるのがビジネスの常識だったところ、デザイナーがビジュアライズするといったこともしていました。スマートホームのイメージムービーをつくったり、都市計画を模型をつくってビジュアライズしたり。特に企業の中長期計画を考えるプロジェクトの中でいろんなビジュアルをつくっていましたね。
九法:未来はつかみどころがなく、数字や言葉だけじゃ説得するのが難しい。だから、見えるかたちにするっていうことですね。僕は編集者だったので、これまでプレゼンで動画とかグラフィックで伝えるっていうことがほとんどなく、新鮮でした。プレゼンの手法として、デザインの力を生かすのは、日本でも一般的になってきてるのかな?
石川:大企業の人にも少しずつ浸透してきていると思う。数字や言葉より、グラフィックや動画の方が直感的に伝わるから、プレゼンも通りやすくなったり。
清水:文字とビジュアルが一緒になっていると、伝わり方が違うし、みんなが印象に残りやすい。そうすると、目指す方向の理解度が高まって、チームが一緒に前に進んでいけるんですよね。
議論を沸かすツール
石川:僕の考えるいいデザイナーの要素2つ目は、「つくりながら考えられる人」。KESIKIのプロジェクトの場合、クライアントを含めると100人200人の人が関わることもある。たくさんのまわりの人を巻き込むときに、デザインの力が役に立つんです。そのときのカギがプロトタイプ。以前、noteの「みんなのプロトタイピング」という記事でもしつこく書きましたが、とにかくプロトタイプは大切!
九法:議論で出たことを、まずはかたちにしてみる。そしてそれを共有する。そうすることでそこから議論がさらに沸いていく。KESIKIでコンセプト開発に携わったオンラインワークスペースのNeWorkなんかは、プロジェクトのキックオフから1週間後にはUIの初期プロトをつくって見せてましたよね。結局、プロジェクト開始から2カ月でベータ版を出すことができたのは、デザインの力、プロトタイプの力が大きい。
清水:途中段階で発表すると、チームの士気もあがるんですよね。そうそう、こうだよねとか、こっちじゃなくてこっちの方向だよねっていう、ジャッジができる。長く組み立ててきたコンセプトが可視化されると、自分たちがやってきたことを確信できて、エンジンが加速します。
九法:デザインのそういう役割って、龍くん(清水)が元々働いていたグラフィックデザイン事務所でのデザインとは全然違う?
清水:そうですね。デザイン事務所にいたときは、基本的に「エグゼキューション」だけでした。でもKESIKIでは、その手前で、みんなの考えをを共有して議論するための「ツール」をつくっている。初期段階でムードボードをつくって、どっちの方向だろう?とか、Webサイトのモックを作ってそれを元に議論したりとか。
九法:みんなの中に渦巻いている曖昧なものの「確からしさ」を上げることで、意思決定しやすくなったり、そこからアイデアを膨らますことができる。KESIKIはそういうところにデザインを活用しているよね。
清水:以前、脳科学者の茂木健一郎さんが話してたことが印象に残っていて。頭の中で考えていることを書き出すことで、具体化されてまた脳に入って、その思考が定着していくっていう。みんながモヤモヤ考えてることが、プロトタイプとして目で見て確かめられることで、それがまた反芻されていくんだろうなと思います。
九法:インプットとアウトプットをチーム単位で繰り返す。大切なことなのに、意外とできてないことが多いです。
石川:そのプロセス自体が価値なんですよね。コンセプトをつくり上げていくシステムは、クライアントチームと一緒にやっていくことで、方法を学んでもらって、自分たちだけでもできるようにしてもらっています。インタビューのやり方とかアイディエーションのルールとか。
九法:これまで積み上げ式のロジカルな思考が主流だったビジネスパーソンに、デザインの思考プロセスもインストールしてもらうっていうことですね。そうやって、まわりの人の思考プロセスすら変革していけるデザイナーは、まさにいいデザイナーですね。
100点を、200点に
