バイク操作のA・B・C・D
今年のレースシーズンも終わり、涼しくなった冬の間は翌シーズンの為にも練習をするのにもってこいの時期だと思います。そこで今回は、練習する際にどうやって練習したら良いかという観点から書きたいと思います。
第一弾は、SLORIDEでのメイン講座となるフロントアップからです。フロントアップはステアケースしかり、丸太やワダチ越え、Z切ってイゴる時と幅広く使うテクニックの基本となります。また、フロントアップはアクセル、ブレーキ、クラッチ、ボディーアクションの全ての要素が含まれる為、とても良い練習になります。もちろん、上達すればウイリーも出来るようになりちょっとイキれますしねw
では、初心者の人がフロントアップをイキナリやろう!としても上手くいきませんよね。それはアクセル、ブレーキ、クラッチ、ボディーアクションの各要素が複雑に絡み合っていて、それぞれの要素がキチンと操作出来た上で、かつタイミング良く組み合わせないと、上手くいかないからです。
フロントアップの練習をしながら、アクセルが~クラッチが~ボディーアクションが~と考えながらやっていては、他の要素がおろそかになったり、タイミングが合わない為、チグハグになって上手くいかないのは当然なのです。なので、まずは出来ないと思ったらベースとなる部分だけをキチンと見直して練習するのが大切です。
まず最初にアクセル、ブレーキ、クラッチ、ボディーアクションの各要素を細かく分けてみます。
アクセル
A1:アイドリングちょい上
A2:パーシャル
A3:全開域
ブレーキ
B1:前後の効きの違いと使い分け
B2:効き始めと奥での効き
B3:リリース方向でのコントロール
クラッチ
C1:繋がり出す位置を知る
C2:ゆっくり繋ぐ
C3:ポンと繋ぐ
ボディーアクション
D1:前後の動き(体幹)
D2:上下の動き(下半身)
D3:左右の動き(ステップコントロール)
と簡単に分類してみました。1→3は習得順でもあります。大体何か練習していたら普通は1~3までやっているものですが、要素それぞれを細かく分けて考える事でその中でも何が足りないのか?その為にはどう練習したら良いのか?をハッキリさせ、ピンポイントで練習する事で複合的なテクニックの向上に繋がるのではないかと考えます。
フロントアップ
フロントアップだと、A1+B1+C1+C3+D1+D2+D3(※シッティングならD2、D3は無し)
そこから発展して、ステアケースをやるなら、フロントアップにA2、高さによってはA3が足される。更にターンしつつステアケースとなるとB2、B3、D3も必要。
ステアケースが上手くなりたいな~と思ったらステアの前にフロントアップがキチンと出来るのか?フロントアップが出来ないならアクセル、ブレーキ、クラッチ、ボディーアクションはキチンと出来ているのか?出来ていないなら個別でクラッチならクラッチだけ、ボディーアクションならボディーアクションだけ練習してみると良いと思います。
練習の手順
では、SLORIDEでのフロントアップの手順ですが、スクールでは最初に参加者のスキルの確認とウォームアップを兼ねて何も言わずにとりあえずフロントアップして貰ってます。それを見て練習内容を判断する為、実際は飛ばして先の事をやったりもします。
ボディーアクション
まずはエンジンを掛けずに緩斜面を利用してボディーアクションだけでバイクのフロントが浮くか練習します。(D1)アクセルクラッチよりも重心移動が一番大事だからです。重心移動ではなく、バイクのパワーや腕力で上げている人は後々苦労します。
クラッチ
その次に平地でNOボディーアクションでアイドリングのままクラッチをポンと離す練習をします。(C1+C3)アクセルさえ開けなければバッと発進してもすぐにエンストするので安心を。2ストとかだと下のトルクが無くてアレなので、一回大きくアクセルを煽って完全に戻し、まだ少し回転が残ってる時にパッと繋げると良いでしょう。また、繋がる位置が遠いと指が残ってしまって離せていない(繋ぎ切れていない)とか、重くて疲れるのを防ぐ為に、フルに握り込んだ状態から少しリリースしたら繋がり出すような位置で自分はレバーの遊びを調節しています。
