泡

旅立つ朝に

インディアの綿花は

卒業という言葉を知らない

燃える水は

自分が炎以外のかたちで人を包むものになると知らない

暖かいところで育てられた花は摘まれ

むせにおう遺骸でかざる庭に嬉々とつどう人

おめでとう

きみの旅立つ朝に贈り物ひとつなく立ちすくむ

せめて歌を

空腹を満たすことはできないけれど

たいせつなきみに


人よ思え

人よ思いはせよ

思う何かを思いつかないとき

まだきみもぼくも

卒業の門の前にはいないのだ

思いはせよ思いはせよ

インディアの綿花は

今どこにあるか

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