石川:とはいえ、やっぱり最後のエグゼキューションも大事。いいデザイナーの3つ目の要素は、「感動や共感を生み出せる表現力」かな。ここまで散々コンセプトとかプロトタイプの話ばかりしてましたけど。もちろんそれがあった上で、やっぱり最終アウトプットでその価値が最大化されてないと。
清水:ですね。理論と感性のバランスがないとだめだなと思っています。最終的に出てきたデザインで、人の心が動くかどうか、ちゃんと印象に残るか、美しさや気持ちよさがあるか。
石川:いくらいいコンセプトでも、アウトプットの質がパッとしないと、結局威力が半減するんですよね。コンセプトだけだと100点までしか行き着けなくても、200点にできる力がデザインにはあるはずなんです。
清水:たとえば、NTT Comのデザイン組織「KOEL」のロゴでは、ロジックがあった上で最後デザインとして心地の良いものに落とし込んでいます。あの斜め線の角度の理由は、一番遠くに飛ばせる角度「40.89°」というロジックがあった。ただその斜め線を、ロゴのどこにどういれるかというのは、デザイナーとして、ここだ、と示す必要がありました。
石川:そうだったね。下地があった上で、プラスアルファーの味付けが欲しい。プロダクトに対してちょっとした仕掛けを考えられたりとか、デザイナーならではのアイデア出しができる人がいいですね。
清水:最初の方に話していた、特許庁のポスターでも、この絵は何を示しているのかっていう理由もちゃんと話せるんです。でも、人が見て直感的にいいなって思うっていうことも、同時に必要。
九法:逆に言うと、これまでのデザイナーは、エグゼキューションに対して、思考プロセスとかデザインの理由なんかを全部説明してしまうのは野暮だ、っていう価値観の人も多かったように思います。大御所デザイナーだと、クライアントも、出てきたデザインに対して、これってどういうことなんですか?と聞くこともできないし、いいとか悪いとかが判断できなかった。
石川:そうですね、柔軟さと、自分の中の軸を、併せ持った人がいいですよね。プロトタイプにしてもある程度のクオリティがありながら、議論の幅もあって。エグゼキューションは、論理的に説明できることと、アイデアを飛ばすこととのバランス感覚がある。・・・なかなか難しいし、僕たちもいつも試行錯誤していますが。ぜひ、そんな人はKESIKIに来てください!(笑)
オンライン座談会/募集について
さて、この続きは、ぜひオンライン座談会にて。いいデザイナーってどんなデザイナーだろう?ということを、皆さんとも議論できたら嬉しいです。どなたでも無料でご参加いただけます。お気軽にお申し込みください。
<オンライン座談会>
10月22日(金) 20:00 - 21:30
■登壇者
石川俊祐、清水龍之介、九法崇雄(モデレーター)
■タイムスケジュール
20:00- デザイナートーク
・ビジネスにおけるデザインの役割の変化
・KESIKIが目指していること
・KESIKIにおけるデザイナーの役割
20:45- Q&A
参加者の皆さんとのセッション
質問やディスカッションなどフリートークの時間
■開催方法
Zoom ウェビナー
参加者の皆さまは映像・音声は基本オフでの参加となります。フリートークの時間はご質問のある方に発言いただく形となります。
■参加方法
こちらから、フォームにてお申し込みいただいた方に、URLをお送りいたします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfR-16RtOJYhVuqSsjGNBIwk3D9P0gsCEw73OwawliVc_er_w/viewform?usp=sf_link
<デザイナー募集要項>
企業のパーパスやカルチャーを深く理解したうえで、様々なステークホルダー(社員、顧客、社会など)とのコミュニケーションをデザインします。CI/VIデザイン、ブランディング、コミュニケーションシステム構築の実務経験を持つ方をを歓迎します。
待遇:面談にてご相談
その他の職種に関しても、随時募集しております。こちらからご確認ください。
お問い合わせ先:info@kesiki.jp
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