アクセル&ブレーキ
その後、アクセルの開度をアイドリングのチョイ上でアクセル一定にしてまず音を聞きます。(A1)リアブレーキの上につま先を置いて踏んだ状態です。(B1)クラッチをポン繋ぐと同時につま先を上げてリリース、ちょっと進んだらブレーキを踏む。(B1+C3)最初は上げる必要は全くありません。この回転数の音でクラッチをポンと繋ぐとこれ位の勢いでバイクが発進するという事と、いつでもすぐにブレーキを踏んでコントロールできるようになるの為の練習です。ブレーキが踏めないといつまで経っても安心して上げる事が出来ませんし、上がっても踏めないならコントロール出来ていないという事になります。アクセルとブレーキはいつもセットです。
全要素(A・B・C・D)を組み合わせる
回転数、ブレーキ、クラッチポン、が出来たら、あとはボディーアクションを加えてあげれば、シッティングでのフロントアップは完成です。(A1+B1+C1+C3+D1)
上がるようになるとより高くを求めてしまいますが、正確に一定の高さに上げられるだとか、正しい姿勢が取れているかの方が大事です。結局それが出来ないとバランスポイントへ入れて安定して距離を進むウイリーやキチンとフロントを当てる必要があるステアケースも出来ません。
シッティングで確実に上げられるようになったら、今度はスタンディングでのフロントアップです。スタンディングだと前後、上下、左右にカラダを動かせる反面、慣れない人はどうしたら良いか逆に悩ませると思います。ですが、上げるための要素はシッティングと同じですので、まずはスタンディングそのものに慣れる必要があります。
そこでお勧めなのが、緩斜面での低速8の字ターンです。平地での8の字ターンと違い、ターンする時にキャンバーとなる為、前後左右のバランスとアクセル、ブレーキ、クラッチを丁寧に行わないとすぐにタイヤが滑ってしまう為、とても良い練習になります。
最初のうちはへっぴり腰で腕にもチカラが入ってしまい、もの凄く疲れると思います。それはバランスが取れてなくて無駄なチカラを使っているという証拠です。キチンとステップの上に乗れて、重心が真ん中にあればスムーズに曲がれるようになっていきます。また、前後のタイヤの通るラインの差が分かってくるので、ウッズとかでのライン取りも上手くなります。
そうして、ハンドルに無駄なチカラを入れず低速でもふらつかずステップに乗れるようになって初めて、バイクのパワーに頼らずボディーアクションを使って、スタンディングでのフロントアップが出来るようになります。
順番を見て貰うと分かるようにD→C→B→Aの順で覚えます。つまり上手く走る為に一番大事なのは正しい姿勢が取れているかどうか?なのです。他の要素がどんなに良くても、ライダー自身がキチンと動けていないと走れないという事です。だから、練習する時には三脚で自分の動きを客観的に見たり、休憩中も他のライダーがどういう動きをしているのかを見ると良いでしょう。
他の要素のクラッチ、ブレーキは傍目から見ても分かりませんが、アクセルだけは音を聞けば分かるし、どれ位のスピードが乗っているのかも見れば分かりますので、上手いライダーを参考にする為のヒントとなります。
次回はアクセル、ブレーキ、クラッチ、ボディーアクションそれぞれの練習方法を書きたいと思います。けど、文字だけでは分からない!と1人でもやもや悩んで練習している方はSLORIDEでお待ちしています!
noteの記事による知識だけではなく、定期的に開催しているSLORIDE(twitterで随時告知していますhttps://twitter.com/SL230_Enduro)に参加して頂けると基礎の部分や、実際の走るシーンを想定した内容を練習する事が出来ます。またページ下の「サポートをする」ボタンを押して貰えると活動を続けていくモチベーションが上がりますw
今後も宜しくお願いします!