COMSOL Multiphysics ご紹介
こんにちは。計測エンジニアリングシステム株式会社 -KESCO です。
今回は、弊社の取り扱い製品であるシミュレーションソフトウェア COMSOL Multiphysics についてご紹介いたします。
モノづくりの現状と未来
現代の「ものづくり」は熾烈な開発競争のほか環境問題にも留意する必要があり、限りある資源を無駄なく有効活用し開発工数・コストを徹底的に切り詰めなくてはなりません。
また、近年、AIや機械学習などの技術進歩に加え、5Gのサービス開始によるIoTの有効活用など「モノづくり」を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。
効率化や高速化がさらに求められる「モノづくり」において、計測の自動化やシミュレーション技術は極めて有用な手法であり、これからのモノづくりにおいて欠かせない存在となっていくことが予想されます。
計測とシミュレーションの関係性
計測とは、実際のモノやシステムとその現象を対象として、様々な機器を用いて実測することです。
シミュレーションは、実際の実験を行うことが難しい物事について、想定する場面を再現したモデルをPCによって分析することで模擬的な実験をすると言い換えることができます。
実験内容を数式モデルによって組み立て、これをコンピューター処理することで、実際の計測と同様に結果を得ることが可能です。尚、シミュレーションのモデルには物理現象を説明する物理的モデルとある数式を表現する為に対応させる数学的モデルが有ります。
実計測は非常に高価な計測機器やセンサー等を用いて実対象物やシステムを詳細に渡り計測することでリアルな実測値が提示され、それによって製品の信頼性や耐久性を判断することできます。但し、様々な条件が変更される度に繰り返し実計測を行わなくてはなりません。計測値の比較をするためにも環境条件などを含め都度計測には一定の工数が発生します。
シミュレーションは、数値解析によって様々な物理現象の条件を定義し実計測同様にモデルの作りこみを必要とします。ただし、作成したモデルの条件変更・再現することはPC上でのパラメータ変更などにより比較的容易に再解析を行うことができます。このモデル再利用により工数・コストを抑えることができます。
実計測における計測データに適切な初期条件と境界条件を用いた数値的なシミュレーションデータを合わせ込むことで、より確かな近似解を得ることができます。尚、計測結果とシミュレーション結果を比較する際には、計測およびシミュレーションの条件や定義の一致や妥当性に注意を払うことも必要です。
例えば、開発に関わる時間を短縮したい場合、まず、シミュレーション解析で、さまざまパラメータを入力し多様なケースを模擬実験し現象を絞り込んだ上で、同時にその条件下のみで実計測をすれば大幅に手間を削減することで実現が可能です。
ところで、「実際の計測値とシミュレーションの解析結果の相違について」よく耳にしますが、この解決には、実計測が行われた環境・精度・条件等詳細情報を、シミュレーションに同様に定義することが求められます。
計測における環境条件やシミュレーションモデルにおけるメッシュ数・境界条件等様々な条件設定を精査し定義することでより正確な結果を導き出すことが可能になります。
多くの製品開発における精度や速度の向上が一層望まれる現在において、実計測とシミュレーション両面からのアプローチはますます広い分野で使用されています。
モノづくりにおける「正しい計測」と「シミュレーション」を同時に進めることが、今後も重要になると考えています。
COMSOL Multiphysics の特徴とは
COMSOL Multiphysics®は、スウェーデン・COMSOL ABにより開発された、マルチフィジックス解析を前提として設計されている有限要素法 (FEM)ベースの汎用物理シミュレーションソフトウェアです。1998年より、米国・COMSOL Inc.を拠点として全世界へ販売されています。
計測エンジニアリングシステム株式会社 -KESCO は、日本総代理店として販売・日本語でのサポートを行っております。
特徴その1. 強力な連成解析
最大の特徴は、「マルチフィジックス(連成)解析に対する柔軟性とソフトウエアのオープン性」です。
あらゆる物理現象の組み合わせに対応(3種類以上の物理現象を無制限かつ自由に組み合わせて連成解析)できるので、実工学現象に即した高精度モデリング/シミュレーションが可能になります。
特徴その2. 高い操作性とオープン性
すべての操作を1つのGUIで実現しています。
モデル作成/CADデータ読み込み~フィジックス選択~材料設定~初期条件/境界条件設定~メッシュ作成~ソルバ処理~ポスト処理(グラフや 3D動画生成を含む)まで一貫して1つのソフトウェアのGUI上で処理が可能です。
今までのように対象とする物理現象によっていくつもモデルを用意したり、次の処理のためにパラメータを加工したり、ソフト間でデータを受け渡したりする必要はありません。
また、非常に高いオープン性もその特徴です。
通常はブラックボックス化されているソフトウェア内部の設定の編集を可能にしています。
GUI上でエンドユーザが手軽に機能拡張、条件設定、オリジナル材料の物性値の設定とライブラリ化、さらには物理モデルや方程式もスクリプトレベルでカスタマイズすることができます。
これにより、カスタマイズを外部に依存せずお客様ご自身で行う事が可能になっています。
特徴その3. Application Builder
Application Builderは、COMSOL Multiphysics®のバージョン5.0以降に標準で搭載されている世界初の機能です。
これにより、解析モデルをアプリケーションモデルに作り換えることができます。
アプリケーションモデルを作る目的は、ご自分の作られた COMSOL Multiphisics®の解析モデルの有効活用です。COMSOL Multiphisics®を使わ れているCAE従事者でも、他人が作った解析モデルを理解して使いこなすのは容易ではありません。ましてや、COMSOL Multiphisics®を全く知らない人や解析そのものの知識もない人には利用することは困難です。せっかく作った解析モデルも非常に狭い範囲でしか共有利用されません。Application Builderを利用することで、開発~品質管理または営業・広報まで幅広く解析モデルを活用することが可能となります。
Application Builder で作成されたアプリケーションモデルは、COMSOL Server / Compiler を使うことで、遠隔地やリモート環境においても、解析モデルを共有・活用することが出来ます。
COMSOL Server / Compiler とは
Application Builder で作成されたアプリケーションモデルを配布・共有することのできる機能です。
配布されたアプリケーションは、タブレット・スマートフォン・ノートPCなどで利用することができます。
配布されたモデル内で、自由にパラメータを変更し、再計算をすることが可能です。また、計算結果を3D表示させることもできます。
遠隔地やリモート環境においても、解析者と実験者および現場スタッフがリアルタイムに解析結果を共有・活用することが可能となるため、実験・開発の推進につながります。
・コロナ禍でリモートでの実験を余儀なくされている
・危険物を扱うために遠隔地に実験施設を設けなければならない
こういった方々からも多くご導入を頂いております。
COMSOL Server / Compiler ご紹介
今回は、COMSOL Multiphysics についてご紹介いたしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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