COMSOL Server / Compiler ご紹介
こんにちは。計測エンジニアリングシステム株式会社 -KESCO です。
前回は、COMSOL Multiphysics についてご紹介いたしました。
今回は、COMSOL Multiphysicsの拡張機能である COMSOL Server / Compilerを「モノづくり」にどのように活用できるのかをご紹介いたします。
COMSOL Server / Compiler とは? モノづくりでどう役立つのか?
COMSOL Server とは?
【COMSOL Server 管理画面】
COMSOL Multiphysics のApplication Builderで作成したアプリケーションモデルをServer経由で配布・共有できるものです。
ノートPCやiPad等のタブレットを表示端末として、パラメータ変更、再計算、3D表示をブラウザ上で実現できます。
Application Builder 作成したシミュレーションモデルをより理解しやすいアプリケーションモデルへと作り替えることのできる便利な機能です。CAE従事者でも、他人が作ったシミュレーションモデルを理解して使いこなすのは容易ではありません。ましてや、シミュレーション解析についてほとんど知識のない人がシミュレーションモデルを使うことは、非常に難しくなってしまいます。そこで、Application Builder を使い、シミュレーションモデルを使いやすい形に作り替えることで様々なシミュレーションモデルを共有、利用することが可能となります。
COMSOL Multiphysics に搭載されている Application Builder を使えば、作成したシミュレーションモデルを、使用用途やレベル感に合わせて、アプリケーション化することが出来ます。
アプリケーションを使用する際に変更可能なパラメータなどをあらかじめ設定することが出来るため、アプリケーション利用時の自由度なども調整可能です。
作成されたアプリケーションをServer経由で配布・共有することが出来る機能が COMSOL Server です。
配布されたアプリケーションは、WEBブラウザから、パラメータの変更および再計算、計算結果を3D表示することが可能です。
PCはもちろん、タブレットやモバイルからも利用することが出来ます。
【ブラウザによる使用者画面】
COMSOL Compiler とは?
Application Builder で作成したアプリケーションモデルを独立した実行ファイルとしてエクスポートするためのオプション製品です。
エクスポートした実行ファイル(exe、tar、sh)は任意のマシンでインストール不要/ライセンス不要でご利用頂けます。 実行ファイルの数に制限は無く、所属機関・部署に関わらず配布可能ですので、実行ファイルを共有することで共同研究・開発を強力に推進できます。
Windows、macOS、Linuxの各OS用の実行アプリを自由に配布、販売、共有できます。
どちらも COMSOL Multiphysics の Application Builder で作成したアプリケーションモデルを配布、展開することのできる機能となります。解析結果を1つのPC上だけではなく、異なる場所の複数の人間で共有することで実験・開発の推進が可能となります。また、アプリケーションモデルを使用して実験者がその時々に応じて、パラメータを変更し、再計算させることも可能です。
リモートでの実験・開発
拠点から離れた遠隔地の実験施設や複数の開発拠点で、実験・開発を進めているケースも多く存在します。
この時に生じる大きな問題として、情報共有の難しさが挙げられます。
ある拠点でシミュレーションモデルをアプリケーション化し、各現場に配布することで、遠隔地であっても解析結果を共有・活用しながら、実験・開発を行うことが可能となります。
活用事例
また、地元地域の産業発展に貢献されている「公設試」の方々にも導入いただいております。
産業センターのCAE技術者が作成したアプリケーションモデルを地域の企業様などに配布することで、地元企業の方々が手軽にシミュレーション技術を利用することが可能となります。
こちらは、福島県ハイテクプラザ様でのご導入事例になります。
COMSOLによるリモート技術支援およびデジタルツイン技術紹介セミナー 福島県ハイテクプラザ 工藤弘行 様 インタビュー
現場とCAEの橋渡し
現場とシミュレーション技術者(解析者)の相互理解がうまくいかず、スムーズにモノづくりが進まないケースも珍しくありません。
ある例を見てみましょう。
あるメーカーで耐熱性のタンブラーを製造することになりました。
解析者は、タンブラーの耐久性などを数値解析によってシミュレーションし、下記のような設計を提案しました。(あくまで一例ですので悪しからず・・)
しかし、これを見た現場からは・・・
「これじゃあ、持ちにくくてしょうがない」
「取っ手がこんなに曲がっていると加工しづらいなぁ・・・」
「加工のしやすさを考えると形状を変えたほうが良いのでは?」
「もっと使いやすさも考えて、この形のほうが良いのでは?」
そして、現場から修正依頼が返ってきてしまいました・・・。
シミュレーション技術だけでは、「モノづくり」は成り立ちません。設計したものを作るのは現場であり、実際にものを製造する段階での知識においては、現場の方が遥かに優れているケースも多く存在します。
しかし、現場でシミュレーションソフトウェアを扱うとなると操作などが難しく、ハードルが高いと思われがちです。
現場とシミュレーション技術者の橋渡しをし、両者間でスムーズな製品開発ができる環境を整えることが効率化・高速化を図る上で、非常に重要になってきます。
COMSOL Server の活用
ここでCOMSOL Server の出番です!
COMSOL Server を使い、解析者が作成したアプリケーションモデルを現場に配布します。
配布されたアプリケーションモデルで解析結果の共有をし、場合によっては、パラメータを再設定、再計算することで、解析者のモデルをベースに現場の知識やアイディアをすぐにカタチにすることが可能となります。
解析者が作成したアプリケーションモデルを元に現場のアイディアやノウハウを自由に織り交ぜることが可能になるのです。
操作の難しさや高度なシミュレーション技術の習得がネックとなっている現場と実際の現場の知識や意見を活かせない解析部門。
まさに、COMSOL Server は現場とシミュレーション技術者の両者の悩みを解決する 「橋渡し」としての役割を担うツールとして活用することが出来るのです!
まとめ
今回は、COMSOL Server / Compiler についてご紹介いたしました。 効率化・高速化が求められる現代の「モノづくり」の手助けになればと存じます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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